ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

2021-01-01から1年間の記事一覧

『飛び出し注意くん 交通安全人形写真集』藤原正美 街角で交通安全をアピール!

飛び出し注意くんを知っているか? 2001年刊行。筆者の藤田正美(ふじわらまさみ)は1960年生まれ。関西を中心に活動しているタレントさんである。 飛び出し注意くんとは、街角によく立っている交通安全用の人形のこと。実物はこんな感じの奴(これは特に多…

『他人を見下す若者たち』速水敏彦 他者を軽視し自らの尊厳を保つ「仮想的有能感」とは?

「仮想的有能感」の正体とは? 2006年刊行。講談社現代新書。筆者の速水敏彦(はやみずとしひこ)は1947年生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科の教授。 最近すぐ怒る人が増えた。ちょっとしたことで駅員に激怒しているオッサン。原因は電車が来るのが数分…

東京郊外の実家を処分するまでに読んだお役立ち本16冊 片づけ方、空き家リスク、売却ノウハウ

実家の家と土地を売却 私事で恐縮だが、一昨年実家の家と土地を売却した(今にして思えばコロナ禍の前に売れてよかった)。 わたしは進学時に実家を出て久しく、生活基盤は東京にある。実家近郊に住む妹も結婚後は、新居を購入してしまっている。父が死んで…

『日本語アカデミックライティング』で客観的で学術的な文章の書き方を学ぶ

放送大学の『日本語アカデミックライティング』が面白かったので紹介したい! 以前にも書いたが2021年の4月から通信制の教育機関である放送大学に、選科履修生として入学している。コロナ禍でどうしても自宅で過ごす時間が増えたので、少し真面目に勉強をし…

『幕末単身赴任 下級武士の食日記』青木直己 食レポ日記から幕末の江戸を知る

幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…

『町田忍の昭和遺産100』町田忍 個人的な昭和遺産写真も公開!

町田忍、昭和研究50年の集大成 2021年刊行。筆者の町田忍(まちだしのぶ)は1950年生まれ。警察官から転身して、庶民文化研究所を設立。近現代の庶民文化研究家として知られる人物。昭和レトロ系などの「なつかし」系のガジェットについて多くの著作を上梓し…

『消えたマンガ家 アッパー系の巻』大泉実成 「他の世界」へ行ってしまったマンガ家たち

消えたマンガ家のその後を追うシリーズ二作目 2000年刊行。元々は太田出版から96~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・2・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「鳥山明」篇を追加収録したもの。 同じ作者による…

『小屋 働く建築』中里和一・安藤邦博・宇江敏勝 LIXILギャラリーが無くなって悲しい!

生活に根差した小屋の記録 1999年刊行。本書は三名の共著となっている。中里和一(なかざとかつひと)は1956年生まれの写真家。安藤邦博(あんどうくにひろ)は1948年生まれの建設家。宇江敏勝は1937年生まれのエッセイスト、林業家。 内容はこんな感じ 都市…

『消えたマンガ家 ダウナー系の巻』大泉実成 マンガ界の深淵を覗き込む

マンガ界の闇の部分を垣間見ることの出来る一冊 2000年刊行。元々は太田出版から1996~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「ねこぢる」篇を追加収録したもの。 内容はこんな…

『人は話し方が9割』永松 茂久 話し方の基本は「共感と寄り添い」

2020年年間ランキング1位のビジネス書 2019年刊行。筆者の永松 茂久(ながまつしげひさ)は1974年生まれ。サラリーマンからたこ焼き屋に転身。これが見事に成功し、数多くの飲食店を展開。その過程で、多数のビジネス書、自己啓発書を世に送り出している人物…

『文系AI人材になる』野口竜司 AIはやがて誰もが使えるツールになる

「文系AI人材」になるためには? 2020年刊行。筆者の野口竜司(のぐちりゅうじ)はZOZOTOWNの開発を担当している子会社ZOZOテクノロジーズにてVP of AI driven businessを務める。 本書の他に、『管理職はいらない AI時代のシン・キャリア』『A/Bテストの教…

『中世・ルネサンスの音楽』皆川達夫 国内最初期の古楽ガイドブック

皆川達夫先生がなくなられて一年 別ブログの方で軽く触れたが、わたしは高校時代から合唱を続けている人間だったりする。合唱の世界では、皆川先生と言えば業界の大重鎮のひとりであった。最初にお姿を拝見したのは、立教グリー男声の定期演奏会だったように…

『刀狩り―武器を封印した民衆』藤木久志 農民たちは刀を取り上げられていなかった?

「刀狩り」の概念を変えた一冊 筆者の藤木久志(ふじきひさし)は1933年生まれ。群馬工業高専の講師や、聖心女子大学での助教授職を経て、立教大学へ。立教では名誉教授にまでなり、その後は帝京大学でも教鞭を振るった。 残念ながら2019年に亡くなられてし…

『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』 マンションを買うなら中古派のあなたに

マンションを買うなら中古だと思っている方向け 新築マンション価格の高止まりが続いている。2020年の首都圏マンションの平均価格はなんと6,083万円!(首都圏マンション市場動向―2020年まとめー[PDF]より)。こうなるとなかなか一般人は手が出ない。 そこで…

『四谷怪談 祟りの正体』小池壮彦 事件の発生から変容の過程を読み解く

「知の冒険」シリーズの一冊 2002年刊行。筆者の小池壮彦(こいけたけひこ)は1963年生まれの作家、ルポライター、怪談史研究家。近著では2019年の『東京の幽霊事件 封印された裏歴史』、2016年の『東京 記憶の散歩地図』などがある。 本書は学研の新レーベ…

『京都人は変わらない』村田吉弘 京都人の流儀と作法、その根底にあるものとは?

料亭菊乃井の三代目が語る京都人論 2002年刊行。筆者の村田吉弘(むらたよしひろ)は1951年生まれの料理人。京都の料亭菊乃井の三代目主人。メディアには良く出ている人らしい。有名人……、なのだと思う(地上波あまり見ないのでよくわからないわたし)。 か…

『十字軍騎士団』橋口倫介 明暗が分かれたテンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団

十字軍から生まれた修道騎士団 1994年刊行。筆者の橋口倫介(はしぐちともすけ)は1921年生まれの歴史学者で、上智大学出身で、教授、学長まで務められた方である。2002年に他界されている。 本書のオリジナルは近藤出版社より1971年に刊行された『騎士団』…

『太平天国 皇帝なき中国の挫折』菊池秀明 分権国家の可能性と他者への不寛容

太平天国を概観する 2020年刊行。筆者の菊池秀明は1961年生まれの東洋史学者。専門は中国の近代史。現在は国際基督教大学の教授職にある方である。 太平天国 皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862) [ 菊池 秀明 ] 楽天で購入 七冊の著作があるが、そ…

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ コロナ禍のローマで書かれたエッセイ集

コロナ時代の文学の先鞭となるか 2020年刊行。筆者のパオロ・ジョルダーノ( Paolo Giordano)は1982年生まれのイタリア人。 もともとは物理学者であったが、2008年に上梓された『素数たちの孤独』がベストセラーとなり、以後、作家として活動している。 素数…

『コロナ後の世界』 パンデミックで人類の未来はどう変わるのか?

世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…

『老後レス社会』 「一億総活躍社会」をどう生き延びるか

「一億総活躍社会」の過酷な現実と悲惨な未来 2021年刊行。朝日新聞社特別取材班編。2019年から、2020年にかけて日本の少子化高齢化と人口減少をめぐる諸問題を特集した朝日新聞上の企画「エイジングニッポン」の一環として刊行されたもの。 内容はこんな感…

『「世間」とは何か』阿部謹也 日本人は「世間」の中で生きている

晩年の阿部謹也が追い求めた「世間」論 1995年刊行。筆者の阿部謹也(あべきんや)は1935年生まれの歴史学者。2006年に物故されている。阿部謹也は一橋大学の出身で、学長まで務めた人物。 専攻はドイツ中世史で一般人向けの著作が多数ある。中でも『ハーメ…

『商売心得帖』松下幸之助 小規模事業者向けの商売の心得

今週のお題「おうち時間2021」に引き続き、便乗。 経営の神様が説く、商売の心得 筆者の松下幸之助(まつしたこうのすけ)は言わずと知れた、パナソニック(旧松下電器)の創業者である。1894年生まれで、1989年没。実業家としての実績ばかりでなく、晩年に…

『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい』日下部理絵 絶対に失敗しないための徹底ガイド

中古マンション選びで迷ったら読みたい 2019年刊行。筆者の日下部理絵は、大学在学中にマンション管理士・管理業務主任者試験に合格。マンション管理会社勤務後、マンションの総合コンサルタント事務所を開設し独立された方。ご本人もマンションに居住してお…

『中世の再発見 市・贈与・宴会』網野善彦・阿部謹也 中世史の両巨頭による対談集

網野善彦と阿部謹也の対談集! オリジナル版はなんと1982年刊行!平凡社選書からの登場であった。かれこれ40年も前の著作である。 筆者は網野善彦(あみのよしひこ)と阿部謹也(あべきんや)の両名。ビッグネーム過ぎて説明不要な気もするが、網野善彦は192…

『ブックオフと出版業界』小田光雄 20年前に書かれたブックオフ批判本

1990年代のブックオフ躍進を分析 2000年刊行。筆者の小田光雄(おだみつお)は1951年生まれ。評論、翻訳で著作が多数ある。特に出版流通、古書のジャンルについては豊富な知見を有している人物のようである。 2019年には『古本屋散策』にて、Bunkamura主催す…

放送大学の選科履修生になりました!

本日は番外編。たまには近況をお届けできればと思います(こういうときは「ですます調」になるわたくし)。 久しぶりに大学生に! Twitterの方ではちょこちょこ書いていますが、四月から放送大学の選科履修生になりました。ぎりぎりで申し込んだので、入学で…

『音楽のヨーロッパ史』上尾信也 音楽から西欧史を読み直す

音楽から歴史を読み直す 2000年刊行。筆者の上尾信也(あがりおしんや)は1961年生まれの音楽学者。本書の刊行当時は、桐朋学園大学短期大学部の助教授。その後、同短大の教授に。続いて、上野学園大学にて准教授に。現在は、教授職にある人物である。放送大…

『2典』『続2典』『2典 第3版』2ちゃんねる文化華やかなりしころの用語辞典

「2ちゃんねる」の用語集『2典』 90年代の終わりから、ゼロ年代にかけて、インターネットの普及に伴い、爆発的に広まった匿名掲示板が「2ちゃんねる」である。数多くの悪名を轟かせたこの掲示板だが、往時の盛況ぶりは凄まじかった。 ネット社会では、界隈…

『ニュータイプの時代』山口周 新時代を生きぬく24の思考・行動様式

山口周が示す21世紀的な思考・行動様式 2019年刊行。筆者の山口周(やまぐちしゅう)は1970年生まれの研究者、著作家。 2017年の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は、ビジネス大賞の2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。この作品の大ヒットで一…