ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

2021-01-01から1年間の記事一覧

『老後の年表』横手彰太 老後に起きるトラブルと、その解決法をズバリ指南!

人生を「安全に生き抜く」ために 2021年刊行。筆者の横手彰太(よこてしょうた)は1972年生まれの老後問題解決コンサルタント。不動産会社の日本財託所属。NHKの『クローズアップ現代+』やテレビ朝日の『ワイド!スクランブル』など、メディアへの出演経験…

『「沈黙」の会話力』 現役弁護士が教えるコミュニケーション術

「沈黙」することで人を動かす 2018年刊行。筆者の谷原誠(たにはらまこと)は1968年生まれの現役の弁護士、税理士。著書多数。 とかく交渉術といえば、明朗快活、立て板に水でしゃべり倒す人間が有利であるように思われがちだが、実際には必ずしもそうでは…

『人新生の「資本論」』斎藤幸平 晩年のマルクス思想が地球環境を救う?

「新書大賞2021」大賞受賞作品 2020年刊行。筆者の斎藤幸平(さいとうこうへい)は1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科の准教授。2018年、優れたマルクス研究書に与えられる、ドイッチャー記念賞を日本人初、それも歴代最年少の31歳で受賞している…

『格差社会―何が問題なのか』橘木俊詔 格差社会について知るために

格差社会に早くから着目していた著者の格差論 2006年刊行。筆者の橘木俊詔(たちばなとしあき)は京大大学院の教授(刊行時)。その後2007年に定年退職され、現在は同大の名誉教授。2005年度の日本経済学会会長職を務めている。 本書以外にも1998年に格差社…

『中古マンション本当にかしこい買い方・選びかた』針山昌幸 リーズナブルに理想の住まいを手に入れる

「中古マンション購入」ノウハウ本を読んでいる 『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい』『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』と、ここしばらく中古マンション購入のためのノウハウ本を読み漁っているわたくし。知識は増えて来たけ…

『飛び出し注意くん 交通安全人形写真集』藤原正美 街角で交通安全をアピール!

飛び出し注意くんを知っているか? 2001年刊行。筆者の藤田正美(ふじわらまさみ)は1960年生まれ。関西を中心に活動しているタレントさんである。 飛び出し注意くんとは、街角によく立っている交通安全用の人形のこと。実物はこんな感じの奴(これは特に多…

『若者殺しの時代』堀井憲一郎 若者であることが決して得にはならない時代

ゼロ年代に書かれた「若者」論 2006年刊行。筆者の堀井憲一郎(ほりいけんいちろう)は1958年生まれのライター、コラムニスト。思いっきりバブルを謳歌出来た世代だな。テレビやラジオにも時々顔を出していた人物らしい。「週刊春秋」誌に連載されていた「ホ…

『他人を見下す若者たち』速水敏彦 他者を軽視し自らの尊厳を保つ「仮想的有能感」とは?

「仮想的有能感」の正体とは? 2006年刊行。講談社現代新書。筆者の速水敏彦(はやみずとしひこ)は1947年生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科の教授。 最近すぐ怒る人が増えた。ちょっとしたことで駅員に激怒しているオッサン。原因は電車が来るのが数分…

東京郊外の実家を処分するまでに読んだお役立ち本16冊 片づけ方、空き家リスク、売却ノウハウ

実家の家と土地を売却 私事で恐縮だが、一昨年実家の家と土地を売却した(今にして思えばコロナ禍の前に売れてよかった)。 わたしは進学時に実家を出て久しく、生活基盤は東京にある。実家近郊に住む妹も結婚後は、新居を購入してしまっている。父が死んで…

『日本語アカデミックライティング』で客観的で学術的な文章の書き方を学ぶ

放送大学の『日本語アカデミックライティング』が面白かったので紹介したい! 以前にも書いたが2021年の4月から通信制の教育機関である放送大学に、選科履修生として入学している。コロナ禍でどうしても自宅で過ごす時間が増えたので、少し真面目に勉強をし…

『幕末単身赴任 下級武士の食日記』青木直己 食レポ日記から幕末の江戸を知る

幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…

『町田忍の昭和遺産100』町田忍 個人的な昭和遺産写真も公開!

町田忍、昭和研究50年の集大成 2021年刊行。筆者の町田忍(まちだしのぶ)は1950年生まれ。警察官から転身して、庶民文化研究所を設立。近現代の庶民文化研究家として知られる人物。昭和レトロ系などの「なつかし」系のガジェットについて多くの著作を上梓し…

『消えたマンガ家 アッパー系の巻』大泉実成 「他の世界」へ行ってしまったマンガ家たち

消えたマンガ家のその後を追うシリーズ二作目 2000年刊行。元々は太田出版から96~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・2・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「鳥山明」篇を追加収録したもの。 同じ作者による…

『小屋 働く建築』中里和一・安藤邦博・宇江敏勝 LIXILギャラリーが無くなって悲しい!

生活に根差した小屋の記録 1999年刊行。本書は三名の共著となっている。中里和一(なかざとかつひと)は1956年生まれの写真家。安藤邦博(あんどうくにひろ)は1948年生まれの建設家。宇江敏勝は1937年生まれのエッセイスト、林業家。 内容はこんな感じ 都市…

『土葬の村』高橋繁行 滅びゆく弔いの習慣

筆者は死と弔いに豊富な知見を持つ 2021年刊行。筆者の高橋繁行(たかはししげゆき)は1954年生まれのルポライター。『ドキュメント現代お葬式事情』『葬祭の日本史』など、人間の死、葬式、葬祭儀礼に関連した著作を何冊か他にも上梓している。 この本で得…

『日本の偽書』藤原明 荒唐無稽なものに人は魅せられる

六冊の偽書をとりあげる 2004年刊行。筆者の藤原明(ふじわらあきら)は1958年生まれのノンフィクションライター。古今有名な六つの偽書を題材に、怪しげな文献が制作者の意図すらも越えていつのまにか一人歩きしていく謎について、新書のボリュームでコンパ…

『消えたマンガ家 ダウナー系の巻』大泉実成 マンガ界の深淵を覗き込む

マンガ界の闇の部分を垣間見ることの出来る一冊 2000年刊行。元々は太田出版から1996~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「ねこぢる」篇を追加収録したもの。 内容はこんな…

『人は話し方が9割』永松 茂久 話し方の基本は「共感と寄り添い」

2020年年間ランキング1位のビジネス書 2019年刊行。筆者の永松 茂久(ながまつしげひさ)は1974年生まれ。サラリーマンからたこ焼き屋に転身。これが見事に成功し、数多くの飲食店を展開。その過程で、多数のビジネス書、自己啓発書を世に送り出している人物…

『文系AI人材になる』野口竜司 AIはやがて誰もが使えるツールになる

「文系AI人材」になるためには? 2020年刊行。筆者の野口竜司(のぐちりゅうじ)はZOZOTOWNの開発を担当している子会社ZOZOテクノロジーズにてVP of AI driven businessを務める。 本書の他に、『管理職はいらない AI時代のシン・キャリア』『A/Bテストの教…

『中世・ルネサンスの音楽』皆川達夫 国内最初期の古楽ガイドブック

皆川達夫先生がなくなられて一年 別ブログの方で軽く触れたが、わたしは高校時代から合唱を続けている人間だったりする。合唱の世界では、皆川先生と言えば業界の大重鎮のひとりであった。最初にお姿を拝見したのは、立教グリー男声の定期演奏会だったように…

『刀狩り―武器を封印した民衆』藤木久志 農民たちは刀を取り上げられていなかった?

「刀狩り」の概念を変えた一冊 筆者の藤木久志(ふじきひさし)は1933年生まれ。群馬工業高専の講師や、聖心女子大学での助教授職を経て、立教大学へ。立教では名誉教授にまでなり、その後は帝京大学でも教鞭を振るった。 残念ながら2019年に亡くなられてし…

『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』 マンションを買うなら中古派のあなたに

マンションを買うなら中古だと思っている方向け 新築マンション価格の高止まりが続いている。2020年の首都圏マンションの平均価格はなんと6,083万円!(首都圏マンション市場動向―2020年まとめー[PDF]より)。こうなるとなかなか一般人は手が出ない。 そこで…

『四谷怪談 祟りの正体』小池壮彦 事件の発生から変容の過程を読み解く

「知の冒険」シリーズの一冊 2002年刊行。筆者の小池壮彦(こいけたけひこ)は1963年生まれの作家、ルポライター、怪談史研究家。近著では2019年の『東京の幽霊事件 封印された裏歴史』、2016年の『東京 記憶の散歩地図』などがある。 本書は学研の新レーベ…

『京都人は変わらない』村田吉弘 京都人の流儀と作法、その根底にあるものとは?

料亭菊乃井の三代目が語る京都人論 2002年刊行。筆者の村田吉弘(むらたよしひろ)は1951年生まれの料理人。京都の料亭菊乃井の三代目主人。メディアには良く出ている人らしい。有名人……、なのだと思う(地上波あまり見ないのでよくわからないわたし)。 か…

『十字軍騎士団』橋口倫介 明暗が分かれたテンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団

十字軍から生まれた修道騎士団 1994年刊行。筆者の橋口倫介(はしぐちともすけ)は1921年生まれの歴史学者で、上智大学出身で、教授、学長まで務められた方である。2002年に他界されている。 本書のオリジナルは近藤出版社より1971年に刊行された『騎士団』…

『猫語の教科書』ポール・ギャリコ ネコが書いた、ネコのための本

猫のためのマニュアル本? オリジナルの米国版の原題は『The silent miaow』(原題からして既にかわいい)で、1964年の刊行。こちらの書影はペーパーバック版で1985年刊行。 Silent Miaow 作者:Gallico, Paul Three Rivers Press Amazon 日本語版は1995年に…

『太平天国 皇帝なき中国の挫折』菊池秀明 分権国家の可能性と他者への不寛容

太平天国を概観する 2020年刊行。筆者の菊池秀明は1961年生まれの東洋史学者。専門は中国の近代史。現在は国際基督教大学の教授職にある方である。 太平天国 皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862) [ 菊池 秀明 ] 楽天で購入 七冊の著作があるが、そ…

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ コロナ禍のローマで書かれたエッセイ集

コロナ時代の文学の先鞭となるか 2020年刊行。筆者のパオロ・ジョルダーノ( Paolo Giordano)は1982年生まれのイタリア人。 もともとは物理学者であったが、2008年に上梓された『素数たちの孤独』がベストセラーとなり、以後、作家として活動している。 素数…

『コロナ後の世界』 パンデミックで人類の未来はどう変わるのか?

世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…

『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』 昭和30年代をカラー写真で楽しめる

昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…