ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年に読んで面白かった新書・一般書12選

毎年恒例の〇〇年に読んで面白かった本シリーズ、2022年版をお届けしたい。しかしながら、今年は放送大学二年目ということで、学習に割かれる時間が多くて、あまり数がこなせなかったのが残念。昨年は歴史編、その他編と二回に分けてお送りするほどネタがあ…

『87%の日本人がキャラクターを好きな理由』香山リカ 日本人とキャラクターについて考える

香山リカが読み解く「キャラクターと日本人」論 筆者の香山リカはお馴染みの精神科医。何が本業なのかわからないくらい活動されている方だが、立教大学現代心理学部映像身体学科教授というのがいちおうメインの肩書なのかな。本作を上梓した2001年当時では、…

『キリスト教と音楽』金澤正剛 ヨーロッパ音楽の源流をたずねて

先日、放送大学の面接授業(スクーリング)で、永原恵三先生の「カトリック教会と音楽」を受講してきた。その際に、多少なりとも事前学習ができないか?ということで、本書『キリスト教と音楽』を再読してみた。ということで、本稿もちょっとだけ加筆して再…

『逃げる技術 ギリギリまで我慢してしまうあなたへ』根本裕幸 辛いときはいますぐ逃げていい!

人気カウンセラーが教える「逃げる技術」 2020年刊行。筆者の根本裕幸(ねもとひろゆき)は1972年生まれの心理カウンセラー。 メンタル系の自己啓発本を多数上梓しており、代表作は2017年の『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』あたりかな。…

『ウクライナ戦争の200日』小泉悠 ロシアの軍事・安全保障研究家がリアルタイムで語った同時代史

小泉悠の対談本 2022年刊行。「文藝春秋」「Foresight」「週刊文春エンタ+」「週刊文春WOMAN」などで掲載されていた対談を一冊にまとめて上梓したもの。 筆者の小泉悠(こいずみゆう)は1982年生まれの軍事評論家、軍事アナリスト。ロシアへの留学経験を持…

『スエイ式人生相談』末井昭 どんな悩みもピタリと解決!?

名物編集者が人生の奇問難問に答える! 2004年刊行。筆者の末井昭(すえいあきら)は1948年生まれ。書影を見ると、何なのこの人?と思われるかもしれないが当然男性である。女装は趣味でやっているみたい。 1981年にはかつて一世を風靡した(らしい)「写真…

『ガラスの50代』酒井順子 令和の50代のリアルを綴る

コロナ禍の今を描く酒井順子最新作 2020年刊行。筆者の酒井順子(さかいじゅんこ)は1966年生まれのエッセイスト。第一作は1988年の『お年頃 乙女の開花前線』。出世作は何といっても2003年の『負け犬の遠吠え』であろう。 ガラスの50代 作者:酒井 順子 講談…

『書く習慣』いしかわゆき(ゆぴ) 文章による発信が「続かない」人向けの文章術指南本

発行部数2万部超のヒット作 2021年刊行。筆者のいしかわゆき(別名義の「ゆぴ」でも活躍中)はライター、ブロガー、Youtuber、更には声優としても活躍しているマルチな人物。 本書『書く習慣』が、いしかわゆきにとっての初著作となる。2022年の9月時点で、…

『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』小泉悠 ふつうのロシア人の家、食べ物、暮らし

専門家が教えてくるロシアの素顔 2022年刊行。筆者のユーリィ・イズムィコこと、小泉悠(こいずみゆう)は1982年生まれの軍事アナリスト。ウクライナ戦争で一躍知名度が上がってしまった感がある。ロシアへの留学経験があり、ロシア人女性と結婚もしている、…

『暴走するネット広告』知っておきたい不正広告の仕組み その広告で誰が不正に儲けてる!

「クローズアップ現代+」の放映内容を書籍化 2019年刊行。本書はNHK「クローズアップ現代+」にて放映された三つの番組、「追跡! 脅威の“海賊版”漫画サイト」「追跡! ネット広告の“闇”」「追跡! “フェイク”ネット広告の闇」の取材内容をまとめて書籍化した…

『22世紀の民主主義』成田悠輔 政治家も選挙もいらない「無意識民主主義」のすすめ

20万部突破のベストセラー 2022年刊行。筆者の成田悠輔(なりたゆうすけ)は1986年生まれの経済学者、実業家。アメリカのイェール大学助教授(本人プロフィールにそう書いてある。准教授じゃないの?)を努めつつ、日本では自身で起業もしているという人物。…

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子 読解力がない人間はAIに職を奪われる

2019年ビジネス書大賞、大賞受賞作 2018年刊行。筆者の新井紀子(あらいのりこ)は1962年生まれの数学者。一橋大学では法学部に入学しながら、在学中に数学の魅力に取りつかれイリノイ大学の数学科に留学。数学の研究者になってしまった人物。現在は国立情報…

『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史 コンテンツは鑑賞物から消費するものに変わっていく

ウェブメディア発、コンテンツ消費の現在形 2022年刊行。筆者の稲田豊史(いなだとよし)は1974年生まれのライター、編集者、コラムニスト。映画配給会社のギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)出身で、その後、キネマ旬報社を経て独立。映画評論からジ…

『団地の空間政治学』原武史 団地黄金時代に芽生えた自治の意識と政治活動

原先生の団地本だ! 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。 天皇制をめぐる数々の著作で知られるが、鉄道分野にも造詣が深く、本業の政治思想研究と絡めた『「民都」大阪対「帝都」東京』ではサントリー学芸賞を受賞している。 …

『50歳からの孤独入門』齋藤孝 満たされない承認欲求にどう向き合う?

アラフィフになったら読んでみよう 2018年刊行作品。筆者の齋藤孝(さいとうたかし)は明治大学文学部の教授で、作家、教育学者。著作としては『声に出して読みたい日本語』が有名かな。 昔は四十にして惑わずなどと言ったものだったが、現代では四十代はま…

『人口減少時代の土地問題』吉原祥子 面倒でも土地の登記はしっかりと!

全国の土地の2割は所有者がわからない 2017年刊行の中公新書。筆者の吉原祥子(よしはらさちこ)は1971年生まれ。民間のシンクタンク東京財団の研究員。 帯の惹句にもあるとおり、「持ち主がわからない土地が九州の面積(国土の2割)を越えている」。日本で…

『滝山コミューン一九七四』原武史 1970年代、学校現場を覆った集団主義の背景

講談社ノンフィクション賞、受賞作品 2007年刊行。講談社の文芸誌「群像」の2006年11月号~2007年1月号にかけて連載されていた作品をまとめたもの。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。先日エントリを書いた、『レッドアローとスターハウ…

『ノスタルジックアイドル 二宮金次郎』井上章一 誰が二宮金次郎像を作ったのか?

『京都ぎらい』筆者が調べた二宮金次郎像の秘密 1989年刊行。筆者の井上章一(いのうえしょういち)は1955年生まれの建築史家、作家、風俗史研究家。現在は国際日本文化研究センターの所長、教授職を務めている方である。1980年代から現在に至るまで多くの著…

『レッドアローとスターハウス』原武史 西武鉄道と団地が東京の郊外に何をもたらしたのか

今週のお題「最近おもしろかった本」に参加します! 西武鉄道と団地に着目した戦後思想史 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。専攻は日本の政治思想史。明治学院大学の教授職を経て、現在は放送大学の教授。 レッドアローとス…

『人工知能は人類を超えるか』松尾豊 AI(人工知能)についてサクッと学びたい方へ

2015年刊行。筆者の松尾豊(まつおゆたか)は1975年生まれ。東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター、技術経営戦略学専攻の教授。日本ディープラーニング協会の理事長も務めている。日本のAI(人工知能)研究では、よく名前が出てくる人物で、マ…

『ブロックチェーンがひらく「あたらしい経済」』 文系でもわかるブロックチェーン

ブロックチェーンの専門家が教えてくれる 2020年刊行。福岡を拠点としてブロックチェーン関連の技術開発を行っている株式会社Chaintope(チェーントープ)関係者による著作。CEOの正田英樹(しょうだひでき)をはじめとして、田中貴規(たなかたかのり)、村…

『ヤンキーと地元』打越正行 解体屋、風俗経営、ヤミ業者として生きる沖縄の若者たち

社会学者の参与観察から生まれた一冊 2019年刊行。筆者の打越正行(うちこしまさゆき)は1979年生まれの社会学者。現在は、和光大学現代人間学部の専任講師、社会理論・動態研究所の研究員を務めている人物。 『ヤンキーと地元』は初めての単著で、社会学系…

『帝都東京・隠された地下網の秘密』全二作が胡散臭いけど面白い

本日ご紹介するのはこちらの二冊。ややもするとトンデモ系に分類されてしまいそうな作品だが、素材としては面白い。普段は見ることが出来ない地下の世界だけに、妄想は深まるのである。 この書籍から得られること 東京の地下鉄について詳しくなれる 東京の地…

『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』佐々木俊尚 スマホ時代の「新しい読み方」とは?

スマホ時代に「新しい読み方」を身につける 2022年刊行。筆者の佐々木俊尚(ささきとしなお)は1961年生まれの作家、ジャーナリスト、評論家。毎日新聞社の記者を経て、アスキーに転職。現在はフリーで活動されている方。 多数の著作を上梓しているが、比較…

『グーグル・アマゾン化する社会』森健 超巨大IT企業に情報が一極集中するリスクを考える

ゼロ年代のAmazonとGoogle 2006年刊行。筆者の森健(もりけん)は1968年生まれのライター、ジャーナリスト。 2012年の『「つなみ」の子どもたち』『つなみ 被災地の子ども80人の作文集』で第43回の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。また、2015年の『小倉昌…

『平氏 公家の盛衰、武家の興亡』倉本一宏 武家平氏と堂上平氏、日本の歴史を支えた一族

平氏一族の全貌がわかる 2022年刊行。筆者の倉本一宏(くらもとかずひろ)は1958年生まれの歴史学者。国際日本文化研究センターの教授。 専門は日本の古代政治史で、関連著作多数。今年刊行された『平安京の下級官人』が気になっていて、こちらを読もうと思…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』三戸祐子 鉄道から読み解く日本人論

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 定刻発車―日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム 作者:三戸 祐子 交通新聞社 Amazon 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加…

『メタバース進化論』バーチャル美少女ねむ ガチ勢が教えてくれるメタバースの魅力

メタバースって何なのかわからない人のために フェイスブック(Facebook)が、企業名を「Meta(メタ)」に変更すると発表して、かれこれ一年が経とうとしている。 自社の推進する仮想空間サービス「メタバース」を強力にプッシュしていこうとする強い意志を…

『大図解九龍城』香港最大の魔窟、ありし日の姿を遺す写真集

九龍城の在りし日の姿が! 1997年刊行。収録されている写真と文章は九龍城探検隊によるもの。 九龍城探検隊は建築設計、都市開発等に携わる人々を中心に構成された日本人グループ。監修を、同グループの一員でもある、慶應大学の文学部教授(当時、現在は名…

『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』梅田望夫 ゼロ年代のウェブの教科書

ゼロ年代に読まれていたウェブの教科書 2006年刊行。筆者の梅田望夫(うめだもちお)は1960年生まれ。幼稚舎から大学まで慶應で、慶應の工学部を出て東大大学院の情報科学科を卒業。その後シリコンバレーに渡りコンサルティング会社を企業。2005年からははて…