ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

新書

『藩と日本人 現代に生きる“お国柄”』武光誠 県民性のルーツは江戸時代の藩に?

江戸時代の藩が"お国柄"をつくった オリジナルのPHP新書版1999年に刊行されている。筆者の武光誠(たけみつまこと)は明治学院大の教授。日本古代史、日本思想史が専攻。 藩と日本人―現代に生きる“お国柄” (PHP新書) 作者:武光 誠 PHP研究所 Amazon しばらく…

『中流崩壊』橋本健二 「中流」は本当に存在したのか?

「階級格差社会」日本を読み解く 2020年刊行。筆者の橋本健二(はしもとけんじ)は1959年生まれ。現在は早稲田大学人間科学学術院の教授職。主著に『階級都市』『アンダークラス』『新・日本の階級社会』『<格差>と<階級>の戦後史』がある。統計データを元に…

『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』 書くことはもっと自由でいいんだ

「書けない」悩みを抱えるあなたに贈る執筆論 2021年刊行。筆者は以下の四人。 千葉雅也(ちばまさや):哲学者・小説家。立命館大学大学院教授 山内朋樹(やまうちともき):美学者、庭師。京都教育大学准教授 読書猿(どくしょざる):読書家、作家 瀬下翔…

『北条氏の時代』本郷和人 七人の得宗家から読み解く鎌倉時代

本郷和人による「北条氏」本 2021年刊行。筆者の本郷和人(ほんごうかずと)は1960年生まれの歴史学者。東京大学史料編纂所で教授職にある人物。専門は日本の中世史。 一般人向けの著作も多く、メディアに登場する機会も多いので、ご存じの方も多いのではな…

『ルポ貧困大国アメリカ』堤未果  格差社会の本場アメリカの怖ろしさ

70万部も売れた大ベストセラー 2008年刊行。日本エッセイスト・クラブ賞及び、新書大賞をダブル受賞したことで知られる。刊行当時は70万部を売った大ベストセラーである。 筆者の堤未果 (つつみみか)は1971年生まれの作家、ジャーナリスト。ニューヨーク州…

『戒名と日本人 あの世の名前は必要か』保坂俊司 戒名という切り口から見た日本葬送史

戒名の事が気になって 2006年刊行。筆者の保坂俊司(ほさかしゅんじ)は1956年生まれの宗教学者。本書執筆時は麗澤大学の教授だったが、現在は中央大学の教授。専攻は比較宗教学、インド思想。戒名「行俊」。 まず最初に誤植多すぎでゲンナリ。ですます調で…

『デジタル化する新興国』伊藤亜聖 世界はもうこんなにデジタル化されている!

海外のIT事情を知りたい方へ 2020年刊行。筆者の伊藤亜聖(いとうあせい)は1984年生まれ。東京大学社会科学研究所の准教授で、専門は中国経済論。 中央公論新社の総合誌『中央公論』2019年12月号に掲載された「デジタル新興国論」加筆修正の上で単著化した…

『女系図でみる驚きの日本史』大塚ひかり 蘇我氏も平家も滅亡していなかった!

蘇我氏も平家も滅亡していなかった! 2017年刊行。筆者の大塚ひかりは1961年生まれ。歴史系の著作多数。以前に読んだ『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』が面白かったので、今回も手に取って見た次第。 大切なのは「胤より腹」。家は絶えても血…

『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』黒川祐次 地政学的な特異性と複雑な歴史背景を学ぶ

元ウクライナ大使が書いたウクライナの歴史本 2002年刊行。筆者の黒川祐次(くろかわゆうじ)は1944年生まれの、元外交官。モントリオール総領事、ウクライナ大使、モルドバ大使、コートジボワール大使、ベナン・ブルキナファソ・ニジェール・トーゴー大使など…

『ユーゴスラヴィア現代史』柴宜弘 ユーゴ内戦を因縁から学ぶ

旧ユーゴスラヴィア史を知るために 1996年刊行。筆者の柴宜弘(しばのぶひろ)は1946年生まれ。早大卒で本書執筆時は東大大学院の教授。現在は退官されて、城西国際大学の特任教授に。専攻は東欧地域研究。バルカン近現代史。2021年の5月に他界されている。 …

『頼朝と義時 武家政権の誕生』呉座勇一 頼朝の限界と義時の達成

呉座勇一による源頼朝と北条義時の本 2021年刊行。筆者の呉座勇一(ござゆういち)は1980年生まれの歴史学者。専門は日本中世史。 著作としては2016年の『応仁の乱 戦国を生んだ大乱』が有名かな。 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 作者:呉座勇一 …

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治 "三等分"したケーキのインパクト

120万部も売れたベストセラー新書 2019年刊行。筆者の宮口幸治(みやぐちこうじ)は立命館大学の産業社会学部の教授。元々は児童精神科医で、医療少年院では法務技官として勤務した経験を持つ人物。 本書は、新書大賞2020で第二位にランクインした作品である…

『斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史』榎村寛之 歴代斎王たちへの愛がほとばしる一冊

斎宮と斎王のガイドブック 本書は2017年刊行。筆者の榎村寛之(えむらひろゆき)は三重県立斎宮歴史博物館勤務。斎宮関連の著作も多い。 ちなみに、こちらは斎宮歴史博物館入口にある館名標識。メチャ素敵!(というか、斎宮が好きすぎて現地まで行ったこと…

『北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権』岩田慎平 『鎌倉殿の13人』を見ながら読むならこの一冊

『鎌倉殿の13人』のハンドブックとして 筆者の岩田慎平は1978年生まれの歴史学者。専門は日本中世史(中世武士論、鎌倉幕府論)。現在は、神奈川県愛川町の郷土資料館で主任学芸員を務めている方。 2021年の12月に刊行。タイトル的にも2022年のNHK大河ドラマ…

『サラ金の歴史』小島庸平 サラ金業界の勃興から隆盛、壊滅に至るまでを概観する

新書大賞2022大賞受賞作品 2021年刊行。筆者の小島庸平(こじまようへい)は1982年生まれの経済史学者。東京大学経済学研究科の准教授。 本書は2021年の2021年度の第43回サントリー学芸賞を受賞。更に、2020年12月~2021年11月に刊行された新書を対象とした…

『「感動」禁止!―「涙」を消費する人びと』八柏龍紀 「感動をありがとう!」でいいのかな?

「感動」を消費するわたしたち 2006年刊行。筆者の八柏龍紀(やがしわたつのり)は1953年生まれ。慶応卒で、教員、予備校講師などのキャリアを経て、著述、評論等の活動をされている方。その他の著作に2016年の双葉社『日本人が知らない「天皇と生前退位」』…

『無理ゲー社会』橘玲 メリトクラシー(能力主義)がもたらす格差社会

攻略不可能(無理ゲー)な社会に生きていないか? 2021年刊行。筆者の橘玲(たちばなあきら)は1959年生まれ。もともとは宝島社の編集者で、後に作家に転身。2002年の小説『マネーロンダリング』がデビュー作。小説以外の作品も多数執筆しており、再三改版さ…

『承久の乱 日本史のターニングポイント』本郷和人 北条時政、義時父子の暗躍ぶりが凄い!

『鎌倉殿の13人』のネタバレが気にならない方向け 今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を毎週楽しく見ている。源平合戦のおおまかな流れは理解しているつもりだったが、「鎌倉殿」のように北条視点になると、途端に周囲の人間関係がよくわからなくなる。 とい…

『古代中国の24時間』柿沼陽平 秦漢時代の「ふつうの人々」の日常

秦漢時代の衣食住から性愛まで 2021年刊行。筆者の柿沼陽平(かきぬまようへい)は1980年生まれの東洋史学者。現在は早稲田大学文学学術院教授。専門は中国古代史・経済史・貨幣史。 以下の著作がある。『劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』』 『中国古代貨幣…

2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(VUCA・文章術・中高年の悩み編)

年始恒例の〇〇年に読んで面白かったシリーズ、先日は「2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(歴史編)」をお届けした。 本日は歴史ネタ以外。不安定な(VUCA)時代をどう生きるか編・文章力を高めるために編・中高年の悩み編について、まとめておススメ…

『宗教図像学入門』中村圭志 十字架、神殿から仏像、怪獣まで

中村圭志にる宗教図像学ガイド 2021年刊行。筆者の中村圭志(なかむらけいし)は1958年生まれの宗教学者。 2014年の『教養としての宗教入門 基礎から学べる信仰と文化』、2017年の『聖書、コーラン、仏典 原典から宗教の本質をさぐる』に続く三冊目の書籍と…

『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』岡本亮輔 現代人の宗教的意識の変容を読み解く

現代の聖地はなぜ生まれるのか 2015年刊行。筆者の岡本亮輔(おかもとりょうすけ)は1979年生まれの宗教学者。現在は北海道大学の准教授を務めている人物。 2012年の『聖地と祈りの宗教社会学』では日本宗教学会賞を受賞している。 聖地と祈りの宗教社会学―…

『荘園』伊藤俊一 750年に及ぶ、日本の荘園の歴史を振り返る

荘園を通じて日本の中世史を学ぶ 筆者の伊藤俊一(いとうしゅんいち)は1958年生まれの歴史学者。現在は名城大学人間学部の教授職にある人物。専門は日本中世史。 著作に『室町期荘園制の研究』。共著に『新体系日本史3 土地所有史』『気候変動からみなおす…

『50歳からのむなしさの心理学』榎本博明 「むなしさ」をきっかけに前を向く方法

中高年を襲う「むなしさ」 40代後半~50代前半の方に伺いたいのけれども、近頃こんなむなしい思いに囚われたことはないだろうか。 やる気が出なくなった 仕事への情熱がなくなった 自分に自信が持てなくなった このままでいいのか焦る 自分らしく生きていな…

『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』関幸彦 女真族の襲来と軍事貴族たちの台頭

平安時代の異民族襲来 日本の歴史上、本土にまで外国勢力が侵入を果たした例は少ない。直近での最大の事例は言うまでもなく太平洋戦争(第二次世界大戦)になるだろう。しかしそれより前となるとどうだろうか。なんと鎌倉時代の元寇(1274年、1281年)まで遡…

『しのびよるネオ階級社会』林信吾 “イギリス化”する日本の格差

英国事情通が説く、ネオ階級社会 2005年刊行。筆者の林信吾(はやししんご)は1958年生まれの作家、ジャーナリスト。1983年に渡英。欧州ジャーナルの編集長を経て1993年に帰国。その後は、イギリス滞在の経験を生かし、作家・ジャーナリストとして活躍中。 続…

「好きな中公新書10選」を歴史系縛りでピックアップしてみた

中公新書を歴史系から10冊セレクト 中公新書は、岩波新書、講談社現代新書と共に「新書御三家」として名高い。1962年創刊ということで、来年で創刊60周年を迎える老舗レーベルである。 さて、本日ははてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に便乗。 なに…

『未来のドリル コロナが見せた日本の弱点』河合雅司 コロナ禍と「社会の老化」

「未来の年表」シリーズの第四弾はまさのドリル形式! 2021年刊行。河合雅司(かわいまさし)の大ヒットシリーズ『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』に続く第四弾である。 今回はまさかの「ドリル形式」を取っている。例えばこんな感じ。 現在、…

『柳田國男』牧田茂 柳田民俗学の後継者が語る、柳田國男の生涯

1970年代に書かれた『柳田國男』本 筆者の牧田茂(まきたしげる)は元朝日新聞社社員で、「週刊朝日」の編集長などを経て、退社後は日本大学の講師、白梅短期大学の教授などを歴任。民俗学者としても活躍した人物だ。1916年生まれで、2002年に亡くなられてい…

『華族-近代日本貴族の虚像と実像』小田部雄次 日本の華族は78年間に1011家!

日本の華族の全体像がつかめる一冊 2006年刊行。筆者の小田部雄次(おたべゆうじ)は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。 さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスともなると、読み応えが半端…