新書
『鎌倉殿の13人』のネタバレが気にならない方向け 今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を毎週楽しく見ている。源平合戦のおおまかな流れは理解しているつもりだったが、「鎌倉殿」のように北条視点になると、途端に周囲の人間関係がよくわからなくなる。 とい…
秦漢時代の衣食住から性愛まで 2021年刊行。筆者の柿沼陽平(かきぬまようへい)は1980年生まれの東洋史学者。現在は早稲田大学文学学術院教授。専門は中国古代史・経済史・貨幣史。 以下の著作がある。『劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』』 『中国古代貨幣…
年始恒例の〇〇年に読んで面白かったシリーズ、先日は「2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(歴史編)」をお届けした。 本日は歴史ネタ以外。不安定な(VUCA)時代をどう生きるか編・文章力を高めるために編・中高年の悩み編について、まとめておススメ…
中村圭志にる宗教図像学ガイド 2021年刊行。筆者の中村圭志(なかむらけいし)は1958年生まれの宗教学者。 2014年の『教養としての宗教入門 基礎から学べる信仰と文化』、2017年の『聖書、コーラン、仏典 原典から宗教の本質をさぐる』に続く三冊目の書籍と…
現代の聖地はなぜ生まれるのか 2015年刊行。筆者の岡本亮輔(おかもとりょうすけ)は1979年生まれの宗教学者。現在は北海道大学の准教授を務めている人物。 2012年の『聖地と祈りの宗教社会学』では日本宗教学会賞を受賞している。 聖地と祈りの宗教社会学―…
荘園を通じて日本の中世史を学ぶ 筆者の伊藤俊一(いとうしゅんいち)は1958年生まれの歴史学者。現在は名城大学人間学部の教授職にある人物。専門は日本中世史。 著作に『室町期荘園制の研究』。共著に『新体系日本史3 土地所有史』『気候変動からみなおす…
中高年を襲う「むなしさ」 40代後半~50代前半の方に伺いたいのけれども、近頃こんなむなしい思いに囚われたことはないだろうか。 やる気が出なくなった 仕事への情熱がなくなった 自分に自信が持てなくなった このままでいいのか焦る 自分らしく生きていな…
平安時代の異民族襲来 日本の歴史上、本土にまで外国勢力が侵入を果たした例は少ない。直近での最大の事例は言うまでもなく太平洋戦争(第二次世界大戦)になるだろう。しかしそれより前となるとどうだろうか。なんと鎌倉時代の元寇(1274年、1281年)まで遡…
英国事情通が説く、ネオ階級社会 2005年刊行。筆者の林信吾(はやししんご)は1958年生まれの作家、ジャーナリスト。1983年に渡英。欧州ジャーナルの編集長を経て1993年に帰国。その後は、イギリス滞在の経験を生かし、作家・ジャーナリストとして活躍中。 続…
中公新書を歴史系から10冊セレクト 中公新書は、岩波新書、講談社現代新書と共に「新書御三家」として名高い。1962年創刊ということで、来年で創刊60周年を迎える老舗レーベルである。 さて、本日ははてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に便乗。 なに…
「未来の年表」シリーズの第四弾はまさのドリル形式! 2021年刊行。河合雅司(かわいまさし)の大ヒットシリーズ『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』に続く第四弾である。 今回はまさかの「ドリル形式」を取っている。例えばこんな感じ。 現在、…
1970年代に書かれた『柳田國男』本 筆者の牧田茂(まきたしげる)は元朝日新聞社社員で、「週刊朝日」の編集長などを経て、退社後は日本大学の講師、白梅短期大学の教授などを歴任。民俗学者としても活躍した人物だ。1916年生まれで、2002年に亡くなられてい…
日本の華族の全体像がつかめる一冊 2006年刊行。筆者の小田部雄次(おたべゆうじ)は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。 さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスともなると、読み応えが半端…
信長VS伊賀衆 2021年刊行。筆者の和田裕弘(わだやすひろ)は1962年生まれの戦国史の研究家。 戦国時代、特に織田家に関する著作を数冊上梓しており、中公新書からは以下の三作を世に送り出している。 2017年『織田信長の家臣団―派閥と人間関係』 2018年『信…
2021年刊行。筆者の鈴木由美(すずきゆみ)は1972年生まれの歴史研究家。日本史史料研究会の関連団体(なのかな?)である、中世内乱研究会で会長を務めている人物。過去に共著はいくつかあったが、単著としては本書が初めての作品となる。 呉座勇一の『応仁…
サントリー出身作家が説く、現代社会の生き延び方 筆者の野村正樹(のむらまさき)は1944年生まれのミステリ作家、ビジネス評論家。2011年に他界されている。 デビュー作は1986年の『殺意のバカンス』で、こちらは懐かしの土曜ワイド劇場枠で実写ドラマ化さ…
「新書大賞2021」大賞受賞作品 2020年刊行。筆者の斎藤幸平(さいとうこうへい)は1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科の准教授。2018年、優れたマルクス研究書に与えられる、ドイッチャー記念賞を日本人初、それも歴代最年少の31歳で受賞している…
格差社会に早くから着目していた著者の格差論 2006年刊行。筆者の橘木俊詔(たちばなとしあき)は京大大学院の教授(刊行時)。その後2007年に定年退職され、現在は同大の名誉教授。2005年度の日本経済学会会長職を務めている。 本書以外にも1998年に格差社…
ゼロ年代に書かれた「若者」論 2006年刊行。筆者の堀井憲一郎(ほりいけんいちろう)は1958年生まれのライター、コラムニスト。思いっきりバブルを謳歌出来た世代だな。テレビやラジオにも時々顔を出していた人物らしい。「週刊春秋」誌に連載されていた「ホ…
「仮想的有能感」の正体とは? 2006年刊行。講談社現代新書。筆者の速水敏彦(はやみずとしひこ)は1947年生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科の教授。 最近すぐ怒る人が増えた。ちょっとしたことで駅員に激怒しているオッサン。原因は電車が来るのが数分…
幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…
筆者は死と弔いに豊富な知見を持つ 2021年刊行。筆者の高橋繁行(たかはししげゆき)は1954年生まれのルポライター。『ドキュメント現代お葬式事情』『葬祭の日本史』など、人間の死、葬式、葬祭儀礼に関連した著作を何冊か他にも上梓している。 この本で得…
六冊の偽書をとりあげる 2004年刊行。筆者の藤原明(ふじわらあきら)は1958年生まれのノンフィクションライター。古今有名な六つの偽書を題材に、怪しげな文献が制作者の意図すらも越えていつのまにか一人歩きしていく謎について、新書のボリュームでコンパ…
皆川達夫先生がなくなられて一年 別ブログの方で軽く触れたが、わたしは高校時代から合唱を続けている人間だったりする。合唱の世界では、皆川先生と言えば業界の大重鎮のひとりであった。最初にお姿を拝見したのは、立教グリー男声の定期演奏会だったように…
「刀狩り」の概念を変えた一冊 筆者の藤木久志(ふじきひさし)は1933年生まれ。群馬工業高専の講師や、聖心女子大学での助教授職を経て、立教大学へ。立教では名誉教授にまでなり、その後は帝京大学でも教鞭を振るった。 残念ながら2019年に亡くなられてし…
料亭菊乃井の三代目が語る京都人論 2002年刊行。筆者の村田吉弘(むらたよしひろ)は1951年生まれの料理人。京都の料亭菊乃井の三代目主人。メディアには良く出ている人らしい。有名人……、なのだと思う(地上波あまり見ないのでよくわからないわたし)。 か…
太平天国を概観する 2020年刊行。筆者の菊池秀明は1961年生まれの東洋史学者。専門は中国の近代史。現在は国際基督教大学の教授職にある方である。 太平天国 皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862) [ 菊池 秀明 ] 楽天で購入 七冊の著作があるが、そ…
世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…
昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…
「一億総活躍社会」の過酷な現実と悲惨な未来 2021年刊行。朝日新聞社特別取材班編。2019年から、2020年にかけて日本の少子化高齢化と人口減少をめぐる諸問題を特集した朝日新聞上の企画「エイジングニッポン」の一環として刊行されたもの。 内容はこんな感…