ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

社会

『老後に住める家がない!』太田垣章子 明日は我が身の”漂流老人”問題

老後に住む家が借りられない現実を知る 2000年刊行。筆者の太田垣章子(おおたがきあやこ)は専業主婦から一念発起、30代後半で司法書士の資格を取られた方。2,300件を超える家賃滞納トラブルを解決してきた実績を持つ、最新の賃貸事情を知る人物である。 太…

『東京タイムスリップ1984⇔2021』『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』善本喜一郎 昭和と令和の東京の街並みを見比べる

※2022/5/28追記 続編となる『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』が刊行されていたので後半に情報を追記しました! 『東京タイムスリップ1984⇔2021』よみがえる1984年の東京 この本で得られること 内容はこんな感じ 目次 懐かしい新宿の姿が楽しい 2021年との…

『中流崩壊』橋本健二 「中流」は本当に存在したのか?

「階級格差社会」日本を読み解く 2020年刊行。筆者の橋本健二(はしもとけんじ)は1959年生まれ。現在は早稲田大学人間科学学術院の教授職。主著に『階級都市』『アンダークラス』『新・日本の階級社会』『<格差>と<階級>の戦後史』がある。統計データを元に…

『ルポ貧困大国アメリカ』堤未果  格差社会の本場アメリカの怖ろしさ

70万部も売れた大ベストセラー 2008年刊行。日本エッセイスト・クラブ賞及び、新書大賞をダブル受賞したことで知られる。刊行当時は70万部を売った大ベストセラーである。 筆者の堤未果 (つつみみか)は1971年生まれの作家、ジャーナリスト。ニューヨーク州…

『戒名と日本人 あの世の名前は必要か』保坂俊司 戒名という切り口から見た日本葬送史

戒名の事が気になって 2006年刊行。筆者の保坂俊司(ほさかしゅんじ)は1956年生まれの宗教学者。本書執筆時は麗澤大学の教授だったが、現在は中央大学の教授。専攻は比較宗教学、インド思想。戒名「行俊」。 まず最初に誤植多すぎでゲンナリ。ですます調で…

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治 "三等分"したケーキのインパクト

120万部も売れたベストセラー新書 2019年刊行。筆者の宮口幸治(みやぐちこうじ)は立命館大学の産業社会学部の教授。元々は児童精神科医で、医療少年院では法務技官として勤務した経験を持つ人物。 本書は、新書大賞2020で第二位にランクインした作品である…

『四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼』上原善広 遍路で生活する人々の姿に迫ったノンフィクション作品

草遍路と四国の路地巡礼 2021年刊行。筆者の上原善広(うえはらよしひろ)は1973年生まれのノンフィクションライター。 2005年のデビュー作『被差別の食卓』は各方面で話題になったので、記憶されている方も多いのではないか。 被差別の食卓(新潮新書) 作…

『ドキュメント戦争広告代理店』高木徹 ユーゴ内戦の陰で暗躍した広告代理店

NHKスペシャルをベースとしたノンフィクション作品 2002年刊行。2000年の10月に放映されたNHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕~」をベースにしたノンフィクション作品。筆者はNHKのディレクターで、本作により第一回新潮ドキュメント賞、第24回講…

『サラ金の歴史』小島庸平 サラ金業界の勃興から隆盛、壊滅に至るまでを概観する

新書大賞2022大賞受賞作品 2021年刊行。筆者の小島庸平(こじまようへい)は1982年生まれの経済史学者。東京大学経済学研究科の准教授。 本書は2021年の2021年度の第43回サントリー学芸賞を受賞。更に、2020年12月~2021年11月に刊行された新書を対象とした…

『「感動」禁止!―「涙」を消費する人びと』八柏龍紀 「感動をありがとう!」でいいのかな?

「感動」を消費するわたしたち 2006年刊行。筆者の八柏龍紀(やがしわたつのり)は1953年生まれ。慶応卒で、教員、予備校講師などのキャリアを経て、著述、評論等の活動をされている方。その他の著作に2016年の双葉社『日本人が知らない「天皇と生前退位」』…

『無理ゲー社会』橘玲 メリトクラシー(能力主義)がもたらす格差社会

攻略不可能(無理ゲー)な社会に生きていないか? 2021年刊行。筆者の橘玲(たちばなあきら)は1959年生まれ。もともとは宝島社の編集者で、後に作家に転身。2002年の小説『マネーロンダリング』がデビュー作。小説以外の作品も多数執筆しており、再三改版さ…

『「かまやつ女」の時代』三浦展 ゼロ年代の女性の生き方を考察した一冊

三浦展によるゼロ年代の社会評論本 2005年刊行。筆者の三浦展(みうらあつし)は1958年生まれのマーケッター、評論家。最初の著作は1992年に出た『「豊かな社会」のゆくえ アメリカ・ウエイ ジャパニーズ・ウエイ』。 名前が売れ始めたのは代表作である、200…

『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』岡本亮輔 現代人の宗教的意識の変容を読み解く

現代の聖地はなぜ生まれるのか 2015年刊行。筆者の岡本亮輔(おかもとりょうすけ)は1979年生まれの宗教学者。現在は北海道大学の准教授を務めている人物。 2012年の『聖地と祈りの宗教社会学』では日本宗教学会賞を受賞している。 聖地と祈りの宗教社会学―…

『心をあやつる男たち』福本博文 マインドコントロールの実態に迫った一冊

STと新たな洗脳の仕組み 筆者の福本博文(ふくもとひろふみ)は1955年生まれのノンフィクション作家。『心をあやつる男たち』は1993年に刊行された作品。 心をあやつる男たち 作者:福本 博文 文藝春秋 Amazon 文春文庫版は1999年に刊行されている。 この記事…

『偽善系 やつらはヘンだ!』『偽善系II 正義の味方にご用心!』日垣隆 世に溢れる偽善者たちを叩きまくる

2000年刊行。本日は日垣隆(ひがきたかし)が2000代の前半に上梓した二冊の社会批判本をご紹介したい。日垣隆は1958年生まれの作家、ジャーナリスト、ノンフィクションライター。 1999年の『「買ってはいけない」は嘘である」』で第61回の文藝春秋読者賞を。…

『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』斎藤美奈子 物語世界から読み解くジェンダー意識

今週のお題「読書の秋」。本日ご紹介するのはこちら。 斎藤美奈子、初期の代表作 筆者の斎藤美奈子(さいとうみなこ)は1956年生まれの文芸評論家。デビュー作は1994年の『妊娠小説』。 余談ながら「紅一点」が北宋の政治家にして詩人王安石の詩の一節、「萬…

『しのびよるネオ階級社会』林信吾 “イギリス化”する日本の格差

英国事情通が説く、ネオ階級社会 2005年刊行。筆者の林信吾(はやししんご)は1958年生まれの作家、ジャーナリスト。1983年に渡英。欧州ジャーナルの編集長を経て1993年に帰国。その後は、イギリス滞在の経験を生かし、作家・ジャーナリストとして活躍中。 続…

『未来のドリル コロナが見せた日本の弱点』河合雅司 コロナ禍と「社会の老化」

「未来の年表」シリーズの第四弾はまさのドリル形式! 2021年刊行。河合雅司(かわいまさし)の大ヒットシリーズ『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』に続く第四弾である。 今回はまさかの「ドリル形式」を取っている。例えばこんな感じ。 現在、…

『老後の年表』横手彰太 老後に起きるトラブルと、その解決法をズバリ指南!

人生を「安全に生き抜く」ために 2021年刊行。筆者の横手彰太(よこてしょうた)は1972年生まれの老後問題解決コンサルタント。不動産会社の日本財託所属。NHKの『クローズアップ現代+』やテレビ朝日の『ワイド!スクランブル』など、メディアへの出演経験…

『人新生の「資本論」』斎藤幸平 晩年のマルクス思想が地球環境を救う?

「新書大賞2021」大賞受賞作品 2020年刊行。筆者の斎藤幸平(さいとうこうへい)は1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科の准教授。2018年、優れたマルクス研究書に与えられる、ドイッチャー記念賞を日本人初、それも歴代最年少の31歳で受賞している…

『格差社会―何が問題なのか』橘木俊詔 格差社会について知るために

格差社会に早くから着目していた著者の格差論 2006年刊行。筆者の橘木俊詔(たちばなとしあき)は京大大学院の教授(刊行時)。その後2007年に定年退職され、現在は同大の名誉教授。2005年度の日本経済学会会長職を務めている。 本書以外にも1998年に格差社…

『若者殺しの時代』堀井憲一郎 若者であることが決して得にはならない時代

ゼロ年代に書かれた「若者」論 2006年刊行。筆者の堀井憲一郎(ほりいけんいちろう)は1958年生まれのライター、コラムニスト。思いっきりバブルを謳歌出来た世代だな。テレビやラジオにも時々顔を出していた人物らしい。「週刊春秋」誌に連載されていた「ホ…

『他人を見下す若者たち』速水敏彦 他者を軽視し自らの尊厳を保つ「仮想的有能感」とは?

「仮想的有能感」の正体とは? 2006年刊行。講談社現代新書。筆者の速水敏彦(はやみずとしひこ)は1947年生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科の教授。 最近すぐ怒る人が増えた。ちょっとしたことで駅員に激怒しているオッサン。原因は電車が来るのが数分…

『町田忍の昭和遺産100』町田忍 個人的な昭和遺産写真も公開!

町田忍、昭和研究50年の集大成 2021年刊行。筆者の町田忍(まちだしのぶ)は1950年生まれ。警察官から転身して、庶民文化研究所を設立。近現代の庶民文化研究家として知られる人物。昭和レトロ系などの「なつかし」系のガジェットについて多くの著作を上梓し…

『コロナ後の世界』 パンデミックで人類の未来はどう変わるのか?

世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…

『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』 昭和30年代をカラー写真で楽しめる

昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…

『老後レス社会』 「一億総活躍社会」をどう生き延びるか

「一億総活躍社会」の過酷な現実と悲惨な未来 2021年刊行。朝日新聞社特別取材班編。2019年から、2020年にかけて日本の少子化高齢化と人口減少をめぐる諸問題を特集した朝日新聞上の企画「エイジングニッポン」の一環として刊行されたもの。 内容はこんな感…

『ブックオフと出版業界』小田光雄 20年前に書かれたブックオフ批判本

1990年代のブックオフ躍進を分析 2000年刊行。筆者の小田光雄(おだみつお)は1951年生まれ。評論、翻訳で著作が多数ある。特に出版流通、古書のジャンルについては豊富な知見を有している人物のようである。 2019年には『古本屋散策』にて、Bunkamura主催す…

『未来の地図帳』河合雅司 47都道府県はもはや維持できない

「未来の年表」シリーズの第三弾 2019年刊行。筆者の河合雅司(かわいまさし)は1963年生まれ。2017年の『未来の年表』2018年の『未来の年表2』に続く、講談社現代新書における「未来の年表」シリーズの第三弾である。 旧作、二冊の感想はこちらからどうぞ。…

『未来の年表2』河合雅司 人口減少社会で変わること

『未来の年表』の続編 2018年刊行。著者は1963年生まれ。産経新聞の元論説委員。現在は、高知大学客員教授、大正大学客員教授。内閣府、厚労省、農水省などの有識者会議委員などを歴任している。 2017年に刊行され、大きな反響を呼んだ『未来の年表』の続編…