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2019年に読んで面白かった新書8選

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2019年に読んで面白かった新書8選

昨日の2018年版に引き続き、元ブログからのお引越し記事。昨年のネタですみません。2020年版はここ数日中にはアップできる見込み。

今回も2019年に発売された著作ではなく、「2019年に読んだ新書」が対象である。ちょっと古い作品も混ざっているがその辺はご容赦頂きたい。

なお、テーマ別の選書で、特に順位などはない。

現代社会編

まずは、現代社会の問題点を認識するための二冊。今回は土地問題と、移民問題について選んでみた。

人口減少時代の土地問題

「持ち主が判らない土地が九州の面積を越えている」衝撃的な帯の惹句に惹かれて読んでみた一冊。

これまで土地とは何ものにも代えがたい貴重な財産だった。しかし、人口が減り続ける社会ではそうではない。売れない土地。増え続ける空き家。相続拒否される不動産。人口が右肩上がりに増えていた時代の土地制度を維持し続ける限り、この国の土地問題はいずれ破たんを迎える。

人口減少時代の新しい土地制度が必要であると筆者は説く。しかし、実際のところ、国や自治体側の動きは鈍いだろう。個人で出来ることは、出来る限り問題を先送りせず、しっかり制度について学んだうえで、先々に備えておくことが大切だなと痛感させられた。

『人口減少時代の土地問題』の詳しい感想はこちらから。

ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実

1988年に94.1万人であった在留外国人の数は、2018年には263.7万人にまで増えている。日本は技能実習生という美名のもと、外国人を短期的な労働者としては受け入れても、決して「移民」は認めようとしない。しかし、少子高齢化が深刻化する中で、もはや「移民」を認めざるを得ない時が来ているのではないか。

現在、技能実習生たちが置かれている労働環境は極めて劣悪なものである。人道的な観点からも、この状況を放置するのは許されない。「移民」を否認する国は、「人間」を否認する国なのであると筆者は説く。

現在の労働政策は、日本人にとっても決して恵まれたものではない。しかし、技能実習生というより過酷な層を用意することで、日本人労働者の不満のガス抜きをしようとしているのではないか?本書を読むとそんな可能性も十分にあるのではと考えさせられた。

『ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実』の詳しい感想はこちら から。

歴史編

歴史好きなので、新書の中でも歴史系の作品をどうしても多く読んでしまう。どれを選ぶかはかなり悩んだけど、今回選んだのはこちらの四作。

女系図でみる驚きの日本史

「胤より腹」。家は絶えても血は残る。男系で見ていけば蘇我氏も平家も当然滅亡しているわけだが、こと、女系に限ってその血統を追っていくと思わぬ発見がある。

歴史史料上、女性の名前が後世に残ることはほとんどなく、系図に記されているのはただ「女」とあるのみ。そんな史料を丹念に読み解いて、その血筋を辿っていく過程はミステリ的な面白さがある。

女系の歴史は、外戚による支配の歴史でもある。江戸期に入ると途端に女系図が辿れなくなっていくのは、徳川家がいかに外戚の排除に留意したかの証と言える。

『女系図でみる驚きの日本史』の詳しい感想はこちらから。

ナポレオン四代

英雄ナポレオン一世や、第二帝政で皇帝となったナポレオン三世は有名でも、果たしてナポレオン二世や、ナポレオン四世の事を知っている人間がどれだけ居るだろうか?

本書では偉大な父の陰でひっそりと消えていった、二人の息子にも焦点があてられている。特にナポレオン四世の最期はあまりに衝撃的なので驚かされる。

ナポレオン四代で、故国フランスでその生を終えた人間は一人もいない。それだけ19世紀のフランスは激動の時代だったこと本書を読むとよく理解できる。

 『ナポレオン四代』の詳しい感想はこちらから。

『マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女』

マグダラのマリアは知名度は高くても、どんな女性であったのか?その実像はほとんど知られていない。

娼婦であった罪深き女が、イエスに出会い改悛し、信仰に目覚め聖女へと変貌していく。よく知られている「マグダラのマリア」像は、キリスト教会が成立して行く中で意図的に形成されたものであるらしい。キリスト教を布教していく中で、とても好都合な信徒獲得例だったわけだ。

本書ではバロック期に描かれたさまざまな絵画を元に、聖と俗の間を揺れ動いた「マグダラのマリア」像の受容史を紐解いていく。

 『マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女』の詳しい感想はこちらから。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

第二次大戦最大の激戦地はナチスドイツとソヴィエト連邦との間で繰り広げられた東部戦線である。ヒトラーとスターリン。絶対的な独裁者に率いられた国同士の戦いは、際限のない絶滅戦争へと発展していく。

あまりにも凄惨な戦禍は、報復の応酬を招き、軍事的な合理性すら超越して、ただ「殺すため」の戦いへと変貌していく。人類史上最悪となる3,000万人の犠牲者を生んだこの戦争はいかにして起き、エスカレートしていったのか。本書ではその概要を知ることが出来る。

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』の詳しい感想はこちらから。

アラフィフになったら読みたい編

人間はとかく悩み多き生き物であるが、アラフィフゾーンに入ると悩みの質が変わってくる。身体、特に精神面での衰えへの不安が高まってくるのである。忍び寄る「孤独」。失われていく「記憶」。そんなテーマへの対策法として二冊をセレクトしてみた。

50歳からの孤独入門

心身の衰えを自覚するようになり、社会的なポジションについても先が見えてきた。

会社での地位、恋愛感情、家庭、そして親しき人々の永訣の時。これからの人生、ひたひたと忍び寄ってくるのは「孤独」の陰である。本書では、50歳以降に訪れるであろう、さまざまな「孤独」についての処方箋を解いていく。

かつては50歳になれば、せいぜい残り二十年程度で寿命は尽きていた。しかし人生百年時代、50歳はまだ折り返し地点に過ぎないのかもしれない。そう考えると「孤独」との付き合い方に親しんでおくことは、実は有意義なことなのかもしれない。

『50歳からの孤独入門』の詳しい感想はこちら から。

老いと記憶

中高年期に入り、次第に衰えていく身体機能だが、特に恐ろしいのは「記憶」の衰え。呆け、認知症への恐怖ではないだろうか。人間の尊厳。自己同一性を担保する「記憶」を失っていくことは、物理的な身体の機能低下以上に、辛い事のように思える。

人間の記憶は、高齢化と共に衰えていくだけなのだろうか?いまのうちに備えておくことは出来ないのか?本書はそんな切実な願いに、多少なりともヒントを与えてくれる一冊である。

『老いと記憶』の詳しい感想はこちら から。

おわりに

新書は、特定のジャンルについて知りたいときに、手軽に知識を得ることが出来る格好の媒体である。今年は読んだ新書の数は二十数冊程度。その中から厳選して、2019年に読んで面白かった新書8選をお届けした。いずれも知的好奇心を満たしてくれる良作揃いである。

面白かった新書シリーズ、2018年の結果はこちらからどうぞ

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