ビズショカ(ビジネスの書架)

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『J・S・バッハ』礒山雅 バッハ入門、定番の一冊

礒山先生が亡くなられてもう三年

日本でバッハ研究者といえばまずは礒山雅(いそやまただし)の名前が出てくる。1946年生まれで東大文学部卒。最近はNHK-FMの『古楽の楽しみ』でお声を聴くことが多かったが、残念ながら2018年にお亡くなりになった。雪の日の転倒が原因とのことで本当に残念。

J・S・バッハ (講談社現代新書)

礒山先生が編纂に携わった『バッハ辞典』は素晴らしいクオリティでバッハ好きたるもの必携の一冊だったりする。その割りには入門書である本書を、今の今まで買わなかったのはひとえに自らの手抜きを恥じ入るばかり。申し訳ない。いつでも買えると思って買わずにいたのだった。

内容はこんな感じ

名前は誰もが知っていながら、ヨハン・セバスチャン・バッハ(Johann Sebastian Bach)は意外に聞かれていない。取っつきにくい。親しみやすさに欠ける。曲が多すぎてどれから聞いて良いか判らない。しかし果たしてそれは本当なのか?日本におけるバッハ研究の泰斗である筆者が、明解な言葉で判りやすく解き明かすバッハ入門の書。

バッハ入門書として

1990年刊行で、現在二十五刷(入手当時)。三十年以上前の著作なのでどうしても古さは感じてしまう。写真のアーノンクールがメッチャ若い!昨今のバッハ事情から始めて、バッハ一族について、その経済観念、日々の生活、信仰について、楽譜に込められた数と象徴、演奏論、そして最後に聞いておくべき20曲、と比較的とりとめのない構成になっている。盛りだくさんというよりは、出来る限りいろいろ詰め込んでみましたという結果なのかもしれない。

全体のページ数200少々しかないから仕方無いけど、それぞれの記事が短めで食い足りない感は強いかな。編年体で、バッハが生まれてから死ぬまでのバイオグラフィーを簡単でもいいから書いておいて欲しかった。あと年表も欲しい。最後の名曲紹介もまだまだ欲しかった。って、礒山先生本人がいちばんそう思っていそうだけど。

叶わない願いながらも、もしご存命であれば最新のバッハ研究事情を踏まえて、もういちどバッハの入門書を書いていただきたかった。

余談ながら、名指しの上に写真まで出されて晒されて酷評されてるミュンヒンガーは可哀想。礒山センセ的には古学的なアプローチは是としながらも、それでもリヒター様には適わないというお考えの模様。自分的にも古楽スタイルの演奏が大好きだけど、リヒターは確かに別格かなと思う。

 

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