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『87%の日本人がキャラクターを好きな理由』香山リカ 日本人とキャラクターについて考える

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香山リカが読み解く「キャラクターと日本人」論

筆者の香山リカはお馴染みの精神科医。何が本業なのかわからないくらい活動されている方だが、立教大学現代心理学部映像身体学科教授というのがいちおうメインの肩書なのかな。本作を上梓した2001年当時では、神戸芸術工科大学の助教授だったはず。専門は精神病理学だが、ゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。

改めてWikipediaを見てみたけど、著作数スゲー。凄まじい量である。

共著である、バンダイキャラクター研究所は読んで字の通り、キャラクターを扱わせたら日本一の玩具メーカー、バンダイが2000年5月に設立した研究所。って、これまだあるのかな?ググっても出てこない……。

87%の日本人がキャラクターを好きな理由―なぜ現代人はキャラクターなしで生きられないのだろう?

「talks いとうせいこう 汐見稔幸(東大助教授:当時)」とあるように、両名との対談も収録されている。

この本で得られること

  • 日本人がどうしてキャラクター好きなのかがわかる
  • キャラクターがいかにして作られているかがわかる

目次

本書の構成は以下の通り。

  • 第1章 キャラクターと現代人の奇妙な関係
  • 第2章 キャラクター天国の向こう側
  • 第3章 キャラクター開発の現場から
  • 第4章 対談・いとうせいこう×香山リカ×バンダイキャラクター研究所―サブキャラの時代は何を意味するのか?
  • 第5章 対談 汐見稔幸×香山リカ×バンダイキャラクター研究所―子どものままでいたい親が必要とするキャラクターとは

内容はこんな感じ

世界有数のキャラクター大国日本。幼い頃からキャラクターに囲まれて育ち、成人の男女があたりまえのようにキャラクターグッズを身につけている現状。何故この国でこれほどまでに特異な文化が成立したのか。現代人はキャラクターにいったい何を求めているのか。そしてどんな影響が生じているだろうか。

極端な例ばかりが取り上げられている印象

キャラクターなしには子供と会話が出来ない母親、子供をキャラクター化して自らの苦しみを仮託する母親。仕事場の周りにキャラクターの城壁を築くことでストレスに対処している会社員。キャラクターグッズ集めに自らのアイデンティティを求める初老男性。と、諸外国に比べて、顕著とされる日本人のキャラクター好きにスポットを当てた作品である。

うーん、ちょっと心当たりがあったりする自分としては気まずい部分があるのだけど、少々極端な例ばかりをとりあげて、論拠を構成しすぎてないだろうか。世の中そんな特異なパターンばかりというわけではないと思うのだけど……。

「なのかもしれない」「といった気がする」といった類の締め方が多いのも気持ち悪い。筆者がそう思いこむのは勝手だけど、だったらせめてこういうことはしっかり言い切って欲しいところである。

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