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『グーグル・アマゾン化する社会』森健 超巨大IT企業に情報が一極集中するリスクを考える

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ゼロ年代のAmazonとGoogle

2006年刊行。筆者の森健(もりけん)は1968年生まれのライター、ジャーナリスト。

2012年の『「つなみ」の子どもたち』『つなみ 被災地の子ども80人の作文集』で第43回の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。また、2015年の『小倉昌男 祈りと経営』で第22回の小学館ノンフィクション大賞を受賞している。

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

この書籍から得られること

  • GoogleやAmazonのサービス内容について知ることが出来る
  • 情報の一極集中化の危険性について知ることが出来る

内容はこんな感じ

Web2.0という言葉が取り沙汰されるようになって久しい今日。ユーザーの力を利用することで飛躍的な発展を遂げることになった二つの企業。グーグルとアマゾン。この二社は先進的なシステムを提供したことで莫大な先行者利益を獲得した。人間の思想、ライフスタイルが多様化していく一方で、圧倒的な一極集中という現象が起きるのは何故なのか。静かに進行しつつある変化に着目した一冊。

目次

本書の構成は以下の通り

  • 第1章 多様化が引き起こす一極集中現象―巨大な一極とフラット化した世界
  • 第2章 Web2.0の世界―「ユーザー参加型」「膨大なデータベース」
  • 第3章 Amazon―参加のアーキテクチャー
  • 第4章 Google―半強制的な参加のアーキテクチャー
  • 第5章 スケールフリー・ネットワーク―金持ちほどますます金持ちになる理由
  • 第6章 個人への一極集中―タグとパーソナライゼーション
  • 第7章 「民主主義」によってつくられる“主体性ある思考”

一極集中のその先にあるもの

先日ご紹介した、梅田望夫の『ウェブ進化論』と並んで、当時の人々がネットに対して、どんな期待感や未来感を覚えていたかを知ることが出来る一冊。

多様化、個人化が進む現代社会にあって、どうして一極集中という現象が起こるのか、という問題提起の書。パーソナライズが進み、自分に取って便利な機能、取得したい情報ばかりを集めていると、いつの間にか入ってくる情報が偏ってしまうのではという指摘は確かにその通り。

特定キーワードで抽出したRSSフィードを細かく設定していたり、Yahoo!ニュースや、須磨とニュースをカスタマイズして使いまくっている、はてなブックマークヘビーユーザーの自分は、実はちょっとヤバイのではと反省。いつの間にか、読んでいて心地よいと感じる情報しか受け取らないようになっていた。

ただ、誰にでも判りやすく書くために、グーグルやアマゾン、web2.0の説明にかなりのスペースを取られてしまっている。それだけに前提を知ってる人間にはちょっともどかしい。正味読めるところが半分以下になってしまっているのは残念。

関連本としてはこちらも