ビズショカ(ビジネスの書架)

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『不安のしずめ方40のヒント』加藤諦三 人生や仕事の不安を解消する考えかた

『テレフォン人生相談』のパーソナリティが書いた不安のしずめ方

私事で恐縮だが、コロナ対応によるテレワーク生活がかれこれ三か月になろうとしている。当初は出社しなくてよい気軽さを喜んでいたものだが、これがいざ仕事をしてみるとさまざまな問題が出てくる。

とにかくコミュニケーションがうまくいかないのだ。相手の顔が見えない、空気感がわからないから、意思の疎通が食い違っていく。誤解から相手を怒らせてしまうようなこともあった。すっかり、気が滅入ってしまい、不安になったときに出会ったのが本書である。

本書は2016年刊行。筆者の加藤諦三(かとうたいぞう)は1938年生まれ。東大卒の社会学者で、早稲田大学の名誉教授。ニッポン放送の『テレフォン人生相談』のパーソナリティを長期にわたって担当しており、ラジオを聞く方にとってはかなり有名な方かもしれない。

おススメ度、本書があなたにもたらすもの

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

自分の中にある不安を見極めて、適切な対処が出来るようになる。不安の正体を知ることが出来る。不安に対してどう向き合えばいいのかがわかる。

不安で消耗しない「生き方のヒント」を得ることが出来ます。

『不安のしずめ方40のヒント』内容

人はどうして不安になるのか。人減関係のトラブル、仕事がうまくいかない、老後の健康が心配だ、うまくいかなかったらどうしよう。人生に不安の種は尽きない。不安な心は身心を委縮させ、消耗させていく。人生の最大の敵ともいえる不安に対して、人間はどう向き合い対処していくべきなのか。不安はいかにしてしずめることが出来るのかについて説く40の処方箋。

不安の正体をみきわめる

不安にはさまざまな種類がある。一例として筆者は以下を挙げている。

  • 自分の価値が脅かされる
  • 保護と安全が脅かされる
  • 自分の存在が脅かされる
  • 老後の生活の不安

不安状態に陥ると、人間は勇気が出せなくなる。また失敗するのではないか。また叱責を受けるのではないか。そんな風に考えてしまうと、人は自分の力を試すことに躊躇するようになる。自己実現のための努力すらできなくなっていく。

これに対して、筆者は

不安の原因を見つけ出し、それを攻めることができるようになれば、不安をしずめる具体的な方法も見つかる。

と、説いている。

不安は種類によってそのしずめ方も異なる。故に、まずは不安の正体を見極めることが大切なのである。

不安と決別するには「迎合」しないこと

不安を解消したいなら他人に迎合してはいけない

と、筆者は説く。

他人に迎合したところで、自身の中にある不安はなんら解消されない。迎合は自らをあえて弱い立場に置くものである。迎合を続けていくことで、自身の価値は更に低くなっていく。

迎合することは相手に賄賂を渡すような心理だから、拒絶されたことは痛手になる。

迎合とは相手の歓心を買うために自らを貶める行為である、それであるが故に、万が一その行為が受け入れられなかった時のダメージも大きいのだ。

他社に対して迎合することは、人生を何ら良くしない。自己主張していくこと、自分はどうしたいのだということを常に主張してくことが大切。その瞬間は苦しくても、長い目で見ればその方が、不安の克服につながっていくというわけである。

不安のしずめ方は、腹のくくり方

 

迎合とは、相手に気に入られたい。冷たくされたくない、めんどうだから解決を先送りにしよう。そんな後ろ向きの理由がつきものである。だが、その積み重ねは不安につながり、次第に自身の精神を蝕んでいく。

であれば、どうすればいいのかと言うと、筆者曰く、

不安のしずめ方は別のいい方をすれば「腹のくくり方」である。

とする。迎合は「逃げ」なのであるから、それをやめて立ち向かう姿勢を取る。

自分は利用されているだけなのではないか?相手に気に入られなくてもいい。嫌われてもいい。何の不都合もない。そこで「ノー」と言うことで、何か問題はあるのか?そこまで腹をくくれるかどうかなのだと。

人生の責任は全て自分にある

他者に迎合し続けて生きることは自身の精神を消耗させる。人生の責任は自分にあるのだから、断るべき時には断る。きちんと自分の意見を主張する。主体性をもって自分の人生を生きることが肝要であると筆者は繰り返し主張している。

努力の方向を反対にしなければならない。逃げる努力から立ち向かう努力へである。

立ち向かう努力のための、ポイントしては本書では以下の四点を挙げている。

  • 孤独を恐れない
  • 自分の中身を充実させる努力を怠らない
  • 自分を守ることを常に考える
  • 不安だからと言って他者に迎合しない
  • 自分で自分を貶めない

案ずるより産むがやすしと次善の策

とはいっても、不安であるが故の迎合を続けてきた人間が、突然マインドをチェンジして主体的に生きていくのは難しいだろう。

ここで筆者は二つのアドバイスを提示している。

心の中で描いたイメージだけで物事を考え、かつ実行しようとする人はすぐに降りてしまう。

つまり実際にはそんなに辛いことでもないのに、想像の世界だけで生きる人は、それを大変辛いことだと思い込んでしまっている。

実際にやってみれば、意外に楽なこと、辛くないことはいくつもある(そうでない場合ももちろんあるのだが)。案ずるより産むがやすし。まずはやってみることである、と。

そして二点目。

スーパーマンでない人間が生きていく上で大切なのは、次善の策をとるという姿勢である。

とかく、人間は成功か失敗か。零点か100点かで、物事の成否判断しがちだが、人間社会の多くの問題は、そうではない。成功でもない失敗でもないほどほどの成果。50点の成果で十分な場合もあるのだ。何事も「最高」の結果で終わるのがイチバンであるのは間違いないが、次善の策、次々善の策で、何ら問題ないことの方が実際は多い筈である。

そう考えると、ずいぶんと「立ち向かう努力」も楽に取り組める。

おわりに

余程の楽天家でもない限り、不安状態に陥ることがない人間は稀であろう。人生に不安はつきものである。本書『不安のしずめ方40のヒント』で筆者が述べていることは、わたしにとっては、概ね納得感のある内容であった。

ただ「立ち向かう努力」を振り絞るには、それ相応の勇気と気力が必要である。既にそうとうに打ちのめされている場合、ダメだとわかっていても「迎合」の選択肢を取ってしまう方も多いのではないだろうか。

かくいうわたし自身もその一人なのだが、せめてもの第一歩として、10のうち1つだけでも「迎合」しない。少しでもいいから、主体性をもって、「自分がどうしたいのか」。そんな点にこだわって生きていければと現在わたしは考えている。