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『書ける人だけが手にするもの』齋藤孝 書ける人は自分らしく充実した人生を手にできる!

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「書きたい」けれど「書けない」あなたに

ちょっとした短文ならすぐ書ける。Twitterでコメントするならいくらでも投稿できる。でも、少しまとまった量の文章になると途端に手が動かなくなる。ブログに挑戦してみたいけれど、何を書いていいかわからない。そんな方はおられないだろうか?

そんなあなたに是非読んでいただきたいのが、本日ご紹介する齋藤孝の『書ける人だけが手にするもの』だ。

書ける人だけが手にするもの (SB新書)

本書は2022年刊行。筆者の齋藤孝(さいとうたかし)は1960年生まれの教育学者で、明治大学文学部の教授。幅広いジャンルでの著作があり、本ブログでは以前に『読書する人だけがたどりつける場所』『50歳からの孤独入問』を取り上げている。

この書籍から得られること

  • まとまった量の文章が書けるようになる
  • 自分の中にあるもやもやしたものをカタチにできるようになる

内容はこんな感じ

書きたい気持ちはあるのにうまくまとまらない。長い文章が上手く書けない。がんばって書いたのにまったく読まれない。「書く」ことにたいする悩みは尽きない。そんなときは、考えながら書いてみよう!書きながら考えてみよう。まずは書き始めること。そして書きながら考えることで文章は書けるようになる。数多くの著作を世に送り出してきた筆者が贈る、文章術の実践ノウハウ集。

目次はこんな感じ

本書の構成は以下の通り。

  • はじめに
  • 序章 話すように書けば、原稿用紙10枚書ける―まとまった量の文章を書くのはなぜ、難しいのか
  • 第1章 文章の書き方には「型」がある―フックをつければ、すらすら書ける
  • 第2章 文章は準備が9割―文章力超入門
  • 第3章 迷わず書ける処方箋―思いを言葉にする力
  • 第4章 「読む」ことで「書ける人」に生まれ変わる―書く力で人生は変わる

書くことで自分の内面がわかるようになる

『書ける人だけが手にするもの』ではさまざまなノウハウが披露されているが、一番大切なことは序章部分に書いてある。それは「書くネタ」は思いつかなくていいという点である。

文章を書こうと思うと、事前に調べ物をしたり、構成を考えたり、骨子を固めたりと、堅苦しく考えてしまうことはないだろうか?筆者は、まずこれがいけないと説く。とりあえずまずは書き始めてみる。書きながら考えてみる。書くことで次第に自分の中にある「何か」が形になってくるというのである。

人間の内面にはさまざまな感情や考えが存在する、しかしそれは外からではよくわからない(自分自身ですらも)暗闇のようなものだ。だが、筆者は「書き言葉というのは、その暗闇を照らすランタンのようなもの」だという。書き言葉というランタンを手に、書き続けることで、次第に自分の中にある「何か」を形にすることができる。

考えることと書くことはそもそも簡単に分けられるものではない。書くことは思考の一部なのだ。そして書いているうちに、自分の中でも整理されていなかった考えが、いつのまにか文章として形になってくるのだ。

話すように書いてみる

まず書いてみよう、それはわかった。だが、それが難しいのだ。そう思われる方も多いだろう。続いて筆者は「話すこと」と「書くこと」を近づけてみようと主張する。書くのは難しくても、話すことなら比較的カンタンに出来るはずだ。だから「話すように書いてみよう」。そう筆者は主張する。

もちろん「話すこと」と「書くこと」の間には壁があって、話し言葉をそのまま文章にしたとしても、それはちょっと残念なものになってしまう。話し言葉では、言葉以外にも身振り手振り、表情、場の雰囲気など、言語化できない情報がプラスアルファの表現要素として存在している。そのため話し言葉をそのまま書き言葉にしても「伝わらない」のだ。

話すように書くための3つのステップ

それではどうするか?例えば「本の感想」を書くとする。その場合の筆者の示す3つのステップはこちら。「話すこと」と「書くこと」の距離を縮めていくための工夫だ。

  1. 好きな本を読みキーワードをピックアップ
    ⇒まずは好きな本を一冊読む。そして気になる箇所をピックアップする
  2. 読んだ感想を人に話す
    ⇒1で読んだ本の感想を身近な人に話す。
    ⇒ポイントは1でピックアップしたキーワードを入れること
    ⇒話し言葉では使わない言葉や、言い回しもあえて使ってみる
  3. 話した内容をもとに書いてみる

2のステップで人に話すことで、ポイントが整理される。また、書き言葉を意識した語彙を使ってみることで、「話すこと」と「書くこと」の距離を縮めている。

「書く人だけが手にするもの」は何なのか?

以上、『書ける人だけが手にするもの』の肝と思える部分をご紹介した。この部分まで実は30頁ほどしか使っておらず、後半にはその他にも数多くの実践的なテクニックが披露されている。読み手の関心を惹きつける、フックをつかった文章の書き方。文章を書くための準備、ネガティブな反応が怖いときの工夫などなど、お役立ちネタが満載なので、気になる方は是非、手に取っていただきたい。

そして最後に本書のタイトル「書く人だけが手にするもの」について考えてみたい。

冒頭にも書いたが「書き言葉というのは、その暗闇を照らすランタンのようなもの」と筆者は説く。つまり書くことによって、人間は自分の内面にある「何か」をカタチにすることができるようになる。それは自分自身を客観視することにも繋がり、自分の内面を理解することにも繋がる。自分を理解することが出来れば、より自分らしく生きることが出来る。「書ける人」は自分らしく充実した人生を手にするのだと筆者は云うのである。

かくいうわたし自身もブログによる発信を、旧ブログ(うっかりドメイン失効してしまった)や別ブログを含めると、かれこれ20年近く続けている。書き続けることで、自分が何をしたいのか、何を考えているのかは、たしかに明確になっていると思う。

最初の頃は400文字書くだけでも苦しかったのが、最近は1,000文字=1時間程度書けるようになったので、何事も継続は大切だなとも感じている。これも『書ける人だけが手にするもの』の成果の一つかもしれない。

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