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『「かまやつ女」の時代』三浦展 ゼロ年代の女性の生き方を考察した一冊

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三浦展によるゼロ年代の社会評論本

2005年刊行。筆者の三浦展(みうらあつし)は1958年生まれのマーケッター、評論家。最初の著作は1992年に出た『「豊かな社会」のゆくえ  アメリカ・ウエイ ジャパニーズ・ウエイ』。

「かまやつ女」の時代―女性格差社会の到来

名前が売れ始めたのは代表作である、2004年の『ファスト風土化する日本』、2005年の『下流社会』あたりからだろうか。ゼロ年代あたりから始まった格差社会モノの論客の一人である。

おススメ度、この本を読んで得られること

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

  • 2000年代の女性のライフスタイルの変化について知ることが出来る
  • 階層化していく日本社会の兆しを女性のファッションの変化から読み取ることが出来る

内容はこんな感じ

だらっとした服装。スカートは履かない。髪型はもっさり。一昔前のオッサン風スタイルの20歳前後の女の子「かまやつ女」が増えている。彼女たちの心情は、ゆるく、頑張らない、マイペース、のんびり、ゆっくり。オンナでることを誇示せず、上昇志向を持たない「かまやつ女」の増加は格差社会の本格化を暗示するものなのだろうか。

自分らしさが大切な「かまやつ女」

タイトルの「かまやつ女」とは三浦展自身が命名したものである。「ファスト風土化 」「下流社会」と共に、三浦展が作った造語の一つだ(前二者ほど、一般化しなかったと思うけど)。でも、かまやつひろし知ってる若い子はいないんじゃないかと思うけど、オッサンたちに読ませる本だからいいのかな。

生まれたときから中流で、自分の能力も程ほど。オンナを露骨にアピールするのもちょっと……。お金が無くても、自分らしさを出しながらまったり生きられればそれでいいじゃん。ってのが「かまやつ女」たちの考え方。そんな女の子が最近(ゼロ年代の話ね)増えているのではというのが筆者の主張である。

上昇志向の女性を「六条女」と定義

一方で、かまやつ女の対極的存在として、才色兼備の上昇志向女を「六条女」と位置付ける。女性の間にも当世お馴染みの合い言葉グローバル化が進行しているのではないかと説き、格差社会は確実に進行しているのだと警鐘を鳴らしてみる。

ちなみに、「六条女」については、六条華(現:楠城華子)が引き合いに出されているけどこれも知名度的に、今の感覚だとわかりにくいか。まあ、この辺は15年も前の著作だから致し方ない。

ファッションの世界がわからないと辛いかも?

筆者はファッションの世界に造詣が深く、ファッション誌を引き合いに出した説明が頻出するのだが、そちらの世界にあまり馴染みがないわたしとしては、正直ついていけなかった。せめて、もう少し詳しい注釈が欲しかったところである。

また、三浦展の著作にありがちなのだが、統計データとしてグラフや表に書いてあるのに、いちいち文章でも、~が何%、~は何%ってわざわざ言葉にして全部書いているのが意味不明。ページ稼ぎなのか?

着想のポイントは面白いけどベースとなる統計データが少なすぎるのも気になった。

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