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『下流喰い』須田慎一郎 消費者金融の手口と実態を知る

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消費者金融の実態に迫る一冊

2006年刊行。当時なにかと話題であった消費者金融の実態に迫った一冊である。この時期は大手消費者金融の不祥事軒並み明るみに出ていて、メチャクチャ叩かれていた頃である。実にタイムリーなタイミングでの刊行であった。

筆者の須田慎一郎(すだしんいちろう)は1961年生まれの金融ジャーナリスト。金融、経済関係の著作が多数ある。TVやラジオでコメンテイターとして登場したりもしている。

下流喰い ――消費者金融の実態 (ちくま新書)

内容はこんな感じ

消費者金融は莫大な利益をあげてきた。長者番付の上位には業界の経営者たちがずらりと並び、地方の寂れた駅前にはサラ金ビルが林立、テレビでは爽やかなイメージのCMがにこやかにキャッシングをアピールしている。グレーゾーン金利という法律上の抜け穴を武器にした、悪魔的ビジネスモデルの秘密について迫る。

消費者金融の巧妙な手口がわかる

本書刊行当時で、日本には多重債務者は350万人いたらしい。

とにかく長く貸す。低収入者にしか貸さない(すぐ返されちゃうから)。電話をかけて無理矢理貸す。自己破産者(しばらくは自己破産出来ない)を見つけて更に貸す。ホントに酷い業界である。

出資法の限界まで利率を上げられると、普通の稼ぎでは利息を返すのが精一杯。一生涯かけて返済を続けなければならない。こんな仕組みが今の今まで野放しだったのが不思議でしょうがない。サラ金大手五社の年間宣伝費は800億にもなるそうで、この莫大な金額はそのままマスコミに流れている。そりゃ大のお得意様なんだからメディアからの批判も甘くなるわけである。

しかし、2005年あたりから、掌を返したかのように、政府やマスコミは徹底的に消費者金融業界を潰しにかかる。さすがに儲けすぎたからなのか、不祥事を起こし過ぎたからなのか?でも、これだけ儲けまくった業界が、政治的なネゴを疎かにするとは思えないから、どこかで何かの禁忌に触れてしまったのだろうか?

この時期、消費者金融は全国的なパッシングと、政府からの規制強化で、大きなダメージを受けた。しかしその後はメガバンクが待ってましたとばかりに、その受け皿になったので、結局のところそういう筋書きだったのねと、今にしてみれば判るよね。

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