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決算書くらいは読めるようになりたいあなたに

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決算書が読めないコンプレックスをなんとかしたい

社会人一年目頃、研修の一環として簿記三級の資格を取りましょうという勉強会があった。最初の何回かだけ通ったものの、あとは日々の忙しさにかまけて脱落してしまった。同期で、ちゃんと合格したのは経理配属の子だけだった気がする。そんなトラウマがあって、会計については長年苦手意識を持っていた。もちろん決算書は読めない(お恥ずかしい)。

そんな中、本が好き!さんの献本企画に応募したところ、見事に当選!本書『決算書のトリセツ』をご恵贈頂くことが出来た(ありがとうございます!)。ということで、これを機会に勉強しなおしてみることにした次第。

「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ

『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』は2021年刊行。読んで字のごとく、決算書の読み方を解説した本である。筆者の前田忠志(まえだただし)は1971年生まれの公認会計士。

その他の著作として『脳と言葉を上手に使う NLPの教科書』『優柔不断・ネガティブ思考・あきっぽい…… 「思い通りにいかない自分」を変える技術』がある。

この本で得られること

  • 決算書を読むための最低限の知識が身につく
  • 有名企業28社の決算書のポイントがわかる

内容はこんな感じ

決算書は会社経営の結果を表したものである。決算書を読めば自社の実態がわかるし、取引先の経営状態も理解することが出来る。社会人としてこれだけは押さえておきたい決算書の「基本のキ」を豊富な実例と共に解説。実践重視、基本重視、実例重視。解説要素を最低限の項目に絞った知識ゼロから学べる超入門書。

目次

本書の構成は以下の通り

  • はじめに
  • 第1章 大きい取引が出来るのは社長か?課長か?
  • 第2章 なぜ頑張っても給料は増えないのか?
  • 第3章 持ち家と賃貸どちらが得か?
  • 第4章 なぜ牛丼店のいすには背もたれがないのか?
  • 第5章 本が売れない時代に、なぜ多くの新刊が出るのか?
  • おわりに

第1章と第2章が損益計算書(PL)編。第3章と第4章が賃借対照表(BS)編。そして最後の第5章がキャッシュ・フロー計算書(CF)編となっている。

以下、本書の三つの特徴、実践重視、基本重視、実例重視について説明したい。

実践重視:「決算書」をとにかく読んでみよう

決算書を読む行為はビジネスにおいてはごくごく普通の、最低限のアクションだ(残念ながらわたしは身についていないのだが)。したがって、日々の業務の中で、当たり前に実践されるべきスキルである。そのため、本書はいかに実践の場で決算書を読めるようになるかにこだわって書かれている。

各章のタイトルについても「なぜ頑張っても給料は増えないのか?」や「持ち家と賃貸どちらが得か?」など、会社経営の問題を、身近なテーマに置き換えて説明してくれるので、読む側としても話題に入りやすい。図表やイラストも豊富で、文字だけのページがほとんどないのが、初学者には嬉しい。

基本重視:「決算書」読むための最低限の要素だけ

本書では専門用語の類は、本当に重要なことしか書かれていない。そのため、ある程度会計についての知識がある方には、とても物足りなく感じてしまう書籍ではあると思う。あくまでも本書は「超初心者」向けに書かれたもの。なにせ、数字を読む際のコンマの振り方の解説までしてあるのだ。学生さんや、若い社会人の方には嬉しい配慮かもしれない。

  • 売上総利益(粗利)=売上高-売上原価
  • 純資産=資産-負債
  • 自己資本比率=純資産/総資産

といった、基本的な要素の算出方法についても、新設丁寧に説明が入るので、ビギナーとしてはまずはこの数式を理解するところから始めると良いかもしれない。いずれも具体例と共に提示されるので、理解はしやすいはずだ。

実例重視:有名企業28社の「決算書」の読み方がわかる

最後は実例重視だ。これが個人的にいちばん楽しく読めた部分でもある。本書ではニトリ、JAL、オリエンタルランド、東京電力、任天堂、スターバックスなど、著名企業28社の決算書が登場し、各社の特徴が紹介される。これらは、各章のテーマとも連動しているので、より深い理解をもたらしてくれることにも貢献している。

東京電力は東日本大震災による莫大な損害賠償金を払っているのに、どうして黒字決算が続くのか。人気のアパレル企業、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ZOZO、しまむらの違いはどこにあるのか。大塚家具が失敗した理由、などなど、単純にコラムとして読んでも面白かった。

決算書を読んでみよう!

以上、前田忠志の『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』について、その特徴をご紹介させていただいた。

本書のあとがきによると

ただ多くの人は、そこまで決算書に関心をもてないのもわかります。

「決算書を読めなくても困らない」とか、「困らないけど読めるぐらいにはなっておきたい」とか、「仕事で必要なので最低限の知識はつけたい」という人の方が多いでしょう。

そういう人にも、決算書を身近に感じてもらいたいとの思いをもって、この本を執筆しました。

『「会社の数字」がみるみるわかる! 決算書のトリセツ』p201~202より

とある。わたしはこの事例に見事に当てはまるのだが、読んでみて本当に良かったと思っている。これなら会計音痴のわたしでも理解できた。ビジネスパーソンであれば、読んだその日から役に立つ知識なので、身につけておいて全く損はない(というか、知らないとホントに恥ずかしい)。

早速、本書をもとに自社の決算書を読み解いてみたのだが、やはり実践に勝る勉強はない。せっかくなので、かつて諦めた簿記の勉強も再開してみようかなとも思っている。

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