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『中世・ルネサンスの音楽』皆川達夫 国内最初期の古楽ガイドブック

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皆川達夫先生がなくなられて一年

別ブログの方で軽く触れたが、わたしは高校時代から合唱を続けている人間だったりする。合唱の世界では、皆川先生と言えば業界の大重鎮のひとりであった。最初にお姿を拝見したのは、立教グリー男声の定期演奏会だったように記憶している。

直接ご指導いただいた機会はないものの、コンクールやイベント等で審査して頂いたり、指導されている団体(中世音楽研究会)の演奏を聞かせて頂いたりと、勝手に身近に感じさせていただいた先生だ。「夏がきた」のカノンは皆川先生に教えていただいたようなものである。

本日ご紹介する『中世・ルネサンスの音楽』は、皆川先生による音楽ガイドブックである。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★(最大★5つ)

クラシック音楽が好きだけど、もっと古い時代の音楽に触れてみたい方、古楽初心者におススメ!皆川先生にお世話になった方は全員読むべき。

最初期の古楽ガイド

『中世・ルネサンスの音楽』は1977年刊行。今から40年以上も前に書かれている作品である。古楽系のガイド本としては最初期のものではないだろうか。

皆川先生は東大文学部出身で、本書の刊行当時はまだ立教大学の教授。まだ50歳の頃なので著者近影の若いこと若いこと。

カバーデザインが格好いい!

講談社現代新書が、現在の素っ気ない画一化されたデザインになる前の、一冊一冊個別にデザインされていた頃のカバーデザインがとても懐かしい。手間はかかるんだろうけど、絶対講談社現代新書のカバーは当時の方が断然好みである。

ちなみに、初版刊行当時の価格は390円だった。

中世・ルネサンスの音楽 (講談社現代新書 472)

現在は、講談社学術文庫版の方が手に入りやすいだろう。2009年に刊行されている。

内容はこんな感じ

ベートーヴェンよりもモーツァルトよりも、そしてバッハよりも以前のヨーロッパ音楽はどのようなものだったのか。グレゴリオ聖歌に端を発する単旋律音楽。各地に現れた吟遊詩人たちの存在。多声音楽の誕生は音楽をより高度に複雑化させていく。ノートルダム楽派の登場。そして多種多様に開花していくルネサンスの音楽。ヨーロッパ音楽の淵源はここあった。

初心者向けのガイドブック

今でこそ中世・ルネサンスの音楽はリスナーも増えたし、演奏者もプロからアマチュアまでたくさんいるけど、当時はまさに知る人ぞ知るマイナージャンルだった筈。よくぞ出版までこぎつけたものだと思う。ちなみに講談社学術文庫から出ている『バロック音楽』 は姉妹編。こちらも元々は講談社現代新書から1972年に出ていた書籍である。

古代からルネサンス期までのヨーロッパ音楽の流れを概説しながら、オススメ作曲家を片っ端から列挙していく初心者向けのガイドブックスタイルを取っている。

扱っているテーマが古いだけに、今でも十分通用する内容となっている。『バロック音楽』とセットで、是非とも手に取っていただきたい著作である。

それでも曲の素晴らしさはなかなか文字だけでは伝わらない。本当は実演に触れていただけるのが一番良いに決まっているのだが、コロナ騒ぎで、合唱含め音楽系の活動は当面は実施が不可能な状態となっている。せめて、Youtubeなどで実演奏に触れていただければと思う。

中世・ルネサンスの音楽 (講談社現代新書 472)

中世・ルネサンスの音楽 (講談社現代新書 472)

  • 作者:皆川 達夫
  • 発売日: 1977/02/20
  • メディア: 新書
 

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