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『未来の地図帳』河合雅司 47都道府県はもはや維持できない

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「未来の年表」シリーズの第三弾

2019年刊行。筆者の河合雅司(かわいまさし)は1963年生まれ。2017年の『未来の年表』2018年の『未来の年表2』に続く、講談社現代新書における「未来の年表」シリーズの第三弾である。

旧作、二冊の感想はこちらからどうぞ。

本作の目次はこんな感じ

<目次>
第1部 現在の人口減少地図 ――日本人はこう移動している
序 市区町村による「住民の綱引き」に勝者はいない
1―1東京圏 東京は共存の道を探るべき「日本の外国」である
1―2関西圏 三大都市圏の中で減少スピードが最も速いのは、関西圏
1―3大阪市 「西の都」の人口拡大を下支えしているのは、外国人住民
1―4名古屋圏 名古屋市最大の懸念材料は、リニア新幹線と広すぎる道路
1―5北海道 「ところてん式」の札幌市は、200万人を超えるか
1―6東北 政令指定都市なのに通過都市、仙台パッシングの理由とは
1―7中国 周辺から人を集めきれず、「磁力の弱い」広島市
1―8九州 福岡市は北九州市と熊本市の二大都市を吸収か
1―9東京圏 一極集中が続く東京圏、その内側を覗いてみれば

第2部 未来の日本ランキング ――20年後、日本人はどこに暮らしているか
序 塗り替えられてゆく日本列島
2―1 都道府県の人口差は30倍超へ
2―2 東京圏という「外国」は、老化に苦しむ(練馬・足立・葛飾・杉並・北区の4人に1人が高齢者/多摩地区すべてが人口減少に)
2―3 政令指定都市は、極端に明暗が分かれる(札幌市が「北のシルバータウン」に/大阪市が「逆ドーナツ化」する)
2―4 県庁所在地・地方都市は、不便さの増すエリアが拡大(「限界自治体」が111ヵ所に/「無医地区」が広がってくる)
2―5 出産期の若い女性が減少する地域はここだ(出産期の女性がたった1人になる村)

第3部 それぞれの「王国」の作りかた
序 なぜ地方創生はうまくいかないのか?
令和時代に求められる5つの視点

20年後、2040年の47都道府県はどうなっているのか?

人口減社会ではどんなことが起きるのか。広範なテーマについて取り扱った、過去の二著作に比べると、今回のテーマは至ってシンプル。目次を見ればだいたい内容は予想がつくと思うけど、2040年に各地の人口はどこまで減るのか。地域それぞれの事情を読み解きつつ、最新のの統計データから、未来の地図帳を予測したのが本書である。

各地域ごとの傾向がそれぞれ示されるので、「うちはどうなんだ」と気になっている方には、それぞれ需要がありそう。主要都市を満遍なく網羅した戦略は理にかなってるように思える。本書も売れそうである。

47都道府県は維持できない?

25年後の2045年、本書によると青森県は人口が58.9%減、岩手県は51.2%減、秋田県に至っては62.4%減と驚くべき予測がたてられている。鳥取県の人口は県全体でも45万人を割込み、山梨県の県庁所在地である甲府市は人口が15万人を切る。

ここまで人口が減ってしまうと、公務員がそもそも十分な数が集まらないだろうし、現在の都道府県、市町村の枠組みでは満足な行政サービスが提供できないのは容易に予想がつく。

ここまで人が減るのであれば、確かに新しい行政の枠組みが、考えられてしかるべきだと思う。とはいえ、昨今の政治家は目先の利益誘導にしか目が向かないと思うので、本当にダメになるまでこの国は変わらない気もする。

超高齢化と超人口減社会を見てみたい

『未来の年表』の感想でも書いたのだが、人類史上初となる、世界一の超高齢化社会を見てみたいという気持ちがわたしにある。あと25年なら、病弱なわたしでも、まだ生きていそうな気がする。

25年後もまだ働かざるを得ないのかもしれないし、住むところも無かったり、まともな医療も介護も享受できないかもしれない。ろくでもない時代になるのかもしれないが、日本社会で生きている限り、「絶対的な貧困」の域にまで行かないわけで。ダメならダメななりに、なんとかやっていけると思うのだが、楽観論に過ぎるだろうか。