大人のケンカは腕っ節ではなく交渉力で決まる
オリジナルは、2002年刊行の単行本『他人に言い負かされないための心理学』
上記の作品を『大人のケンカ必勝法』に改題した上で文庫化したものが本書だ。2004年に刊行されている。
2005年には図解版が登場。
更に、2008年にソフトカバーの愛蔵版も刊行されている。この手の書籍にしてはけっこう息の長い作品である。それだけニーズがあるジャンルということになるのかな。
筆者の和田秀樹は1960年生まれ。東大医学部卒の精神科医で心理学者、受験アドバイザーなんかもやってるみたい。。Amazonで著作を調べて驚いた。200冊以上も本出してるよこの人。
内容はこんな感じ
ビジネスの世界でのケンカは腕っ節ではなく交渉力で決まる。これまでの日本人社会であれば根回し出来る政治力こそが最大の必勝法であったが、競争が激化し、年功序列が崩れゆく昨今ではそんな旧世代の処世術は通用しない。如何にして勝利を収めるのか。勝って恨まれず、また負けても生き残れる必勝法とは。心理学者が説く、大人のケンカテクニック。
「社会的なケンカ」に勝つための方法論
ケンカと言っても実際にリアルに拳で戦うわけではなく、社内や取引先との社会的なケンカに勝つための方法論をまとめたもの。どちらかというと内部抗争向けのアドバイスが多いかな。相手のメンツを潰すくらい勝ち過ぎちゃうと、後々まで恨まれるから注意しなきゃダメとか、どうせなら説得して味方にした方がいいとか、書いてあることは基本的なことばかり。ま、基本だからこそ難しいんだけど。
「負けやすい」のはこんな人
負けやすい人の陥りがちな傾向として、相手の思考を先読みし過ぎてしまい、何も言われていないのに脳内で勝手負けてしまうダメパターンが紹介されていた。何もしないで負けてはだめ、ダメ元でも何か言い返しましょうというのは成る程と考えさせられた。勝ち目がないからといって、何も言わずに黙っていると、与しやすしと後々まで舐められるのだ。
勝利条件は自分で決めよう
それから勝利条件を自分で決めることで、展開を有利に導くってのも感心した。勝利条件が黒字転換なのか、シェア奪回なのか、利益率アップなのか、自分の得意分野に目先を向けられれば、仮に他で負けていも勝ったように見える。これは小技として使えそうだ。目を見張るような衝撃は無いけど、そこそこ仕事の役には立つんじゃないかと思えた一冊。
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