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『「静かな人」の戦略書』ジル・チャン 内向型が静かな力を発揮する方法は?

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台湾、米国、日本でベストセラー

オリジナルの台湾版『安靜是種超能力』は2018年刊行。たちまちベストセラー1位となり、20週にわたりトップ10に入る快挙を成し遂げた。

その後、米国版である『Quiet is a Superpower』が2020年に刊行。こちらも話題となった。

そして2022年に日本版が登場。こちらも話題となり、16万部を超えるヒット作となっている。日本版は台湾版、米国版とガラッと装丁変えてきた。なんだか遺影みたいなデザインだけど、なんでこんな風にしちゃったんだろう。筆者のビジュアルを押し出して来ないあたりは、ずいぶん思い切ったなと印象。

「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

筆者のジル・チャン(Jill Chang、張瀞仁)は、台湾出身のビジネスパーソン。アメリカ州政府やメジャーリーグなど米国で活躍した後、現在は、台湾に戻り、現地で内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発のため活動している人物。

内容はこんな感じ

とかく世の中では「外向型」ばかりがもてはやされがちだ。しかし「内向型」はそんなに不利なのだろうか?他者の話を「じっくり聞く」傾聴力。「表面より本質」を理解できる能力。「小さなミス」を発見する注意力。これらはみな「内向型」の持つ美質の一つだ。「超内向型」でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めた著者が教える、「静かな人の潜在能力」を最大限に引き出すための戦略書。

目次

本書の構成は以下の通り。

  • 日本語版への序文
  • はじめに
  • イントロダクション
  • 1 静かな人の「仕事」の戦略―冷静沈着に「戦略的思考」を生かす
  • 2 静かな人の「人間関係」術―「深く聞く力」で人を魅了する
  • 3 冷静な力を「人前」で生かす―完璧な準備で「質の高い」仕事をする
  • 4 静かな人の「潜在能力」―しなやかな「リーダーシップ」を発揮する
  • おわりに

世の中の1/3は「内向型」

本書の冒頭、「イントロダクション」では、まず最初に自分の性格が、「内向型」か「外向型」かを診断する35の質問が掲載されている。「内向型」のチェックが「外向型」よりも3個以上多かったら「内向型」の傾向が強いと判断する。

わたしの場合は、「内向型」項目が11個、そして「外向型」項目が6個チェックされたので、基本的には「内向型」に分類される。世の中の人間の1/3は「内向型」なのだそうで(日本人だと更に増える)、本書が多くの人間に「刺さっている」のには、それなりのニーズが常にあるからなのだろう。

「内向性」は自分の特徴のひとつ

本書で筆者が言いたいことは、端的に言うとこちらの一文に尽きる。

忘れてはならないのは、内向性は自分の特徴のひとつにすぎないということ。内向性を足かせのように感じて、自分で自分に限界を設ける必要はない。

『「静かな人」の戦略書』p89

内向的なキャラクターだからといって、引け目に感じることはないし、無理して外交的なキャラを装う必要もない。内向性は自分の特徴なのだから、それをまずは受け入れる。内向的な人間が持つ長所を生かして、うまく世の中と折り合っていこうというのが本書の趣旨である。

「内向性」を活かすノウハウ満載

『「静かな人」の戦略書』と題されているだけあって、本書では、内向型人間が、外向型人間の中で生きていくうえで、どうすれば、少しでも自分らしく生きられるのか。そのためのノウハウが多数紹介されている。

  • とっさの反応、切り返しが苦手である。
  • 新しい関係に馴染むのに時間がかかる。
  • 対面交渉が苦手である。
  • 社交の場になるべく出たくない。

こんな内向型特有の悩みに、どう対処していけばよいのか?筆者自身の経験から具体的なアドバイスがなされていく。全部が全部、自分に当てはまるものでもないだろうが、お役立ちネタが、誰にでも一つや二つはあるはずだ。

スーザン・ケインの『内向型人間のすごい力』を読もう

『「静かな人」の戦略書』の中で、なんども引用されているのがスーザン・ケイン(Susan Cain)の『内向型人間のすごい力(Quiet: The Power of Introverts in a World That Can't Stop Talking)』だ。

かれこれ10年程前の作品だが、「内向型」人間向けの生き方アドバイス本として、ブームの先駆けともなった一作なので、本書が気に入った方は併読を強くお勧めする。

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