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『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』 マンションを買うなら中古派のあなたに

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マンションを買うなら中古だと思っている方向け

新築マンション価格の高止まりが続いている。2020年の首都圏マンションの平均価格はなんと6,083万円!(首都圏マンション市場動向―2020年まとめー[PDF]より)。こうなるとなかなか一般人は手が出ない。

そこで、考えたいのが中古マンションの購入である。どれほど素敵で立派な新築マンションでも、ひとたび人手にわたるだけでその価値は下がる。

長年賃貸住宅暮らしを選択して来た我が家なのだが、アラフィフ年代に入り、そろそろ先のことを考えても良いのでは?という結論に達した。今さらではあるが、中古マンションについての情報をいろいろと集めている状態である。

ということで、本日ご紹介するのはこちら。 『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選びかた』である。

筆者の秋津智幸(あきつともゆき)は、公認不動産コンサルタント、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。不動産相談を手がける不動産サポートの代表を務めている人物。

内容はこんな感じ

中古なら憧れのエリアのマンションにも手が届く。中古マンションの買い方は?間違えないための選びかたは?中古だからこそこだわりたい「リフォーム」のコツ。住宅ローンで失敗しないためには?売買契約の際にこだわるべきポイントはどこにあるのか?人生最大の買い物で、30年後に絶対後悔しないためのノウハウ集。

中古マンションの利点と不安点

まず最初に中古マンションがどうして良いのか。そしてどこが悪いのかをチェックしておこう。本書では以下のように書かれている。

利点

  • 価格が安い
  • 希望の立地で探しやすい
  • 実際の物件を見て選べる

不安点

  • 耐震性への不安
  • 汚さへの不安
  • 情報が少ない

本書では中古マンションならではの利点を説きながらも、購入側が不安に感じるポイントを出来る限りケアしてくれている。どんなことでも「わからない」ものは怖い。本書を読むことで、少しでもそうした不安は解消できるはずである。

 

それでは、以下、各章ごとにカンタンに内容をご紹介していこう。

少ない資金でも中古マンションなら夢がかなう

まず最初に説かれているのが、新築に対する中古の優位性である。

  • 新築マンションよりプラン豊富な築浅の優良中古マンションが狙い目

新築マンションはどんな物件でも売れた瞬間に資産価値が下がる。

また、新築マンションの販売戸数が全国で96,681戸であるのに対して、中古マンションの新規登録件数は首都圏だけでも206,901件に上る(2018年時点)。選択肢の数が違うのである。

  • 住みたい場所で住みたい物件を探せるのも、中古マンションの魅力

また、昨今の大型新築物件はどうしてもエリアが限定されてしまう。人気の地域であればあるほど、土地に余裕がない。そのため新築が建つ余地がないのだ。

  • リフォームを前提に自分好みの部屋にデザインできる

新築と中古の購入代金差分を、リフォームに回そうと本書では提案している。使い古し感。汚さ。間取りが気に入らない。こうした中古のデメリットをリフォームで解消しようというわけだ。

中古マンションの買い方の基本をおさえよう!

続く第二章では、実際に中古マンションを選んでいくにあたって、どのような物件を選べば良いのかが示されている。

  • 中古マンションはこうして売り出される

中古で気になるのは売主が「何故売りに出しているか」である。中古の売り手の多くは個人だ。権利関係や、金銭面でのトラブルはないのか。マンション内部での住民間トラブルは起きていないのか。欠陥マンションの可能性はないか?周辺環境に問題はないのか。十分な事前調査が必要となる。

  • 中古マンションの購入に必要な資金はどれくらい?

販売価格分だけを用意すれば中古マンションが買えるわけではない。実際の購入時に、仲介手数料や、登記、保険、税金、引っ越し代、印紙代とさまざまなコストが発生する。本書では販売価格分+1割程度は考えておいた方が良いとしている。

  • よい物件と出会うための現地見学の心得

中古マンションの利点はなんといっても、実際に現物を見に行けることであろう。新築の場合物件が建つ前に、モデルルームの時点で決めなければならない。この違いは大きい。本書では、とにかく多くの物件を実際に現地で見ること。そして気に入った物件であれば「何度も見る」ことが大事だとしている。

  • 中古マンションならではの見学のチェックポイントは?

そして見学時に抑え得ておきたいチェックポイントは以下の通り。

  1. 安全性(築年、構造、耐震診断、補強有無)
  2. 耐久性(床壁のひび割れ、ライフライン設備)
  3. 居住性(防音、バリアフリー、換気システム、窓、天井)
  4. 可変性(管理規約、間取りの変更有無、設備変更)
  5. 管理(清掃、管理費、大規模修繕計画)
  6. 将来性(周辺環境が変化する可能性)
  • これからの物件選びで欠かせない災害リスクのチェックポイント

購入物件が立地している箇所のハザードマップを必ずチェック!低地で出水のリスクが高い地域の物件は要注意である。

間違いのない中古マンションの判別法!

第三章では、より具体的な選ぶべき中古マンションの判別法が提示されている。

  • 万が一の地震に備えて新耐震基準をクリアしているか確認

新耐震基準であれば震度6、7でも倒壊しないとされる。建築確認済証の交付日を確認。1981年6月1日以降であれば新耐震基準。出来れば、83年後半以降の方が安心であるとしている。

  • 建物の1階部分に注目!開放的なつくりは地震に弱い

マンションの一階を駐車場スペースにしている物件を見かけるが、これらは耐震的におススメできない。開放的な造りはどうしても耐震面を考えると不安が出てくる。

  • リフォームのしやすさは管理規約のここをチェック!

いざリフォームをしようと思っても、実は管理規約上禁止されていた!なんてことにならないように、購入前にマンションの管理規約はしっかり見ておくべきだろう。ポイントは以下の通り。

  1. 分電盤:40A以上か(昨今は50A以上が普通)
  2. メーターボックス:住戸に接しているか
  3. 電気メーター:単相3線式と書いてあるか
  4. 給湯器:ガス給湯器の給湯能力が24号以上か
  5. エアコン:すべての部屋にエアコン用の穴があるか、室外機置場があるか
  6. 給水管:蛇口から出る水に濁りや異臭はないか、スラブ下配管ではないか
    (築20年以上なら交換を検討、床スラブ下に埋め込まれていると困難な場合も)
  7. 換気扇:バストイレキッチンにあるか
  8. 床:直貼り床ではないか
  • いつまでも色あせない金言「マンションは管理を買え」

本書で再三登場するのが管理の重要さである。「マンションは管理を買え」は良く聞く言葉だが、それは普遍的な事実だからであろう。建物部分、共用スペース(ゴミ捨て場、駐車場、受水槽)、緑地・植栽部分、管理規約や会計状態に至るまで、しっかりチェックしておきたいところである。

中古マンションの「リフォーム」はここまでできる

本書の特徴的な点として、リフォームにかなりのページ数を割いている点が挙げられる。25平米の部屋なら、300万円もかければ新築同様の見栄えになる。更に費用をかければ間取りすら変更可能である。具体的なビフォー&アフターの事例も写真付きで紹介されており、このパートは見ているだけでも楽しい。

  • 忘れてはいけない住人へのマナーと気配り

リフォーム時には長期にわたって騒音が発生する。隣人とのトラブルになりがちなので気をつけたいところだ。また、大前提としてそのリフォームが、マンションの管理規定に抵触していないのかを確認しておくことも大切になる。

  • いくらかかる?どこにこだわる?リフォーム予算の考え方

各所ごとのおおよそのリフォーム費用感が参考になった。

  1. フローリング張替え:30~60万
  2. LDK間取り変更:150万~250万
  3. 引き戸に変更、壁クロス張替え:10~40万
  4. ウォークインクローゼット新設:15~40万
  5. トイレ:20~30万
  6. 浴室:100万~150万
  7. 洗面室:10~30万
  8. 土間スペース拡大:10~20万
  9. シューズインクローク新設:10~20万

失敗しない住宅ローンの選び方

そして大切なお金の話だ。中古マンションがいくら安いとは言っても、いきなりキャッシュで全額を払える方は稀である。住宅ローンは組まざるを得ない。

  • 住宅ローンの選び方・借り方で総返済額は何百万円も変わる!

最初に認識しておきたいのは住宅ローンもまた、売る側としては「商品」であること。借りる側としては「貸していただく」ような気持ちになりがちだが、「商品」を買う側であることを忘れないようにしたい。借入額はいくらになるのか?金利は?返済期間は?この点、しっかり考えて住宅ローンはシビアに選びたい。

  • 住宅ローン審査に通るための5つのポイント

住宅ローンにはもちろん審査がある。これに通らなくてはお金を借りることが出来ない。本書では審査に通るための5つのポイントとして以下を挙げている。

  1. 担保評価
  2. 返済負担率(税込み年収に占める年間返済額の割合)
  3. 仕事の安定性
  4. ほかの借入れ
  5. 年齢・健康

また、審査が通らなくなる思わぬ要因として以下を示している。

  1. クレジットカードの支払い遅延
  2. クレジットカードを複数持っている
  3. 公共料金の滞納
  4. 携帯料金の滞納
  5. 税金、国民健康保険料の未納

滞納や、未納が問題視されることはわかるが、クレジットカードを複数持っているのもリスクになるのだ。使わないクレジットカードは、事前に出来る限り解約しておきたい。

  • 自己資金の額は審査に影響するの?いくらまで借りられるの?

気になるのは自分は「いくら貸してもらえるのか」だろう。本書では以下の公式を示す。

税込年収×返済負担率/12=毎月返済可能額

返済負担率は、年収のうちどの程度までを返済に充当することが出来るかという指標だ。住宅金融支援機構のシミュレーションが紹介されているので、実際にこちらのサイトで計算してみるとわかりやすい。

  • 中古マンションも住宅ローン減税を受けられるの?

気になるのは中古マンションの購入でも「住宅ローン減税」の適用が得られるかどうかではないだろうか?

住宅ローン減税は適用されれば、毎年の住宅ローン残高から、1%を10年間、所得税から控除できる。これはバカにならない。中古マンションで住宅ローン減税を適用されるための条件は以下となる。

  1. 10年以上の住宅ローン
  2. 築25年以内
    (昔の物件でも、新耐震基準に適合していることを証明できれば良い)
  3. 床面性50㎡以上
  4. 床面積の1/2以上が自分の居住用であること
  5. 借入人の合計所得が3,000万以下
  6. 生計を一にする親族などからの購入でないこと

これで安心!売買契約のチェックポイント

最終章は、売買契約締結時に気をつけたい点である。購入の申し込みから引き渡しまでのスケジュール、申し込みから引き渡しまでの資金の流れについて知ることが出来る。

  • 重要事項説明書の「チェックポイント」を知ろう
  • 「付帯設備表」「物件状況報告書」で建物・設備の現況を確認しよう

これらは、当日いきなり見るのではなく事前にコピーをもらっておくのがマスト。契約前までに疑問点、不安点はクリアにしておきたい。

  • 不動産登記簿のチェックは所有者と権利関係を念入りに

最新の登記簿を「自分で」チェックすることが重要である。購入物件が抵当に入っていたら目も当てられない。住宅ローン減税の適用条件である「床面性50㎡以上」も、登記簿上の記載が対象となる。法務局へ行けば確認できるので、面倒くさがらずにやっておくべきであろう。

これから読むなら最新版を!

以上、ザックリとではあるが『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』の内容をご紹介させていただいた。リフォームや、住宅ローンの部分については多くのページ数を割いているので、その方面が気になる方にはおススメの一冊である。

なお、タイトルからもわかる通り、本書は二年置きに最新版が刊行されている。わたしが読んだのは「2019~2020年版」だが、現在最新なのは「2021~2022年版」である。この手の情報は新しいに越したことがないと思うので、これから読まれる方は「2021~2022年版」をおススメしたい。

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