今週のお題「おうち時間2021」に引き続き、便乗。
経営の神様が説く、商売の心得
筆者の松下幸之助(まつしたこうのすけ)は言わずと知れた、パナソニック(旧松下電器)の創業者である。1894年生まれで、1989年没。実業家としての実績ばかりでなく、晩年には松下政経塾を設立し、多くの政治家の育成にも携わっている。
『商売心得帖(しょうばいこころえちょう)』は1973年に刊行。社会人になりたての頃は、会社から配られて強制的に感想文を書かされた思い出がある。
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PHP文庫版は2001年に刊行。現在読むならこちらの版であろう。
『商売心得帖』は松下幸之助の主要著作の一つで、『週刊東洋経済』2016年9月3日号の「松下幸之助本ランキング 2016年最新版」では、発行部数がなんと90.3万部(2016年8月時点)となっている。系列企業が社員に配る用に大量購入していそう(松下幸之助本が何冊も配られた弊社)。
内容はこんな感じ
仕事に携わる者の基本は朝に発意、昼に実行、そして夜に反省である。同じ事を繰り返し五年経てば五年分の反省をする。そうすればよかったこと、よくなかったことが判ってくる。最初は間違いないと思っていたことも、あとで振り返ってみると誤っていることもある。日本を代表する経営者の一人松下幸之助が説く経営の心得の数々。
小規模事業者向けに書かれた本
手元にある改訂版が127刷。さすがは天下の松下幸之助。凄い売れ方だ。もともとはナショナル(パナソニック)の販売店をやっているような小規模事業者向けに書かれた本らしい。とても書店に並んでいるようには思えない古めかしい装丁で、これは店頭売りよりも、法人向け営業でガンガン企業相手に売りまくっている本のような気がする。
あたりまえのことをわかりやすく
30年以上も昔の本で、ごく一部の限定された業界向けに書いた内容ではあるものの、普遍的な事が平易に分かり易く、かみ砕いて書かれているので、業界を問わず十分通用する内容になっている。
世間の言ってることは正しいとか、笑顔が大事、自分を正確に認識できるか、競争は正々堂々と、お金のやりとりには気を遣え等々、当たり前すぎることが淡々と語られているので、若い頃に読んでもあまりピンと来ないかもしれない。昔、松下系の同じような内容の本を読んだことがあるのだが、当時はあまり共感出来なかった。年を取るとすっと入ってくる言葉というのはあるものなのだと思った。「気付き」のきっかけに成りうる一冊。