弁理士が書いためくるめく特殊特許の世界
2007年刊行作品。筆者の稲森謙太郎は、本名稲穂健市(いなほけんいち)で、本業は弁理士。稲森謙太郎は科学技術ジャーナリストとして原稿を書く際の筆名であるようだ。
本作は文庫化されていないが、2014年に『すばらしき特殊特許の世界』が、刊行されている。こちらは、最新事例を網羅した第二弾ってことなのかな?
この書籍から得られること
- トンデモ系特許の数々について知見を得られる
- 特許や知財の世界に詳しくなれる
内容はこんな感じ
「松下電器の漫才人形」「NECのUFO推進装置」「麻原彰晃の焼却炉」「大仁田厚の特殊リング」「鈴木その子のダイエット食品」数々の知られざる特殊特許を紹介。それと共に現在の特許行政の実情、最近多くなってきたビジネス特許モデルついてなど、特許について判りやすく解説していく。
意外にも「役に立つ」本だった!
本作発売時は、インパクトだけで即買いしてしまった。
こういうインパクト勝負系は太田出版がやはり強い。本書では、世にも奇妙な特殊な特許(出願されているだけで許可されていないものも多い)の数々がこれでもかとばかりに登場する。
しかも豊富なイラスト(もちろん出願者が添付したものがそのまま使われている)で判りやすく解説されているのだ。コラム形式で特許についての法的なマメ知識や、現在の特許事情についても細かく説明してあり、意外にも「ためになる本」なのであった。この辺はさすがは、本職の弁理士と言ったところか。知財に興味のある人は読んでみてもいいかと思う。
愛すべきトンデモな特許申請
最も素晴らしかったのは小林英人氏による「HIDETOに基づく航空、宇宙関連の物や手段と全ての関連物を利用した手段や銀行の運用又は経営法」である。特許請求の範囲は「全ての物や空間や時間」。どうやら世界は全てこの小林英人氏のものらしい。
具体的な内容はこちらあたりを参照のこと。
「未審査請求によるみなし取下」とあるので、出願者による審査請求がなされなかったため、 取り下げになってしまったようだ。せっかくなら、しっかり審査請求までして、白黒つけて欲しかったところだけど、さすがに望みは無いと判断したのだろうか。
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