「∞(ムゲン)プチプチ」の開発者が教えるアイデア発想法
2018年刊行。筆者の高橋晋平は元バンダイの社員で、現在は独立開業されているバラエティ玩具の企画開発者。
代表作は「∞(ムゲン)プチプチ」。緩衝材のぷちぷちを無限に潰し続けることができるというアイデア商品だ。これ一時期、メチャクチャ流行ったよね。今でも入手できるあたり、息の長い商品となっているようだ。
0から1を作り出す仕事は難しい?
0を1にする仕事が苦手な方は多いのではないだろうか?わたしはとにかくこれが、大の苦手。
1を5にする、あるいは5を7にする仕事は既存の仕組みを改良することで達成できる。しかし0を1にする作業は、何もないところから1を生まなくてはならない。それは既存の仕組みを改良していく業務とはまったく質が異なる能力が必要になるのだ。
一定の質が担保された成果を出し続けるアイデアマンは常に枯渇している。そのため、一般人がいかにして良質なアイデアを生み出すか?世には「発想術」なる手法が溢れかえることになる。
属人的になりがちな0を1にする仕事を、凡人でも手掛けることが出来るようにするのが「発想術」である。KJ法や、マインドマップ、マンダラート、オズボーンのチェックリストといったコトバを耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。
本書、『一生仕事で困らない企画のメモ技(テク)』もそんな「発想術」の一つである。
「自分が欲しい」と思うものをメモする
本書の要旨その1がこれ。あくまでも「自分が欲しい」であることが大事。他人の欲求では使えない。自分のことに落としていかないと結局、身になるアイデアは出てこない。併せて、「どうして欲しいと思ったか」をメモしておくことが大切であると筆者は述べている。これ、本当に大切で、自分が欲しくない、やりたくない企画って、周りがいい!面白い!って言っても、最終的には上手くいかないんだよね。
「掛け合わせメモ」でアイデアを量産する
本書の要旨その2。「自分が欲しい」と思ったものを、自分が抱えている企画のお題とひたすら掛け合わせることでアイデアを量産していく。ここが本書の肝となる部分だろう。
掛け合わせ系の手法は、「発想術」の中ではよく出てくるタイプだ。一般人が使えるアイデアを生み出すには、とにかく数を出すしかない。そのための第一歩として、「自分が欲しい」と考えている物を素材として使うのがミソ。
無論それだけでは、なかなか量が質に転換していかないので、本書では筆者自身の具体例を示しつつ、精度をあげていくためのテクニックとして、エクセルを用いたネタ帳の作り方や、ランダムワードを用いた更なる掛け合わせ法を披露している。このあたりは、一度だまされたと思ってやってみると良いのではないかと思う。
発想術は自分にあったものを使えばオッケー
「発想術」は集め出すときりが無く、あれもこれもと調べていくと単なるノウハウコレクターになってしまう。この点は注意しておきたい(わたしの事である)。
誰にでも使いこなせる道具にまで平準化することが大切。「発想術」には状況に応じた向き不向きもある。あくまでも道具にすぎないので、類書を何冊か当たって、しっくりくるものを使えば良いのだと思う。使いやすい道具を使えばいいのだ。
その点で、本書は平易な方法で判りやすく、「自分が欲しい」と思ったものをベースにアイデアを量産していけるので、楽しくネタ出しが出来るのがメリットかなと思う。
0を1にする仕事で悩んだ際は、本書もぜひ参考にしてみて頂きたい。