ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

4つ★(おススメ!)

『教養としてのAI講義』メラニー・ミッチェル ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識

知っておきたいAI(人工知能)の基礎知識 2021年刊行。オリジナルの米国版は2020年に刊行されており、原題「Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans」。直訳すると「考える人間のための人工知能ガイド」といった感じか。邦訳版はずいぶんと俗…

『死に山 世界一不気味な遭難事故 ディアトロフ峠事件の真相』ドニー・アイカー

謎に満ちたディアトロフ峠事件を描く 2018年刊行作品。オリジナルの米国版は2013年刊行。原題は「dead mountain」。筆者のドニー・アイカー(Donnie Eichar)はアメリカ人の映画プロデューサー、作家。 施川ユウキの『バーナード嬢曰く。』の五巻で、神林さん…

『断片的なものの社会学』岸政彦 人生は解釈不能な断片で出来ている

社会学者が紡ぐ「断片」の数々 2015年刊行。新潮社の文芸誌「新潮」、早稲田文学会の文芸誌「早稲田文学」、太田出版の季刊誌「atプラス」、朝日出版社のウェブサイト「朝日出版社第二編集部ブログ」などに掲載されていた作品に、書下ろしを加えて単行本化し…

『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』岡田暁生 コロナ後の音楽を考える

集えない世界の衝撃を描く 2020年刊行。筆者の岡田暁生(おかだあけお)は1960年生まれの音楽学者。現在は京都大学人文科学研究所の教授。 本書は第20回の小林秀雄賞を受賞している。 内容はこんな感じ 新型コロナウイルスの蔓延は、音楽業界に大きなダメー…

『中年の本棚』荻原魚雷 悩める中年世代へ送るおススメ本90冊

魅惑の「中年」本ガイド 2020年刊行。紀伊國屋書店出版部の無料冊子「Scripta」の2013年春号~2020年冬号にかけて連載されていたものを加筆修正のうえで単行本化したもの。 筆者の荻原魚雷(おぎわらぎょらい)は1969年生まれのライター、文筆家。『古書古書…

2022年に読んで面白かった新書・一般書12選

毎年恒例の〇〇年に読んで面白かった本シリーズ、2022年版をお届けしたい。しかしながら、今年は放送大学二年目ということで、学習に割かれる時間が多くて、あまり数がこなせなかったのが残念。昨年は歴史編、その他編と二回に分けてお送りするほどネタがあ…

『滝山コミューン一九七四』原武史 1970年代、学校現場を覆った集団主義の背景

講談社ノンフィクション賞、受賞作品 2007年刊行。講談社の文芸誌「群像」の2006年11月号~2007年1月号にかけて連載されていた作品をまとめたもの。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。先日エントリを書いた、『レッドアローとスターハウ…

『レッドアローとスターハウス』原武史 西武鉄道と団地が東京の郊外に何をもたらしたのか

今週のお題「最近おもしろかった本」に参加します! 西武鉄道と団地に着目した戦後思想史 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。専攻は日本の政治思想史。明治学院大学の教授職を経て、現在は放送大学の教授。 レッドアローとス…

『ヤンキーと地元』打越正行 解体屋、風俗経営、ヤミ業者として生きる沖縄の若者たち

社会学者の参与観察から生まれた一冊 2019年刊行。筆者の打越正行(うちこしまさゆき)は1979年生まれの社会学者。現在は、和光大学現代人間学部の専任講師、社会理論・動態研究所の研究員を務めている人物。 『ヤンキーと地元』は初めての単著で、社会学系…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』三戸祐子 鉄道から読み解く日本人論

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 定刻発車―日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム 作者:三戸 祐子 交通新聞社 Amazon 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加…

『メタバース進化論』バーチャル美少女ねむ ガチ勢が教えてくれるメタバースの魅力

メタバースって何なのかわからない人のために フェイスブック(Facebook)が、企業名を「Meta(メタ)」に変更すると発表して、かれこれ一年が経とうとしている。 自社の推進する仮想空間サービス「メタバース」を強力にプッシュしていこうとする強い意志を…

『すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!』大橋禅太郎 会議の生産性を上げるにはこの一冊

多くの大企業に導入された「すごい会議」とは? 本日は、少し古い本だがこちらの書籍をご紹介したい。 2005年刊行。筆者は1964年生まれ。28歳でアメリカに渡りインターネット上でのマーケティング会社GAZOOBAを設立。2001年に同社を売却し一定の成功を収めて…

『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』西岡研介 JR労組問題の闇に切り込む

JRの暗部に切り込んだ一冊 2006年7月から「週刊現代」に半年にわたって掲載された「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」をもとに書かれたノンフィクション作品。 筆者の西岡研介(にしおかけんすけ)は1967年生まれのノンフィクションライター。本作で…

佐伯有清『高丘親王入唐記』~『高丘親王航海記』と共に読みたい一冊

数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…

『50歳からの賢い住宅購入』千日太郎 お金の視点からアラフィフ年代の住宅ローンを考える

住宅購入で悩むアラフィフ世代に 以前にも書いたが、わが家は賃貸物件での生活が長い。しかし、今年に入ってから、遅ればせながら中古マンションを買えないものかと物色をダラダラと続けている(あまり進んでいない)。物件についての知識はそれなりに溜まっ…

『謎のチェス指し人形「ターク」』トム・スタンデージ 18世紀に登場した「機械知性」の可能性

実在したオートマトン(自動人形)の数奇な生涯 2011年刊行。原著の『The Turk: The Life and Times of the Eighteenth Century Chess Player』は2002年刊行。筆者のトム・スタンデージ(Tom Standage)は1969年生まれの、イギリス人作家、編集者。 歴史的な…

『源氏物語の結婚』工藤重矩 正妻はやっぱり強かった!源氏物語で読み解く平安時代の結婚制度

平安時代の結婚制度を源氏物語を通じて紹介 2012年刊行。筆者の工藤重矩は1946年生まれの国文学者。福岡教育大学の名誉教授、福岡女子大学の客員教授。 主な著作は以下の通り。 『平安朝律令社会の文学』ぺりかん社(1993年) 『平安朝の結婚制度と文学』風…

『はじめてのGIS その問題、デジタル地図が解決します』中島円 フリーソフトのQGISで簡単に地図が作れる

地図を使って問題を解決したいあなたにQGISがおすすめ こんなデータが揃っているけれど、どうすればわかりやすい資料になるのか悩んでいる。説得力のある資料を作りたいけれど、必要なデータがどこにあるかわからない。業務の中で、地図を使ってビジュアルか…

『マンガでわかる統計学』大上丈彦 統計の本質が直感的にわかる初学者向けガイド本

統計学に関する初学者の疑問をやさしく解説! 昨今のデータサイエンスブームにあてられたわけではないのだが、統計の勉強を始めて半年が経過した。もともと文系人間であったことに加えて、高齢化に伴い理解力が低下しているわたしは、統計の学びに苦しみ、サ…

『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』黒川祐次 地政学的な特異性と複雑な歴史背景を学ぶ

元ウクライナ大使が書いたウクライナの歴史本 2002年刊行。筆者の黒川祐次(くろかわゆうじ)は1944年生まれの、元外交官。モントリオール総領事、ウクライナ大使、モルドバ大使、コートジボワール大使、ベナン・ブルキナファソ・ニジェール・トーゴー大使など…

『四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼』上原善広 遍路で生活する人々の姿に迫ったノンフィクション作品

草遍路と四国の路地巡礼 2021年刊行。筆者の上原善広(うえはらよしひろ)は1973年生まれのノンフィクションライター。 2005年のデビュー作『被差別の食卓』は各方面で話題になったので、記憶されている方も多いのではないか。 被差別の食卓(新潮新書) 作…

『サラ金の歴史』小島庸平 サラ金業界の勃興から隆盛、壊滅に至るまでを概観する

新書大賞2022大賞受賞作品 2021年刊行。筆者の小島庸平(こじまようへい)は1982年生まれの経済史学者。東京大学経済学研究科の准教授。 本書は2021年の2021年度の第43回サントリー学芸賞を受賞。更に、2020年12月~2021年11月に刊行された新書を対象とした…

『古代中国の24時間』柿沼陽平 秦漢時代の「ふつうの人々」の日常

秦漢時代の衣食住から性愛まで 2021年刊行。筆者の柿沼陽平(かきぬまようへい)は1980年生まれの東洋史学者。現在は早稲田大学文学学術院教授。専門は中国古代史・経済史・貨幣史。 以下の著作がある。『劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』』 『中国古代貨幣…

決算書くらいは読めるようになりたいあなたに

決算書が読めないコンプレックスをなんとかしたい 社会人一年目頃、研修の一環として簿記三級の資格を取りましょうという勉強会があった。最初の何回かだけ通ったものの、あとは日々の忙しさにかまけて脱落してしまった。同期で、ちゃんと合格したのは経理配…

2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(VUCA・文章術・中高年の悩み編)

年始恒例の〇〇年に読んで面白かったシリーズ、先日は「2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(歴史編)」をお届けした。 本日は歴史ネタ以外。不安定な(VUCA)時代をどう生きるか編・文章力を高めるために編・中高年の悩み編について、まとめておススメ…

2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(歴史編)

今週のお題「買ってよかった2021」にも便乗。 恒例の〇〇年に読んで面白かったシリーズ、今回は歴史系だけでエントリを1つ作ってみることにした。 古代~中世編 荘園(伊藤俊一) 刀伊の入寇(関幸彦) 室町は今日もハードボイルド(清水克行) 江戸時代編 …

『荘園』伊藤俊一 750年に及ぶ、日本の荘園の歴史を振り返る

荘園を通じて日本の中世史を学ぶ 筆者の伊藤俊一(いとうしゅんいち)は1958年生まれの歴史学者。現在は名城大学人間学部の教授職にある人物。専門は日本中世史。 著作に『室町期荘園制の研究』。共著に『新体系日本史3 土地所有史』『気候変動からみなおす…

『秘島図鑑』『幻島図鑑』清水浩史 不思議な島たちの物語

本日は清水浩史(しみずひろし)による『秘島図鑑』と『幻島図鑑』の二冊をまとめてご紹介したい。清水浩史は1971年生まれの編集者、ライター。日本各地の島を訪ね歩いた著作の数々で知られる人物だ。 この記事から得られること 魅力的な日本の島、50島につ…

「好きな中公新書10選」を歴史系縛りでピックアップしてみた

中公新書を歴史系から10冊セレクト 中公新書は、岩波新書、講談社現代新書と共に「新書御三家」として名高い。1962年創刊ということで、来年で創刊60周年を迎える老舗レーベルである。 さて、本日ははてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に便乗。 なに…

『脱マウス最速仕事術』森新 脱マウスで仕事のスピードが劇的に変わる!

年間120時間の時短を実現!? 現代のビジネスパーソンにとって、もっとも足りないものは何だろうか?お金?健康なカラダ?それともストレスのない快適な環境?求めるものは各人違ってくるだろうが、共通して誰もが足りないと感じているのは「時間」ではない…