4つ★(おススメ!)
偽史が発生するメカニズムを知る 2020年刊行。筆者の馬部隆弘(ばべたかひろ)は1976年生まれの歴史学者。大阪大谷大学の准教授で、戦国期権力論、城郭史、偽文書研究で知られる人物。本書で一気に知名度があがった。やはり中公新書で出てくると影響力が大き…
オカルトが支配する日本の企業社会 筆者の斎藤貴男(さいとうたかお)は1958年生まれの、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。 本書はまず、1997年に文藝春秋から単行本として上梓された。その後、2000年に文春文庫化版が刊行されている。 カルト資本主義…
勘定奉行から江戸時代を読み解く 2018年刊行。筆者の藤田覚は1946年生まれ。東京大学の史料編纂所の教授を2010年に定年で退官し、現在は同大の名誉教授。専門は日本近世史。江戸時代に関する著作が20冊ほど刊行されている。 内容はこんな感じ 江戸時代に活躍…
大塚ひかりの「源氏本」が出た! 2023年刊行。筆者の大塚ひかりは1961年生まれの古典エッセイスト。 わたしが初めて大塚作品を読んだのは草思社の『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』から。新潮新書の『女系図でみる驚きの日本史』はこのブログ…
既に2024年の1月も後半に入っている状況で、遅きに失した感が無きにしもあらずだが、恒例の〇〇年に読んで面白かった本企画をお届けしたい。 なお、あくまでも2023年に読んだ本が対象であって、2023年に刊行された本ではないのでその点はご容赦を。 では、今…
2023年刊行。筆者の小松貴(こまつたかし)は1982年生まれ。信州大学大学院博士課程修了、国立科学博物館協力研究員のキャリアを経て、現在は在野の昆虫学者として活躍している人物。 現在までに、以下の著作がある。 裏山の奇人:野にたゆたう博物学(2014…
バズったことがないあなたに お恥ずかしい話だが、Twitterを10数年、ブログを20年近くやっているが、バズりを体験したことがない。扱うテーマが地味なのか、文体や見出しの問題なのか、それとも書き手のキャラクターのせいなのか。 あなたは、Twitterやブロ…
中公新書版が再刊されたみすず版を読んだ 筆者の川本静子(かわもとしずこ)は1933年生まれの英文学者。津田塾大学の教授職を務め、2004年に退官。2010年に逝去されている。専門は19世紀~20世紀のイギリス文学。 『ガヴァネス ヴィクトリア朝時代の<余った…
タイトルが長い! 2023年刊行。筆者の済東鉄腸(さいとうてっちょう)は1992年生まれの映画ライター、作家。本書の題名にある通り、ルーマニアへの渡航歴がないにもかかわらず、日本国内にてルーマニア語の小説を書き、ルーマニア人向けに発表し続けている稀…
「遅い」インターネットがなぜ必要なのか 2020年刊行。筆者の宇野常寛(うのつねひろ)は1978年生まれの作家、評論家。解説は成田悠輔(なりたゆうすけ)が書いている。 遅いインターネット(NewsPicks Book) 作者:宇野 常寛 幻冬舎 Amazon 宇野常寛のデビュ…
民俗学に興味を持ったら読みたい一冊 1983年刊行。編者は日本民俗学の権威、福田(ふくた)アジオ、宮田登(みやたのぼる)の両名。福田アジオは1941年生まれ、そして宮田登は1936年生まれの民俗学者(2000年に物故)。 1983年と40年も前に刊行された著作だ…
縞模様好き必読の一冊 1993年刊行。オリジナルのフランス版の原題は『L' étoffe du diable』で1991年刊行。筆者のミシェル・パストゥローは1947年生まれのフランス人研究者。紋章学を主要な研究ジャンルとしているが、幅広い分野で活躍をしている人物である。…
謎に満ちたディアトロフ峠事件を描く 2018年刊行作品。オリジナルの米国版は2013年刊行。原題は「dead mountain」。筆者のドニー・アイカー(Donnie Eichar)はアメリカ人の映画プロデューサー、作家。 死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》…
応仁の乱後、七人の将軍はどう生きたか? 2023年刊行。筆者の山田康弘(やまだやすひろ)は1966年生まれの歴史学者。専門は日本中性子。現在は東京大学史料編纂所の学術専門職員。ちなみに考古学者の山田康弘(東京都立大教授)とは同姓同名の別人みたい。 …
50年売れ続けているロングセラー オリジナル版の『ルワンダ中央銀行総裁日記』は1972年刊行。同年の毎日出版文化賞の文学・芸術部門を受賞している。およそ、半世紀前。かなり昔に刊行された中公新書である。 2009年に新章が追加された「増補版」が登場し、20…
「まつもと(な)」さんが本を出した! 2023年刊行。筆者の松本直美はイギリス、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ音楽学部で上級講師を務めている人物。専門は歴史的音楽学。特にオペラ分野の研究で多くの実績を残されている方。 Twitter(現X)をされて…
サントリー学芸賞、社会・風俗部門受賞作 1998年刊行。講談社の人文学術書レーベル、選書メチエからの登場だった。 筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者で、専攻は日本政治思想史。『「民都」大阪対「帝都」東京』は、1998年のサントリー学芸…
知っておきたいAI(人工知能)の基礎知識 2021年刊行。オリジナルの米国版は2020年に刊行されており、原題「Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans」。直訳すると「考える人間のための人工知能ガイド」といった感じか。邦訳版はずいぶんと俗…
社会学者が紡ぐ「断片」の数々 2015年刊行。新潮社の文芸誌「新潮」、早稲田文学会の文芸誌「早稲田文学」、太田出版の季刊誌「atプラス」、朝日出版社のウェブサイト「朝日出版社第二編集部ブログ」などに掲載されていた作品に、書下ろしを加えて単行本化し…
集えない世界の衝撃を描く 2020年刊行。筆者の岡田暁生(おかだあけお)は1960年生まれの音楽学者。現在は京都大学人文科学研究所の教授。 本書は第20回の小林秀雄賞を受賞している。 内容はこんな感じ 新型コロナウイルスの蔓延は、音楽業界に大きなダメー…
魅惑の「中年」本ガイド 2020年刊行。紀伊國屋書店出版部の無料冊子「Scripta」の2013年春号~2020年冬号にかけて連載されていたものを加筆修正のうえで単行本化したもの。 筆者の荻原魚雷(おぎわらぎょらい)は1969年生まれのライター、文筆家。『古書古書…
毎年恒例の〇〇年に読んで面白かった本シリーズ、2022年版をお届けしたい。しかしながら、今年は放送大学二年目ということで、学習に割かれる時間が多くて、あまり数がこなせなかったのが残念。昨年は歴史編、その他編と二回に分けてお送りするほどネタがあ…
講談社ノンフィクション賞、受賞作品 2007年刊行。講談社の文芸誌「群像」の2006年11月号~2007年1月号にかけて連載されていた作品をまとめたもの。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。先日エントリを書いた、『レッドアローとスターハウ…
今週のお題「最近おもしろかった本」に参加します! 西武鉄道と団地に着目した戦後思想史 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。専攻は日本の政治思想史。明治学院大学の教授職を経て、現在は放送大学の教授。 レッドアローとス…
社会学者の参与観察から生まれた一冊 2019年刊行。筆者の打越正行(うちこしまさゆき)は1979年生まれの社会学者。現在は、和光大学現代人間学部の専任講師、社会理論・動態研究所の研究員を務めている人物。 『ヤンキーと地元』は初めての単著で、社会学系…
鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 定刻発車―日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム 作者:三戸 祐子 交通新聞社 Amazon 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加…
メタバースって何なのかわからない人のために フェイスブック(Facebook)が、企業名を「Meta(メタ)」に変更すると発表して、かれこれ一年が経とうとしている。 自社の推進する仮想空間サービス「メタバース」を強力にプッシュしていこうとする強い意志を…
多くの大企業に導入された「すごい会議」とは? 本日は、少し古い本だがこちらの書籍をご紹介したい。 2005年刊行。筆者は1964年生まれ。28歳でアメリカに渡りインターネット上でのマーケティング会社GAZOOBAを設立。2001年に同社を売却し一定の成功を収めて…
JRの暗部に切り込んだ一冊 2006年7月から「週刊現代」に半年にわたって掲載された「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」をもとに書かれたノンフィクション作品。 筆者の西岡研介(にしおかけんすけ)は1967年生まれのノンフィクションライター。本作で…
数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…