ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

社会

『インターネットというリアル』岡嶋裕史 「みんな違ってみんないい」に人は耐えられない

現実と融合したネット社会を読み解く 2021年刊行。筆者の岡嶋裕史(おかじま ゆうし)は1972年生まれの情報学研究者で、現在は中央大学国際情報学部の教授職にある人物である。 本書は講談社のオンライン誌「クーリエ・ジャポン」、光文社のウェブメディア「…

『安いニッポン 「価格」が示す停滞』中藤玲 ディズニーもダイソーも日本が世界最安値

日本は「安い」らしい コロナ禍のため現在では見る影もないが、2019年までの日本国内は外国人観光客であふれていた。爆買いというフレーズが話題になったのも記憶に新しい。 日本もこんなにたくさんの外国人の方に来ていただけるようになったのかと、当時は…

『遅いインターネット』宇野常寛 21世紀の共同幻想論

「遅い」インターネットがなぜ必要なのか 2020年刊行。筆者の宇野常寛(うのつねひろ)は1978年生まれの作家、評論家。解説は成田悠輔(なりたゆうすけ)が書いている。 遅いインターネット(NewsPicks Book) 作者:宇野 常寛 幻冬舎 Amazon 宇野常寛のデビュ…

『デジタル・ポピュリズム』福田直子 SNSが加速する衆愚制への道

SNS全盛時代の世論操作術 2018年刊行。筆者の福田直子はドイツ在住のジャーナリスト。 本書では、ネットが当たり前になった時代、特にSNS全盛時代のポピュリズムの危険性を指摘している。 ポピュリズムとは聞きなれない言葉かもしれないが、wikipediaから当…

『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』服部正也 46歳で超赤字国家の経済を再建した日本人がいた

50年売れ続けているロングセラー オリジナル版の『ルワンダ中央銀行総裁日記』は1972年刊行。同年の毎日出版文化賞の文学・芸術部門を受賞している。およそ、半世紀前。かなり昔に刊行された中公新書である。 2009年に新章が追加された「増補版」が登場し、20…

『国道16号線 「日本」を創った道』柳瀬博一 国道16号線をめぐる文明論

日本最強の郊外道路の過去と未来 2020年刊行。筆者の柳瀬博一(やなせひろいち)は1964年生まれ。日経BP社で「日経ビジネス」の記者や、専門誌の編集、単行本の編集者として活躍。その後独立し、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の教授職に就いて…

『日本の国境』山田吉彦 領土問題の歴史的経緯を学ぶ

海洋問題の専門家が書いた日本の領土問題 2005年刊行。筆者の山田吉彦(やまだよしひこ)は1962年生まれ。本書の刊行当時は日本財団(日本船舶振興会)の海洋船舶部長を務めていた。その後、東海大学の海洋学部で、准教授、教授と順当にキャリアを積まれ、現…

『幸福な監視国家・中国』梶谷懐・高口康太 最新事情から考える監視社会の行く末

中国の最新事情から考えるこれからの監視社会 2019年刊行。本書は、梶谷懐(かじたにかい)、高口康太(たかぐちこうた)の二名体制で執筆されている。梶谷懐は1970年生まれ。神戸大学大学院の教授。現代中国経済に関する著作がいくつかある。一方の、高口康…

『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』内田樹 合理的な判断として「下流」を選ぶ

内田樹の「下流」論 2007年刊行。2005年の6月に行われた講演をベースに、加筆修正の上で単行本に書き起こしたもの。筆者の内田樹(うちだたつる)は1950年生まれ。東大卒で専攻はフランス現代思想。映画論。武道論。現在は神戸女学院大学名誉教授、京都精華…

『放送禁止歌』森達也 規制しているのは誰なのか?

放送を禁止されている歌がある! 2000年刊行。筆者の森達也(もりたつや)は1956年生まれ。社会派のドキュメンタリーを得意とするノンフィクション系の映像ディレクター。ノンフィクション作家でもある。 なお、本書の監修はなんとデーブ・スペクターが行っ…

『断片的なものの社会学』岸政彦 人生は解釈不能な断片で出来ている

社会学者が紡ぐ「断片」の数々 2015年刊行。新潮社の文芸誌「新潮」、早稲田文学会の文芸誌「早稲田文学」、太田出版の季刊誌「atプラス」、朝日出版社のウェブサイト「朝日出版社第二編集部ブログ」などに掲載されていた作品に、書下ろしを加えて単行本化し…

『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』岡田暁生 コロナ後の音楽を考える

集えない世界の衝撃を描く 2020年刊行。筆者の岡田暁生(おかだあけお)は1960年生まれの音楽学者。現在は京都大学人文科学研究所の教授。 本書は第20回の小林秀雄賞を受賞している。 内容はこんな感じ 新型コロナウイルスの蔓延は、音楽業界に大きなダメー…

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』ハンス・ロスリング 世界を正しく認識するために

もはや説明不要の話題の一冊 本書は刊行前から随分と話題になっていて、発売されるやいきなり爆売れ状態に。Amazonでは3週連続でビジネス書ランキングの1位を獲得。2019年を代表する一冊となってしまった。この年、ビジネス書の類で、こんなにあちこちでレビ…

『空気が支配する国』物江潤 日本社会の同調圧力の正体は?

コロナ禍の今だから、読みたい一冊 2020年刊行。筆者の物江潤(ものえじゅん)は1985年生まれ。東北電力退社後、松下政経塾に入り、現在は地元の福島で塾経営をしつつ執筆業もされている方。 その他の近著には新潮新書の『ネトウヨとパヨク』がある。 ネトウ…

『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介 千葉県北東部に乱開発された宅地群があった

知られざる「限界ニュータウン」の全貌が明らかに 2022年刊行。筆者の吉川祐介(よしかわゆうすけ)は1981年生まれのブロガー、Youtuber。自身も現地で暮らし、100カ所以上もの限界ニュータウンを巡り、その実情をレポートしてきたことで知られる人物である…

『犯罪は「この場所」で起こる』小宮信夫 「犯罪機会論」からの防犯対策とは?

犯罪心理学の専門家が説く防犯論 2005年刊行。筆者の小宮信夫(こみやのぶお)は1956年生まれ。本書執筆当時は立正大の助教授。現在は教授に。専攻は犯罪心理学である。 Wikipedia先生でプロフィール部分を引用させていただくとこんな感じ。犯罪抑止、防犯に…

『ウクライナ戦争の200日』小泉悠 ロシアの軍事・安全保障研究家がリアルタイムで語った同時代史

小泉悠の対談本 2022年刊行。「文藝春秋」「Foresight」「週刊文春エンタ+」「週刊文春WOMAN」などで掲載されていた対談を一冊にまとめて上梓したもの。 筆者の小泉悠(こいずみゆう)は1982年生まれの軍事評論家、軍事アナリスト。ロシアへの留学経験を持…

『22世紀の民主主義』成田悠輔 政治家も選挙もいらない「無意識民主主義」のすすめ

20万部突破のベストセラー 2022年刊行。筆者の成田悠輔(なりたゆうすけ)は1986年生まれの経済学者、実業家。アメリカのイェール大学助教授(本人プロフィールにそう書いてある。准教授じゃないの?)を努めつつ、日本では自身で起業もしているという人物。…

『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史 コンテンツは鑑賞物から消費するものに変わっていく

ウェブメディア発、コンテンツ消費の現在形 2022年刊行。筆者の稲田豊史(いなだとよし)は1974年生まれのライター、編集者、コラムニスト。映画配給会社のギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)出身で、その後、キネマ旬報社を経て独立。映画評論からジ…

『団地の空間政治学』原武史 団地黄金時代に芽生えた自治の意識と政治活動

原先生の団地本だ! 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。 天皇制をめぐる数々の著作で知られるが、鉄道分野にも造詣が深く、本業の政治思想研究と絡めた『「民都」大阪対「帝都」東京』ではサントリー学芸賞を受賞している。 …

『人口減少時代の土地問題』吉原祥子 面倒でも土地の登記はしっかりと!

全国の土地の2割は所有者がわからない 2017年刊行の中公新書。筆者の吉原祥子(よしはらさちこ)は1971年生まれ。民間のシンクタンク東京財団の研究員。 帯の惹句にもあるとおり、「持ち主がわからない土地が九州の面積(国土の2割)を越えている」。日本で…

『レッドアローとスターハウス』原武史 西武鉄道と団地が東京の郊外に何をもたらしたのか

今週のお題「最近おもしろかった本」に参加します! 西武鉄道と団地に着目した戦後思想史 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。専攻は日本の政治思想史。明治学院大学の教授職を経て、現在は放送大学の教授。 レッドアローとス…

『ヤンキーと地元』打越正行 解体屋、風俗経営、ヤミ業者として生きる沖縄の若者たち

社会学者の参与観察から生まれた一冊 2019年刊行。筆者の打越正行(うちこしまさゆき)は1979年生まれの社会学者。現在は、和光大学現代人間学部の専任講師、社会理論・動態研究所の研究員を務めている人物。 『ヤンキーと地元』は初めての単著で、社会学系…

『帝都東京・隠された地下網の秘密』全二作が胡散臭いけど面白い

本日ご紹介するのはこちらの二冊。ややもするとトンデモ系に分類されてしまいそうな作品だが、素材としては面白い。普段は見ることが出来ない地下の世界だけに、妄想は深まるのである。 この書籍から得られること 東京の地下鉄について詳しくなれる 東京の地…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』三戸祐子 鉄道から読み解く日本人論

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 定刻発車―日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム 作者:三戸 祐子 交通新聞社 Amazon 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加…

『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』西岡研介 JR労組問題の闇に切り込む

JRの暗部に切り込んだ一冊 2006年7月から「週刊現代」に半年にわたって掲載された「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」をもとに書かれたノンフィクション作品。 筆者の西岡研介(にしおかけんすけ)は1967年生まれのノンフィクションライター。本作で…

『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』森川嘉一郎 秋葉原の光と影を考察する

趣味の都アキハバラを読み解く 2003年刊行。筆者の森川嘉一郎(もりかわかいちろう)は1971年生まれで、明治大学国際日本学部の准教授。建築学者で、意匠論を専門とする人物。 本書は日本が世界に誇る?オタクの王国アキハバラに視点を据えた都市論である。 …

『老後に住める家がない!』太田垣章子 明日は我が身の”漂流老人”問題

老後に住む家が借りられない現実を知る 2000年刊行。筆者の太田垣章子(おおたがきあやこ)は専業主婦から一念発起、30代後半で司法書士の資格を取られた方。2,300件を超える家賃滞納トラブルを解決してきた実績を持つ、最新の賃貸事情を知る人物である。 太…

『東京タイムスリップ1984⇔2021』『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』善本喜一郎 昭和と令和の東京の街並みを見比べる

※2022/5/28追記 続編となる『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』が刊行されていたので後半に情報を追記しました! 『東京タイムスリップ1984⇔2021』よみがえる1984年の東京 この本で得られること 内容はこんな感じ 目次 懐かしい新宿の姿が楽しい 2021年との…

『中流崩壊』橋本健二 「中流」は本当に存在したのか?

「階級格差社会」日本を読み解く 2020年刊行。筆者の橋本健二(はしもとけんじ)は1959年生まれ。現在は早稲田大学人間科学学術院の教授職。主著に『階級都市』『アンダークラス』『新・日本の階級社会』『<格差>と<階級>の戦後史』がある。統計データを元に…