ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

社会

『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』服部正也 46歳で超赤字国家の経済を再建した日本人がいた

50年売れ続けているロングセラー オリジナル版の『ルワンダ中央銀行総裁日記』は1972年刊行。同年の毎日出版文化賞の文学・芸術部門を受賞している。およそ、半世紀前。かなり昔に刊行された中公新書である。 2009年に新章が追加された「増補版」が登場し、20…

『デジタル・ポピュリズム』福田直子 SNSが加速する衆愚制への道

SNS全盛時代の世論操作術 2018年刊行。筆者の福田直子はドイツ在住のジャーナリスト。 本書では、ネットが当たり前になった時代、特にSNS全盛時代のポピュリズムの危険性を指摘している。 ポピュリズムとは聞きなれない言葉かもしれないが、wikipediaから当…

『町田忍の昭和遺産100』町田忍 個人的な昭和遺産写真も公開!

町田忍、昭和研究50年の集大成 2021年刊行。筆者の町田忍(まちだしのぶ)は1950年生まれ。警察官から転身して、庶民文化研究所を設立。近現代の庶民文化研究家として知られる人物。昭和レトロ系などの「なつかし」系のガジェットについて多くの著作を上梓し…

『インターネットというリアル』岡嶋裕史 「みんな違ってみんないい」に人は耐えられない

現実と融合したネット社会を読み解く 2021年刊行。筆者の岡嶋裕史(おかじま ゆうし)は1972年生まれの情報学研究者で、現在は中央大学国際情報学部の教授職にある人物である。 本書は講談社のオンライン誌「クーリエ・ジャポン」、光文社のウェブメディア「…

『コロナ後の世界』 パンデミックで人類の未来はどう変わるのか?

世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…

『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』 昭和30年代をカラー写真で楽しめる

昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…

『老後レス社会』 「一億総活躍社会」をどう生き延びるか

「一億総活躍社会」の過酷な現実と悲惨な未来 2021年刊行。朝日新聞社特別取材班編。2019年から、2020年にかけて日本の少子化高齢化と人口減少をめぐる諸問題を特集した朝日新聞上の企画「エイジングニッポン」の一環として刊行されたもの。 内容はこんな感…

『国道16号線 「日本」を創った道』柳瀬博一 国道16号線をめぐる文明論

日本最強の郊外道路の過去と未来 2020年刊行。筆者の柳瀬博一(やなせひろいち)は1964年生まれ。日経BP社で「日経ビジネス」の記者や、専門誌の編集、単行本の編集者として活躍。その後独立し、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の教授職に就いて…

『ブックオフと出版業界』小田光雄 20年前に書かれたブックオフ批判本

1990年代のブックオフ躍進を分析 2000年刊行。筆者の小田光雄(おだみつお)は1951年生まれ。評論、翻訳で著作が多数ある。特に出版流通、古書のジャンルについては豊富な知見を有している人物のようである。 2019年には『古本屋散策』にて、Bunkamura主催す…

『機会不平等』斎藤貴男 格差を意図的に広げていこうとする層が存在する

「機会」の不平等を描く 2000年刊行。筆者の斎藤貴男(さいとうたかお)は1958年生まれのジャーナリスト。 【中古】 機会不平等 /斎藤貴男(著者) 【中古】afb 楽天で購入 文春文庫版は2004年に登場。わたしが読んだのはこちら。文庫化にあたり加筆が施され…

『未来の地図帳』河合雅司 47都道府県はもはや維持できない

「未来の年表」シリーズの第三弾 2019年刊行。筆者の河合雅司(かわいまさし)は1963年生まれ。2017年の『未来の年表』2018年の『未来の年表2』に続く、講談社現代新書における「未来の年表」シリーズの第三弾である。 旧作、二冊の感想はこちらからどうぞ。…

『未来の年表2』河合雅司 人口減少社会で変わること

『未来の年表』の続編 2018年刊行。著者は1963年生まれ。産経新聞の元論説委員。現在は、高知大学客員教授、大正大学客員教授。内閣府、厚労省、農水省などの有識者会議委員などを歴任している。 2017年に刊行され、大きな反響を呼んだ『未来の年表』の続編…

『未来の年表』河合雅司 人口が減っていく社会で起こること

シリーズ累計75万部のベストセラーシリーズ 2017年刊行。著者の河合雅司(かわいまさし)は1963年生まれ。産経新聞の元論説委員。現在は大正大学の客員教授。内閣官房有識者会議委員などを歴任している。 昨年、売れまくった新書作品である。どれくらい売れ…

『カルト資本主義』斎藤貴男 オカルトにハマった日本の大企業

オカルトが支配する日本の企業社会 筆者の斎藤貴男(さいとうたかお)は1958年生まれの、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。 本書はまず、1997年に文藝春秋から単行本として上梓された。その後、2000年に文春文庫化版が刊行されている。 カルト資本主義…

『希望格差社会』山田昌弘 「負け組」の絶望感が日本を引き裂いた?

『パラサイトシングルの時代』の著者が示した未来への警鐘 2004年刊行。筆者は1957年生まれ。本書刊行時は東京学芸大学の教授だったが、現時点では中央大学の教授。専門は家族社会学と感情社会学。 【中古】希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く…

『流言のメディア史』佐藤卓己 「ポスト真実」時代のメディア・リテラシーとは?

流言から歴史を読み解く 2019年刊行。筆者の佐藤卓己(さとうたくみ)は1960年生まれの社会学者、歴史学者。京都大学大学院教育学研究科の教授。専門はメディア史。2020年には紫綬褒章も受章している。 内容はこんな感じ 1938年。オーソン・ウェルズによるラ…

『幸福な監視国家・中国』梶谷懐・高口康太 最新事情から考える監視社会の行く末

中国の最新事情から考えるこれからの監視社会 2019年刊行。本書は、梶谷懐(かじたにかい)、高口康太(たかぐちこうた)の二名体制で執筆されている。梶谷懐は1970年生まれ。神戸大学大学院の教授。現代中国経済に関する著作がいくつかある。一方の、高口康…

『空気が支配する国』物江潤 日本社会の同調圧力の正体は?

コロナ禍の今だから、読みたい一冊 2020年刊行。筆者の物江潤(ものえじゅん)は1985年生まれ。東北電力退社後、松下政経塾に入り、現在は地元の福島で塾経営をしつつ執筆業もされている方。 その他の近著には新潮新書の『ネトウヨとパヨク』がある。 // リ…

『放送禁止歌』森達也 規制しているのは誰なのか?

放送を禁止されている歌がある! 2000年刊行。筆者の森達也(もりたつや)は1956年生まれ。社会派のドキュメンタリーを得意とするノンフィクション系の映像ディレクター。ノンフィクション作家でもある。 なお、本書の監修はなんとデーブ・スペクターが行っ…

『上級国民/下級国民』橘玲 日本に分断をもたらした三つの要素

分断の正体を読み解く 2019年刊行。筆者の橘玲(たちばなあきら)は1959年生まれの作家。小説家としてのデビュー作は2002年の『マネーロンダリング』である。 実用書の書き手としては、同年に上梓された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』で知られる。…

『犯罪は「この場所」で起こる』小宮信夫 「犯罪機会論」からの防犯対策とは?

犯罪心理学の専門家が説く防犯論 2005年刊行。筆者の小宮信夫(こみやのぶお)は1956年生まれ。本書執筆当時は立正大の助教授。現在は教授に。専攻は犯罪心理学である。 Wikipedia先生でプロフィール部分を引用させていただくとこんな感じ。犯罪抑止、防犯に…

『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』岡田暁生 コロナ後の音楽を考える

集えない世界の衝撃を描く 2020年刊行。筆者の岡田暁生(おかだあけお)は1960年生まれの音楽学者。現在は京都大学人文科学研究所の教授。 内容はこんな感じ 新型コロナウイルスの蔓延は、音楽業界に大きなダメージを与えた。世界中でコンサートやライブが中…

『下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち』内田樹

内田樹の「下流」論 2007年刊行。2005年の6月に行われた講演をベースに、加筆修正の上で単行本に書き起こしたもの。筆者の内田樹(うちだたつる)は1950年生まれ。東大卒で専攻はフランス現代思想。映画論。武道論。現在は神戸女学院大学名誉教授、京都精華…

『遅いインターネット』宇野常寛 21世紀の共同幻想論

「遅い」インターネットがなぜ必要なのか 2020年刊行。筆者の宇野常寛(うのつねひろ)は1978年生まれの作家、評論家。 デビュー作は2008年の『ゼロ年代の想像力』。こちらはゼロ年代までのアニメやドラマ、小説などのサブカルメディアをベースにゼロ年代を…

『朽ちていった命』東海村臨界事故を描いたルポルタージュ

東海村臨界事故による放射能被爆治療の記録 2006年刊行作品。1999年に、茨城県那珂郡東海村で発生したJCO(ジェー・シー・オー)原子力事故(臨界事故)についてのルポルタージュである。 2002年に刊行された『東海村臨界事故 被爆治療83日間の記録』 を改題…

『ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実』望月優大 「移民」を認めない国、日本

在留外国人300万人時代の「移民」事情 2019年刊行。筆者の望月優大(もちづきひろき)は1985年生まれ。日本の移民文化、移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」の編集長。 少子高齢化を受けて、日本人の生産者人口が激減する中、飛躍的なペース…

『日本の国境』山田吉彦 領土問題の歴史的経緯を学ぶ

海洋問題の専門家が書いた日本の領土問題 2005年刊行。筆者の山田吉彦(やまだよしひこ)は1962年生まれ。本書の刊行当時は日本財団(日本船舶振興会)の海洋船舶部長を務めていた。その後、東海大学の海洋学部で、准教授、教授と順当にキャリアを積まれ、現…

『アフターデジタル2 UXと自由』藤井保文 人がその時々で自分らしいUXを選べる時代へ

『アフターデジタル』の続編が早くも登場 2020年刊行。昨年刊行され好評を博した『アフターデジタル』の続編である。前作は小原和啓との共著であったが、今回は藤井保文の単著となっている。 前著『アフターデジタル』は相当話題になっただけあって、Amazon…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』三戸祐子 鉄道から読み解く日本人論

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 リンク 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加筆、改稿が施されている。 刊行前から決まっていた事なのだろうが、文庫版の…

『人口減少時代の土地問題』吉原祥子 面倒でも土地の登記はしっかりと!

全国の土地の2割は所有者がわからない 2017年刊行の中公新書。筆者の吉原祥子は1971年生まれ。民間のシンクタンク東京財団の研究員。 帯の惹句にもあるとおり、「持ち主がわからない土地が九州の面積(国土の2割)を越えている」。日本では2011年以降、少子…