ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

社会

『空気が支配する国』物江潤 日本社会の同調圧力の正体は?

コロナ禍の今だから、読みたい一冊 2020年刊行。筆者の物江潤(ものえじゅん)は1985年生まれ。東北電力退社後、松下政経塾に入り、現在は地元の福島で塾経営をしつつ執筆業もされている方。 その他の近著には新潮新書の『ネトウヨとパヨク』がある。 ネトウ…

『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介 千葉県北東部に乱開発された宅地群があった

知られざる「限界ニュータウン」の全貌が明らかに 2022年刊行。筆者の吉川祐介(よしかわゆうすけ)は1981年生まれのブロガー、Youtuber。自身も現地で暮らし、100カ所以上もの限界ニュータウンを巡り、その実情をレポートしてきたことで知られる人物である…

『犯罪は「この場所」で起こる』小宮信夫 「犯罪機会論」からの防犯対策とは?

犯罪心理学の専門家が説く防犯論 2005年刊行。筆者の小宮信夫(こみやのぶお)は1956年生まれ。本書執筆当時は立正大の助教授。現在は教授に。専攻は犯罪心理学である。 Wikipedia先生でプロフィール部分を引用させていただくとこんな感じ。犯罪抑止、防犯に…

『ウクライナ戦争の200日』小泉悠 ロシアの軍事・安全保障研究家がリアルタイムで語った同時代史

小泉悠の対談本 2022年刊行。「文藝春秋」「Foresight」「週刊文春エンタ+」「週刊文春WOMAN」などで掲載されていた対談を一冊にまとめて上梓したもの。 筆者の小泉悠(こいずみゆう)は1982年生まれの軍事評論家、軍事アナリスト。ロシアへの留学経験を持…

『22世紀の民主主義』成田悠輔 政治家も選挙もいらない「無意識民主主義」のすすめ

20万部突破のベストセラー 2022年刊行。筆者の成田悠輔(なりたゆうすけ)は1986年生まれの経済学者、実業家。アメリカのイェール大学助教授(本人プロフィールにそう書いてある。准教授じゃないの?)を努めつつ、日本では自身で起業もしているという人物。…

『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史 コンテンツは鑑賞物から消費するものに変わっていく

ウェブメディア発、コンテンツ消費の現在形 2022年刊行。筆者の稲田豊史(いなだとよし)は1974年生まれのライター、編集者、コラムニスト。映画配給会社のギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)出身で、その後、キネマ旬報社を経て独立。映画評論からジ…

『団地の空間政治学』原武史 団地黄金時代に芽生えた自治の意識と政治活動

原先生の団地本だ! 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。 天皇制をめぐる数々の著作で知られるが、鉄道分野にも造詣が深く、本業の政治思想研究と絡めた『「民都」大阪対「帝都」東京』ではサントリー学芸賞を受賞している。 …

『人口減少時代の土地問題』吉原祥子 面倒でも土地の登記はしっかりと!

全国の土地の2割は所有者がわからない 2017年刊行の中公新書。筆者の吉原祥子(よしはらさちこ)は1971年生まれ。民間のシンクタンク東京財団の研究員。 帯の惹句にもあるとおり、「持ち主がわからない土地が九州の面積(国土の2割)を越えている」。日本で…

『レッドアローとスターハウス』原武史 西武鉄道と団地が東京の郊外に何をもたらしたのか

今週のお題「最近おもしろかった本」に参加します! 西武鉄道と団地に着目した戦後思想史 2012年刊行。筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者。専攻は日本の政治思想史。明治学院大学の教授職を経て、現在は放送大学の教授。 レッドアローとス…

『ヤンキーと地元』打越正行 解体屋、風俗経営、ヤミ業者として生きる沖縄の若者たち

社会学者の参与観察から生まれた一冊 2019年刊行。筆者の打越正行(うちこしまさゆき)は1979年生まれの社会学者。現在は、和光大学現代人間学部の専任講師、社会理論・動態研究所の研究員を務めている人物。 『ヤンキーと地元』は初めての単著で、社会学系…

『帝都東京・隠された地下網の秘密』全二作が胡散臭いけど面白い

本日ご紹介するのはこちらの二冊。ややもするとトンデモ系に分類されてしまいそうな作品だが、素材としては面白い。普段は見ることが出来ない地下の世界だけに、妄想は深まるのである。 この書籍から得られること 東京の地下鉄について詳しくなれる 東京の地…

『定刻発車 日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』三戸祐子 鉄道から読み解く日本人論

鉄道を通して見た日本人論 2001年に交通新聞社より『定刻発車 日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム』として刊行された。 定刻発車―日本社会に刷り込まれた鉄道のリズム 作者:三戸 祐子 交通新聞社 Amazon 新潮文庫版は2005年に登場。文庫化にあたり改題、加…

『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』西岡研介 JR労組問題の闇に切り込む

JRの暗部に切り込んだ一冊 2006年7月から「週刊現代」に半年にわたって掲載された「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」をもとに書かれたノンフィクション作品。 筆者の西岡研介(にしおかけんすけ)は1967年生まれのノンフィクションライター。本作で…

『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』森川嘉一郎 秋葉原の光と影を考察する

趣味の都アキハバラを読み解く 2003年刊行。筆者の森川嘉一郎(もりかわかいちろう)は1971年生まれで、明治大学国際日本学部の准教授。建築学者で、意匠論を専門とする人物。 本書は日本が世界に誇る?オタクの王国アキハバラに視点を据えた都市論である。 …

『老後に住める家がない!』太田垣章子 明日は我が身の”漂流老人”問題

老後に住む家が借りられない現実を知る 2000年刊行。筆者の太田垣章子(おおたがきあやこ)は専業主婦から一念発起、30代後半で司法書士の資格を取られた方。2,300件を超える家賃滞納トラブルを解決してきた実績を持つ、最新の賃貸事情を知る人物である。 太…

『東京タイムスリップ1984⇔2021』『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』善本喜一郎 昭和と令和の東京の街並みを見比べる

※2022/5/28追記 続編となる『東京DEEPタイムスリップ1984⇔2022』が刊行されていたので後半に情報を追記しました! 『東京タイムスリップ1984⇔2021』よみがえる1984年の東京 この本で得られること 内容はこんな感じ 目次 懐かしい新宿の姿が楽しい 2021年との…

『中流崩壊』橋本健二 「中流」は本当に存在したのか?

「階級格差社会」日本を読み解く 2020年刊行。筆者の橋本健二(はしもとけんじ)は1959年生まれ。現在は早稲田大学人間科学学術院の教授職。主著に『階級都市』『アンダークラス』『新・日本の階級社会』『<格差>と<階級>の戦後史』がある。統計データを元に…

『ルポ貧困大国アメリカ』堤未果  格差社会の本場アメリカの怖ろしさ

70万部も売れた大ベストセラー 2008年刊行。日本エッセイスト・クラブ賞及び、新書大賞をダブル受賞したことで知られる。刊行当時は70万部を売った大ベストセラーである。 筆者の堤未果 (つつみみか)は1971年生まれの作家、ジャーナリスト。ニューヨーク州…

『戒名と日本人 あの世の名前は必要か』保坂俊司 戒名という切り口から見た日本葬送史

戒名の事が気になって 2006年刊行。筆者の保坂俊司(ほさかしゅんじ)は1956年生まれの宗教学者。本書執筆時は麗澤大学の教授だったが、現在は中央大学の教授。専攻は比較宗教学、インド思想。戒名「行俊」。 まず最初に誤植多すぎでゲンナリ。ですます調で…

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治 "三等分"したケーキのインパクト

120万部も売れたベストセラー新書 2019年刊行。筆者の宮口幸治(みやぐちこうじ)は立命館大学の産業社会学部の教授。元々は児童精神科医で、医療少年院では法務技官として勤務した経験を持つ人物。 本書は、新書大賞2020で第二位にランクインした作品である…

『四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼』上原善広 遍路で生活する人々の姿に迫ったノンフィクション作品

草遍路と四国の路地巡礼 2021年刊行。筆者の上原善広(うえはらよしひろ)は1973年生まれのノンフィクションライター。 2005年のデビュー作『被差別の食卓』は各方面で話題になったので、記憶されている方も多いのではないか。 被差別の食卓(新潮新書) 作…

『ドキュメント戦争広告代理店』高木徹 ユーゴ内戦の陰で暗躍した広告代理店

NHKスペシャルをベースとしたノンフィクション作品 2002年刊行。2000年の10月に放映されたNHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕~」をベースにしたノンフィクション作品。筆者はNHKのディレクターで、本作により第一回新潮ドキュメント賞、第24回講…

『サラ金の歴史』小島庸平 サラ金業界の勃興から隆盛、壊滅に至るまでを概観する

新書大賞2022大賞受賞作品 2021年刊行。筆者の小島庸平(こじまようへい)は1982年生まれの経済史学者。東京大学経済学研究科の准教授。 本書は2021年の2021年度の第43回サントリー学芸賞を受賞。更に、2020年12月~2021年11月に刊行された新書を対象とした…

『「感動」禁止!―「涙」を消費する人びと』八柏龍紀 「感動をありがとう!」でいいのかな?

「感動」を消費するわたしたち 2006年刊行。筆者の八柏龍紀(やがしわたつのり)は1953年生まれ。慶応卒で、教員、予備校講師などのキャリアを経て、著述、評論等の活動をされている方。その他の著作に2016年の双葉社『日本人が知らない「天皇と生前退位」』…

『無理ゲー社会』橘玲 メリトクラシー(能力主義)がもたらす格差社会

攻略不可能(無理ゲー)な社会に生きていないか? 2021年刊行。筆者の橘玲(たちばなあきら)は1959年生まれ。もともとは宝島社の編集者で、後に作家に転身。2002年の小説『マネーロンダリング』がデビュー作。小説以外の作品も多数執筆しており、再三改版さ…

『「かまやつ女」の時代』三浦展 ゼロ年代の女性の生き方を考察した一冊

三浦展によるゼロ年代の社会評論本 2005年刊行。筆者の三浦展(みうらあつし)は1958年生まれのマーケッター、評論家。最初の著作は1992年に出た『「豊かな社会」のゆくえ アメリカ・ウエイ ジャパニーズ・ウエイ』。 名前が売れ始めたのは代表作である、200…

『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』岡本亮輔 現代人の宗教的意識の変容を読み解く

現代の聖地はなぜ生まれるのか 2015年刊行。筆者の岡本亮輔(おかもとりょうすけ)は1979年生まれの宗教学者。現在は北海道大学の准教授を務めている人物。 2012年の『聖地と祈りの宗教社会学』では日本宗教学会賞を受賞している。 聖地と祈りの宗教社会学―…

『心をあやつる男たち』福本博文 マインドコントロールの実態に迫った一冊

STと新たな洗脳の仕組み 筆者の福本博文(ふくもとひろふみ)は1955年生まれのノンフィクション作家。『心をあやつる男たち』は1993年に刊行された作品。 心をあやつる男たち 作者:福本 博文 文藝春秋 Amazon 文春文庫版は1999年に刊行されている。 この記事…

『偽善系 やつらはヘンだ!』『偽善系II 正義の味方にご用心!』日垣隆 世に溢れる偽善者たちを叩きまくる

2000年刊行。本日は日垣隆(ひがきたかし)が2000代の前半に上梓した二冊の社会批判本をご紹介したい。日垣隆は1958年生まれの作家、ジャーナリスト、ノンフィクションライター。 1999年の『「買ってはいけない」は嘘である」』で第61回の文藝春秋読者賞を。…

『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』斎藤美奈子 物語世界から読み解くジェンダー意識

今週のお題「読書の秋」。本日ご紹介するのはこちら。 斎藤美奈子、初期の代表作 筆者の斎藤美奈子(さいとうみなこ)は1956年生まれの文芸評論家。デビュー作は1994年の『妊娠小説』。 余談ながら「紅一点」が北宋の政治家にして詩人王安石の詩の一節、「萬…