ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

日本史

『殴り合う貴族たち』繁田信一 藤原実資「小右記」から読む平安貴公子のご乱行

素行の悪い平安の貴公子たち 筆者の繁田信一(しげたしんいち)は1068年生まれの歴史学者。神奈川大学の日本常民文化研究所で特別研究員をされている方。 単行本版は2005年刊行。この時は副題として「平安朝裏源氏物語」が付されていた。 殴り合う貴族たち: …

『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』榎村寛之 多様な可能性が存在した平安時代の前半分

平安時代の前期には何があったのか? 2023年刊行。筆者の榎村寛之(えむらひろゆき)は1959年生まれの研究者。三重県立斎宮歴史博物館で学芸員を務めている方。 勤め先からも想像がつくとおり、伊勢斎宮研究の専門家で、関連著作がいくつもある。当ブログで…

『壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分』尾脇秀和 身分制度の常識を覆す

江戸時代の秩序観を知る一冊 2019年刊行。筆者の尾脇秀和(おわきひでかず)は1983年生まれ。神戸大学経済経営研究所の研究員。佛教大学の非常勤講師。専門は日本近世史。 その他の著作に、2014年の『近世京都近郊の村と百姓 』、2018年の『刀の明治維新: 「…

『江戸の町は骨だらけ』鈴木理生 「骨」から読み解く江戸の歴史

江戸の歴史は「骨」からわかる 2002年刊行。筆者の鈴木理生(すずき まさお)は1926年生まれの歴史研究家。2015年に亡くなられている。『江戸の川・東京の川』『図説 江戸・東京の川と水辺の事典』『江戸はこうして造られた』など、「江戸」について数多くの…

『平安貴族の仕事と昇進』井上幸治 熾烈な任官争いとブラックな環境

貴族の仕事について知りたい方に 2023年刊行。筆者の井上幸治(いのうえこうじ)は1971年生まれ。佛教大学歴史学部の非常勤講師。京都市歴史資料館館員。その他の著作として2016年の『古代中世の文書管理と官人』がある。 ちなみに歴史文化ライブラリーは、…

『椿井文書(つばいもんじょ)』馬部隆弘 日本最大級の偽文書の正体

偽史が発生するメカニズムを知る 2020年刊行。筆者の馬部隆弘(ばべたかひろ)は1976年生まれの歴史学者。大阪大谷大学の准教授で、戦国期権力論、城郭史、偽文書研究で知られる人物。本書で一気に知名度があがった。やはり中公新書で出てくると影響力が大き…

『勘定奉行の江戸時代』藤田覚 勘定奉行で学ぶ江戸幕府の財政史

勘定奉行から江戸時代を読み解く 2018年刊行。筆者の藤田覚は1946年生まれ。東京大学の史料編纂所の教授を2010年に定年で退官し、現在は同大の名誉教授。専門は日本近世史。江戸時代に関する著作が20冊ほど刊行されている。 内容はこんな感じ 江戸時代に活躍…

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり 平安の格差社会を生き抜いた紫式部が『源氏物語』に込めた想い

大塚ひかりの「源氏本」が出た! 2023年刊行。筆者の大塚ひかりは1961年生まれの古典エッセイスト。 わたしが初めて大塚作品を読んだのは草思社の『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』から。新潮新書の『女系図でみる驚きの日本史』はこのブログ…

『大津絵』クリストフ・マルケ 江戸時代の人々に愛された庶民画の世界

フランス人研究者による「大津絵」ガイドブック 2016年刊行。筆者のクリストフ・マルケ(Christophe Marquet)は1965年生まれ。フランス人で、日本近世・近代美術史と、出版文化史の研究者である。 オリジナルのフランス版は2015年に刊行されている。フラン…

2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

既に2024年の1月も後半に入っている状況で、遅きに失した感が無きにしもあらずだが、恒例の〇〇年に読んで面白かった本企画をお届けしたい。 なお、あくまでも2023年に読んだ本が対象であって、2023年に刊行された本ではないのでその点はご容赦を。 では、今…

『足利将軍たちの戦国乱世』山田康弘 室町幕府は何故存続し、何故滅びたのか?

応仁の乱後、七人の将軍はどう生きたか? 2023年刊行。筆者の山田康弘(やまだやすひろ)は1966年生まれの歴史学者。専門は日本中性子。現在は東京大学史料編纂所の学術専門職員。ちなみに考古学者の山田康弘(東京都立大教授)とは同姓同名の別人みたい。 …

『「民都」大阪対「帝都」東京』原武史 どうして関西では私鉄王国が築かれたのか?

サントリー学芸賞、社会・風俗部門受賞作 1998年刊行。講談社の人文学術書レーベル、選書メチエからの登場だった。 筆者の原武史(はらたけし)は1962年生まれの政治学者で、専攻は日本政治思想史。『「民都」大阪対「帝都」東京』は、1998年のサントリー学芸…

『感染症の日本史』磯田道史 日本人はいかにパンデミックと対峙してきたか

歴史から学ぶ、感染症の教訓 2020年刊行。筆者の磯田道史(いそだみちふみ)は1970年生まれの歴史学者。国際日本文化研究センターの准教授。NHKなど、テレビでの出演も多く、顔を見れば「ああこの人か」と思う方は多いのではないだろうか。 代表作としては、…

『国道16号線 「日本」を創った道』柳瀬博一 国道16号線をめぐる文明論

日本最強の郊外道路の過去と未来 2020年刊行。筆者の柳瀬博一(やなせひろいち)は1964年生まれ。日経BP社で「日経ビジネス」の記者や、専門誌の編集、単行本の編集者として活躍。その後独立し、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の教授職に就いて…

『東京の地霊(ゲニウス・ロキ)』鈴木博之 歴史的因縁が土地にもたらすもの

サントリー学芸賞受賞作品 筆者の鈴木博之(すずきひろゆき)は建築史家。東京大学や、青山大学の教授を歴任。東大の名誉教授にもなり、2014年に68歳で亡くなっている。 東京の「地霊(ゲニウス・ロキ)」 作者:鈴木 博之 文藝春秋 Amazon 本作は1990年に文芸…

『屋根の日本史』原田多加司 職人が教える日本伝統建築の魅力

屋根職人のエキスパートが教えてくれる 2004年刊行。中公新書。筆者の原田多加司(はらだたかし)は1951年生まれ。地方銀行勤務から実家の檜皮葺師への道に入り十代目原田真光を襲名している。国宝、重文級の建築物の修復を数多く手がけてきた屋根職人のエキ…

『宝治合戦 北条得宗家と三浦一族の最終戦争』細川重男 その後の「鎌倉殿」と仁義なき戦い

「鎌倉殿」のその後が知りたくて 大河ドラマの『鎌倉殿の13人』が、自分史上かつてないほどの面白さだったので(それまでのベスト大河は1991年の『太平記』だった)。「その後」を知りたくて本書をゲット。 本書は2022年刊行。筆者の細川重男(ほそかわしげ…

2022年に読んで面白かった新書・一般書12選

毎年恒例の〇〇年に読んで面白かった本シリーズ、2022年版をお届けしたい。しかしながら、今年は放送大学二年目ということで、学習に割かれる時間が多くて、あまり数がこなせなかったのが残念。昨年は歴史編、その他編と二回に分けてお送りするほどネタがあ…

『平氏 公家の盛衰、武家の興亡』倉本一宏 武家平氏と堂上平氏、日本の歴史を支えた一族

平氏一族の全貌がわかる 2022年刊行。筆者の倉本一宏(くらもとかずひろ)は1958年生まれの歴史学者。国際日本文化研究センターの教授。 専門は日本の古代政治史で、関連著作多数。今年刊行された『平安京の下級官人』が気になっていて、こちらを読もうと思…

『江戸で部屋さがし』菊地ひと美 江戸時代住居の間取りを豊富なカラーイラストで紹介

専門家が教えてくれる江戸時代の部屋さがし 2022年刊行。作者の菊地ひと美は、1955年生れの江戸衣装と暮らし研究家、日本画家(画号・菊地一美)。 ちくま文庫の『江戸衣装図絵』シリーズ、東京堂出版の『江戸の暮らし図鑑』、三省堂の『お江戸の結婚』など…

佐伯有清『高丘親王入唐記』~『高丘親王航海記』と共に読みたい一冊

数少ない高丘親王研究本 2002年刊行。筆者の佐伯有清(ありきよ)は1925年生まれの歴史学者。北海道大学、成城大学の教授を歴任。2005年に他界されている。 『高丘親王入唐記』の入唐は(にっとう)と読む。「入⇒にふ」の促音化なのか?、当時の中国語の音を…

『源氏物語の結婚』工藤重矩 正妻はやっぱり強かった!源氏物語で読み解く平安時代の結婚制度

平安時代の結婚制度を源氏物語を通じて紹介 2012年刊行。筆者の工藤重矩は1946年生まれの国文学者。福岡教育大学の名誉教授、福岡女子大学の客員教授。 主な著作は以下の通り。 『平安朝律令社会の文学』ぺりかん社(1993年) 『平安朝の結婚制度と文学』風…

『藩と日本人 現代に生きる“お国柄”』武光誠 県民性のルーツは江戸時代の藩に?

江戸時代の藩が"お国柄"をつくった オリジナルのPHP新書版1999年に刊行されている。筆者の武光誠(たけみつまこと)は明治学院大の教授。日本古代史、日本思想史が専攻。 藩と日本人―現代に生きる“お国柄” (PHP新書) 作者:武光 誠 PHP研究所 Amazon しばらく…

『北条氏の時代』本郷和人 七人の得宗家から読み解く鎌倉時代

本郷和人による「北条氏」本 2021年刊行。筆者の本郷和人(ほんごうかずと)は1960年生まれの歴史学者。東京大学史料編纂所で教授職にある人物。専門は日本の中世史。 一般人向けの著作も多く、メディアに登場する機会も多いので、ご存じの方も多いのではな…

『戒名と日本人 あの世の名前は必要か』保坂俊司 戒名という切り口から見た日本葬送史

戒名の事が気になって 2006年刊行。筆者の保坂俊司(ほさかしゅんじ)は1956年生まれの宗教学者。本書執筆時は麗澤大学の教授だったが、現在は中央大学の教授。専攻は比較宗教学、インド思想。戒名「行俊」。 まず最初に誤植多すぎでゲンナリ。ですます調で…

『女系図でみる驚きの日本史』大塚ひかり 蘇我氏も平家も滅亡していなかった!

蘇我氏も平家も滅亡していなかった! 2017年刊行。筆者の大塚ひかりは1961年生まれ。歴史系の著作多数。以前に読んだ『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』が面白かったので、今回も手に取って見た次第。 大切なのは「胤より腹」。家は絶えても血…

『頼朝と義時 武家政権の誕生』呉座勇一 頼朝の限界と義時の達成

呉座勇一による源頼朝と北条義時の本 2021年刊行。筆者の呉座勇一(ござゆういち)は1980年生まれの歴史学者。専門は日本中世史。 著作としては2016年の『応仁の乱 戦国を生んだ大乱』が有名かな。 応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 作者:呉座勇一 …

『斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史』榎村寛之 歴代斎王たちへの愛がほとばしる一冊

斎宮と斎王のガイドブック 本書は2017年刊行。筆者の榎村寛之(えむらひろゆき)は三重県立斎宮歴史博物館勤務。斎宮関連の著作も多い。 ちなみに、こちらは斎宮歴史博物館入口にある館名標識。メチャ素敵!(というか、斎宮が好きすぎて現地まで行ったこと…

『北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権』岩田慎平 『鎌倉殿の13人』を見ながら読むならこの一冊

『鎌倉殿の13人』のハンドブックとして 筆者の岩田慎平は1978年生まれの歴史学者。専門は日本中世史(中世武士論、鎌倉幕府論)。現在は、神奈川県愛川町の郷土資料館で主任学芸員を務めている方。 2021年の12月に刊行。タイトル的にも2022年のNHK大河ドラマ…

『承久の乱 日本史のターニングポイント』本郷和人 北条時政、義時父子の暗躍ぶりが凄い!

『鎌倉殿の13人』のネタバレが気にならない方向け 今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を毎週楽しく見ている。源平合戦のおおまかな流れは理解しているつもりだったが、「鎌倉殿」のように北条視点になると、途端に周囲の人間関係がよくわからなくなる。 とい…