ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

日本史

『破産者たちの中世』桜井英治 中世期の金融システムを解き明かした一冊

中世の破産者たちの姿を描く 2005年刊行。筆者の桜井英治(さくらいえいじ)は東京大学大学院総合文化研究科の教授。本書刊行当時は北海道大学大学院文学研究科助教授だった。日本中世史、流通経済史を専門としている。 この書籍から得られること 日本中世、…

『荘園』伊藤俊一 750年に及ぶ、日本の荘園の歴史を振り返る

荘園を通じて日本の中世史を学ぶ 筆者の伊藤俊一(いとうしゅんいち)は1958年生まれの歴史学者。現在は名城大学人間学部の教授職にある人物。専門は日本中世史。 著作に『室町期荘園制の研究』。共著に『新体系日本史3 土地所有史』『気候変動からみなおす…

『刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機』関幸彦 女真族の襲来と軍事貴族たちの台頭

平安時代の異民族襲来 日本の歴史上、本土にまで外国勢力が侵入を果たした例は少ない。直近での最大の事例は言うまでもなく太平洋戦争(第二次世界大戦)になるだろう。しかしそれより前となるとどうだろうか。なんと鎌倉時代の元寇(1274年、1281年)まで遡…

「好きな中公新書10選」を歴史系縛りでピックアップしてみた

中公新書を歴史系から10冊セレクト 中公新書は、岩波新書、講談社現代新書と共に「新書御三家」として名高い。1962年創刊ということで、来年で創刊60周年を迎える老舗レーベルである。 さて、本日ははてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に便乗。 なに…

『室町は今日もハードボイルド』清水克行 やられたらやり返す!舐められたら終わりの時代を生き抜く

いま、室町時代が熱い! 2016年に刊行された、呉座勇一の『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』は50万部の大ヒット作となった。 呉座勇一著『応仁の乱』が重版決定しています。これで34刷。話題を呼び続け、部数は50万部近くとなりました。細川勝元、山名宗全…

『華族-近代日本貴族の虚像と実像』小田部雄次 日本の華族は78年間に1011家!

日本の華族の全体像がつかめる一冊 2006年刊行。筆者の小田部雄次(おたべゆうじ)は立教大学出身。現在は静岡福祉大学の名誉教授。専攻は日本近現代史。 さすが中公新書。岩波、講談社現代新書と並んで、さすが新書御三家クラスともなると、読み応えが半端…

『天正伊賀の乱』和田裕弘 古い地域支配の終焉と中央集権化の流れ

信長VS伊賀衆 2021年刊行。筆者の和田裕弘(わだやすひろ)は1962年生まれの戦国史の研究家。 戦国時代、特に織田家に関する著作を数冊上梓しており、中公新書からは以下の三作を世に送り出している。 2017年『織田信長の家臣団―派閥と人間関係』 2018年『信…

『中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢』鈴木由美 『逃げ上手の若君』と併せて読みたい!

2021年刊行。筆者の鈴木由美(すずきゆみ)は1972年生まれの歴史研究家。日本史史料研究会の関連団体(なのかな?)である、中世内乱研究会で会長を務めている人物。過去に共著はいくつかあったが、単著としては本書が初めての作品となる。 呉座勇一の『応仁…

『幕末単身赴任 下級武士の食日記』青木直己 食レポ日記から幕末の江戸を知る

幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…

『日本の偽書』藤原明 荒唐無稽なものに人は魅せられる

六冊の偽書をとりあげる 2004年刊行。筆者の藤原明(ふじわらあきら)は1958年生まれのノンフィクションライター。古今有名な六つの偽書を題材に、怪しげな文献が制作者の意図すらも越えていつのまにか一人歩きしていく謎について、新書のボリュームでコンパ…

『刀狩り―武器を封印した民衆』藤木久志 農民たちは刀を取り上げられていなかった?

「刀狩り」の概念を変えた一冊 筆者の藤木久志(ふじきひさし)は1933年生まれ。群馬工業高専の講師や、聖心女子大学での助教授職を経て、立教大学へ。立教では名誉教授にまでなり、その後は帝京大学でも教鞭を振るった。 残念ながら2019年に亡くなられてし…

『大江戸死体考―人斬り浅右衛門の時代』氏家幹人 大都市江戸のアンダーワールド

江戸のアンダーワールドを知る 1999年刊行。筆者の氏家幹人は1954年生まれの歴史学者。朝日カルチャーセンター掲載のプロフィールによると国立公文書館で勤務されていた方らしい。講談社現代新書の『武士道とエロス』『江戸の性風俗』など、江戸時代について…

『中世の再発見 市・贈与・宴会』網野善彦・阿部謹也 中世史の両巨頭による対談集

網野善彦と阿部謹也の対談集! オリジナル版はなんと1982年刊行!平凡社選書からの登場であった。かれこれ40年も前の著作である。 筆者は網野善彦(あみのよしひこ)と阿部謹也(あべきんや)の両名。ビッグネーム過ぎて説明不要な気もするが、網野善彦は192…

『嫉妬の世界史』山内昌之 権力者の嫉妬は本当に怖い

安倍晋三に影響を与えた一冊 2004年刊行。筆者の山内昌之(やまうち まさゆき)は1947年生まれの歴史研究者。専門はイスラム地域研究と国際関係史。本書刊行当時は東京大学大学院の教授。現在は東京大学の名誉教授、武蔵野大学国際総合研究所特任教授。政府…

『小さな藩の奇跡 伊予小松藩会所日記を読む』増川宏一 小藩が残した日常の記録

一万石の小藩が残した150年間の記録 2001年の本書刊行当時、わたしは夏の旅行で松山を訪れていた。銀天街の書店にて手書きポップの威力に負け購入してしまった一冊がコレ。ご当地ものには弱いのだ。 本書は、伊予小松藩(現在の愛媛県西条市小松町)に残され…

『藩とはなにか』藤田達生 「江戸の泰平」はいかに誕生したか

戦国バブルの弾けたあとに 2019年刊行。筆者の藤田達生(ふじたたつお)は、三重大学、同大学院の教授で、専攻は日本近世国家成立史の研究。 内容はこんな感じ 安土桃山時代から江戸時代へ。戦乱の続いた時代から太平の世へ。この国の社会基盤は大きな変容を…

『信長軍の司令官』谷口克広 死屍累々、織田信長軍団の光と影

信長軍の変遷をたどる 2005年刊行。筆者の谷口克広(たにぐちかつひろ)は1943年生まれの戦国史研究家。織田信長に関する著作が多数ある。 戦国ヲタは読んでおけという一冊。面白いぞ。尾張の小大名時代から、京都上洛時、伊勢攻め、浅倉浅井戦、本願寺攻め…

『僕の見た「大日本帝国」』『写真で読む僕の見た「大日本帝国」』西牟田靖

原チャリでサハリンに乗り込む行動力 2005年刊行。筆者は1970年生まれのライター、ノンフィクション作家。 僕の見た「大日本帝国」 教わらなかった歴史と出会う旅 [ 西牟田靖 ] 楽天で購入 世界の50もの国を探訪。離島の訪問数も100を越える。タリバン支配下…