ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

2024-01-01から1年間の記事一覧

『「働き手不足1100万人」の衝撃』古屋星斗+リクルートワークス研究所 2040年の日本が直面する危機と“希望”

2024年刊行。筆者の古屋星斗(ふるやしょうと)は一橋大学大学院社会学研究科を経て、経済産業省に入り、その後リクルートワークス研究所の主任研究員に転じている人物。 本書は2023年3月にリクルートワークス研究所が発表した未来予測シミュレーションの結…

『土葬の村』高橋繁行 滅びゆく弔いの習慣

筆者は死と弔いに豊富な知見を持つ 2021年刊行。筆者の高橋繁行(たかはししげゆき)は1954年生まれのルポライター。『ドキュメント現代お葬式事情』『葬祭の日本史』など、人間の死、葬式、葬祭儀礼に関連した著作を何冊か他にも上梓している。 この本で得…

『体験格差』今井悠介 子どもたちの間に「体験」の格差が広がっている

2024年刊行。筆者の今井悠介(いまいゆうすけ)は1986年生まれ。東日本大震災をきっかけに、生活困窮家庭の子どもたちの学びを支援する公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンを設立。今回の『体験格差』が初めての著作となる。 Webメディアの現代ビジネス…

『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』スズキナオ なんでもない日々を少しぐらいは楽しく

スズキナオ初の単著 2019年刊行。筆者のスズキナオは1979年生まれ。Webメディア「デイリーポータルZ」「メシ通」などでの活躍が知られる、大阪在住のフリーライター。 同業者との共著で、『"よむ"お酒』『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』『酒…

『国のために死ぬのはすばらしい?』ダニー・ネフセタイ イスラエルからきたユダヤ人家具作家の平和論

イスラエルから日本にやってきたユダヤ人の平和論 2016年刊行。筆者のダニー・ネフセタイ(Dany Nehushtai)は1957年生まれのイスラエル人。イスラエルの高校を卒業後、徴兵でイスラエル空軍に三年間所属。その後、来日、日本人女性と結婚。日本で家具職人と…

『猫語の教科書』ポール・ギャリコ ネコが書いた、ネコのための本

猫のためのマニュアル本? オリジナルの米国版の原題は『The silent miaow』(原題からして既にかわいい)で、1964年の刊行。こちらの書影はペーパーバック版で1985年刊行。 Silent Miaow 作者:Gallico, Paul Three Rivers Press Amazon 日本語版は1995年に…

『ぼくの村は壁で囲まれた』高橋真樹 パレスチナ問題についての入門書として

パレスチナ問題の入門書として 2017年刊行。筆者の高橋真樹(たかはしまさき)は1973年生まれのノンフィクション作家。エネルギー問題、SDGs関連等、環境についての著作多数。 帯には放送大学教授(現在は退官されて名誉教授)の高橋和夫の推薦文が掲載され…

『紫式部の父親たち 中級貴族たちの王朝時代へ』繁田信一 書簡集『雲州消息』から平安朝を読み解く

繁田先生の本が面白い 2010年刊行。筆者の繁田信一(しげたしんいち)は1991年生まれの歴史学者。 2004年に吉川弘文館から出た『陰陽師と貴族社会』が最初の著作。以後、平安朝に関連した著作を二十作以上、世に送り出している。 大河ドラマ『光る君へ』にハ…

『現代アラブを知るための56章』松本弘・編著 アラブの各国を概観できるエントリー本

明石書店のエリア・スタディーズシリーズ 2013年刊行。編著者である松本弘(まつもとひろし)は1960年生まれの政治学者。大東文化大学、国際関係学部の教授。同氏をはじめとして二十名を超える中東地域の研究者たちが執筆陣として名を連ねている。 本書は明石…

『ある行旅死亡人の物語』武田惇志・伊藤亜衣 他者の人生を覗き見る罪深さを考える

1200万PVをたたき出した記事の書籍化 2022年刊行。筆者のふたりは共同通信社の記者。そのうちのひとり武田惇志が、記事になるネタはないかと官報を読んでいた本件にぶち当たった。 書籍化される前にネットでも記事になり、とても話題になったので、記憶に残…

『へろへろ 雑誌『よれよれ』と「宅老所よりあい」の人びと』鹿子裕文 楽しもう。もがきながらも

唯一無二の特別養護老人ホームが出来るまで 2015年刊行。単行本版はナナロク社から出ている。 筆者の鹿子裕文(かのこひろふみ)は1965年生まれの編集者、作家。その他の著作に2020年の『ブードゥーラウンジ』、2021年の『はみだしルンルン』がある。 表紙イ…

『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』 昭和30年代をカラー写真で楽しめる

昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…

『天井のない監獄 ガザの声を聴け』清田明宏 UNRWA保健局長による2010年代のガザの実情

UNRWAの保健局長が書いたガザの実情 集英社のWebメディア「集英社新書プラス」に2017年7月~2018年9月にかけて連載された「ガザの声を聴け!」をベースに書籍化したもの。 2019年刊行。筆者の清田明宏(せいたあきひろ)は1961年生まれの医師。世界保健機関…

『芝園団地に住んでいます』大島隆 団地住民の半数が外国人になったらどうなるのか?

朝日新聞記者による現地レポート 2019年刊行。筆者の大島隆(おおしまたかし)は1972年生まれ。現役の朝日新聞記者。テレビ東京ニューヨーク支局記者、朝日新聞ワシントン特派員等を経て、現在は英語メディアThe Asahi Shimbun AJWのデスク。アメリカでの滞…

『殴り合う貴族たち』繁田信一 藤原実資「小右記」から読む平安貴公子のご乱行

素行の悪い平安の貴公子たち 筆者の繁田信一(しげたしんいち)は1068年生まれの歴史学者。神奈川大学の日本常民文化研究所で特別研究員をされている方。 単行本版は2005年刊行。この時は副題として「平安朝裏源氏物語」が付されていた。 殴り合う貴族たち: …

『しょぼい起業で生きていく』えらいてんちょう リスクを取らない起業スタイル

えらいてんちょうの一作目 2018年刊行。筆者の「えらいてんちょう」こと矢内東紀(やうちはるき)は1990年生まれ。慶大卒の高学歴者だが、朝起きるのが苦手なばかりに就職活動を諦め、計画も経験もないままなし崩し的に起業。初の実店舗であるリサイクルショ…

『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』榎村寛之 多様な可能性が存在した平安時代の前半分

平安時代の前期には何があったのか? 2023年刊行。筆者の榎村寛之(えむらひろゆき)は1959年生まれの研究者。三重県立斎宮歴史博物館で学芸員を務めている方。 勤め先からも想像がつくとおり、伊勢斎宮研究の専門家で、関連著作がいくつもある。当ブログで…

『進化する勉強法』竹内龍人 心理学が裏付ける科学的な勉強法

漢字学習から算数、英語、プログラミングまで 2019年刊行。筆者の竹内龍人(たけうちたつと)は1964年生まれの心理学研究家。日本女子大学人間心理学部心理学科の教授。実験心理学を主要な研究分野としている人物である。 サブタイトルには「漢字学習から算…

『「おりる」思想 無駄にしんどい世の中だから』飯田朔 生きていくのが少し楽になる考え方

飯田朔、初の著作集 2024年刊行。Webメディア「集英社新書プラス」に連載されていた記事をまとめたもの。筆者の飯田朔(いいださく)は1989年生まれ。本書が初めての著作となる。 早稲田大学在学中に引きこもりとなり、卒業後は学習塾で七年働き、その後一年…

『壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分』尾脇秀和 身分制度の常識を覆す

江戸時代の秩序観を知る一冊 2019年刊行。筆者の尾脇秀和(おわきひでかず)は1983年生まれ。神戸大学経済経営研究所の研究員。佛教大学の非常勤講師。専門は日本近世史。 その他の著作に、2014年の『近世京都近郊の村と百姓 』、2018年の『刀の明治維新: 「…

『江戸の町は骨だらけ』鈴木理生 「骨」から読み解く江戸の歴史

江戸の歴史は「骨」からわかる 2002年刊行。筆者の鈴木理生(すずき まさお)は1926年生まれの歴史研究家。2015年に亡くなられている。『江戸の川・東京の川』『図説 江戸・東京の川と水辺の事典』『江戸はこうして造られた』など、「江戸」について数多くの…

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理 「絶望の山」から「希望の石」を切り出す鑿として

パレスチナの歴史を知るために 2018年刊行。筆者の岡真理(おかまり)は1960年生まれの学者。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム思想。京都大学名誉教授、早稲田大学文学学術院文化構想学部教授。 東京外大のアラビア語科を卒業後…

『書評の仕事』印南敦史 読者のニーズに応え、的確な要約を書く技術とは?

書評ブログで何を書いていいかわからないあなたへ ブログで主として書評を書かれている皆さま(わたしのことである)。思ったような文章が書けているだろうか。そして狙ったような反応は得られているだろうか。何を書いていいのか分からない。書いても全く読…

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド

自己理解の専門家が教える「やりたいこと」の見つけ方 2020年刊行。筆者の八木仁平(やぎじんぺい)は1993年生まれ。学生時代には人気ブロガーとして知られる。当時のインタビュー記事があったのでリンクしておこう。 ブロガーとしては成功者の部類に入ると…

『平安貴族の仕事と昇進』井上幸治 熾烈な任官争いとブラックな環境

貴族の仕事について知りたい方に 2023年刊行。筆者の井上幸治(いのうえこうじ)は1971年生まれ。佛教大学歴史学部の非常勤講師。京都市歴史資料館館員。その他の著作として2016年の『古代中世の文書管理と官人』がある。 ちなみに歴史文化ライブラリーは、…

『不安のしずめ方40のヒント』加藤諦三 人生や仕事の不安を解消する考えかた

『テレフォン人生相談』のパーソナリティが書いた不安のしずめ方 私事で恐縮だが、コロナ対応によるテレワーク生活がかれこれ一年半になろうとしている。当初は出社しなくてよい気軽さを喜んでいたものだが、これがいざ仕事をしてみるとさまざまな問題が出て…

『機会不平等』斎藤貴男 格差を意図的に広げていこうとする層が存在する

「機会」の不平等を描く 2000年刊行。筆者の斎藤貴男(さいとうたかお)は1958年生まれのジャーナリスト。 機会不平等 作者:斎藤 貴男 文藝春秋 Amazon 文春文庫版は2004年に登場。わたしが読んだのはこちら。文庫化にあたり加筆が施されている。 機会不平等…

『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しか出てこない』三宅香帆 好きなことを自分のコトバで発信しよう!

自分のコトバでつくるオタク文章術 2023年刊行。筆者の三宅香帆(みやけかほ)は1994年生まれの書評家、作家。京都大学文学部、同大大学院修士課程、博士前期課程修了。現在は京都市立芸術大学の非常勤講師も務めている人物。 古典や文章術についての著作を…

『椿井文書(つばいもんじょ)』馬部隆弘 日本最大級の偽文書の正体

偽史が発生するメカニズムを知る 2020年刊行。筆者の馬部隆弘(ばべたかひろ)は1976年生まれの歴史学者。大阪大谷大学の准教授で、戦国期権力論、城郭史、偽文書研究で知られる人物。本書で一気に知名度があがった。やはり中公新書で出てくると影響力が大き…

『中流危機』NHKスペシャル取材班 中流層没落の原因と再生のための処方箋は?

NHKスペシャルを書籍化 2023年刊行。2022年9月に放映された「NHKスペシャル”中流危機”を超えて」をベースに、書籍としてまとめたもの。最近はこの手の、テレビで放映した内容を本にしました!的なものが多くなってきた気がする。 映像はNHKオンデマンドで現…