ビズショカ(ビジネスの書架)

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『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド

自己理解の専門家が教える「やりたいこと」の見つけ方

2020年刊行。筆者の八木仁平(やぎじんぺい)は1993年生まれ。学生時代には人気ブロガーとして知られる。当時のインタビュー記事があったのでリンクしておこう。

ブロガーとしては成功者の部類に入ると思うのだが、モチベーションが「お金」であったその活動は精神的に行き詰る。その後、「自己理解」をテーマとした発信にビジネスを切り替え事業化してこれが大成功。本書も2021年4月時点で18万部を超えるヒット自己啓発書となっている。

内容はこんな感じ

今の仕事を続けていいのか。「何か」をしたいがその「何か」が分からない。「やりたいこと」の探し方にはメソッドがある。「やりたいこと」が見つかれば人生は、より楽しく、充実したものになっていく。就職、転職、起業、仕事選びの前に読みたい。二度とブレない「自分軸」をみつけることが出来る一冊。

「やりたいこと」が見つからない方へ

人間にとって時間とエネルギーは有限である。「やりたいこと」が見つからない人生では、貴重な時間とエネルギーを有効に使うことが出来ない。しかし、「やりたいこと」が見つかったらどうだろうか。本当に「やりたいこと」が見つかれば、人間は時間とエネルギーを集中して使うことが出来る。結果として飽きずに続けることも出来るだろうし、成果に結びつく可能性も高くなるだろう。

しかし多くの人間にとって「やりたいこと」とは、なかなかわからないものである。そんな方に読んでいただきたいのが本書『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』である。

以下、各章の概要を簡単にご紹介していきたい。

「やりたいこと」探しを妨げる5つの間違い

「やりたいこと」探しにおける、ありがちな間違いとして、筆者は以下の五点を挙げている。

  1. 「一生続けられること」でなければいけない
  2. やりたいことを見つけた時には「運命的な感覚」がある
  3. 「人のためになること」でなければならない
  4. 見つけるには「たくさん行動する」しかない
  5. やりたいことが「仕事」にならない

「一生続けられること」を選ぶ必要はなく、今いちばんやりたいことを選べばいい。「やりたいこと」探しに運命的な感覚は訪れない。「人のため」よりも「自分のため」。そのためにや闇雲に行動してもダメで、正しいメソッドで臨む必要がある。そして、やりたいことは自分の中にある。実現手段は社会の中にある。

筆者はこうしたよくある前提を、最初に破壊してみせることで、読み手の興味を上手く惹きつけている。

なぜ「やりたいことが分からず迷い続けてしまう」のか?

第二章では「やりたいことが分からず迷い続けてしまう」理由が説明されている。

とかく、人間は、稼ぎたい、尊敬されたい、人気のある職業に就きたい、そう思いがちである。しかし、こうした価値観はいずれも他者から見た「他人軸」に依存するもので、そこには「自分軸」が存在していない。「自分軸」に立たない価値観で、人間は長くはやっていけない。

好きであること、得意であること、大事にしていること。「やりたいこと」を「自分軸」から考えていくことで、新しい展望が開けてくる。そう、筆者は説くのである。

「やりたいこと探しを最速で終わらせる公式」自己理解メソッド

第三章からはいよいよ本編である。筆者は以下の三つの軸で「やりたいこと」を見つけていこうと提唱している。

  • 好きなこと(情熱)
  • 得意なこと(才能)
  • 大事なこと(価値観)

好きなこととは、ずっと成長し続けていられるのが好きなことである。

得意なこととは、頑張らなくても無意識にできてしまうこと。

一つ目の公式は以下である。

好きなこと×得意なこと=やりたいこと

この際に注意したいのは、やりたいこと=なりたいものではないという点である。例えばサッカーが好きだとしても、誰もがサッカー選手になれるわけではない。それならばとサッカースクールの仕事に就くとしよう。しかしその内実は地道な営業活動であったり、受講生への丁寧なケアであったりサッカーとは離れた仕事であることが多い。多くの人間はここでつまづいてしまう。

ここで、筆者が掲げる三つ目の軸が「大事なこと」である。

大事なこととは、人間個々人の価値観。つまり、何のために生きているのかという目的意識である。自分はまわりの人々や社会をどうしたいのか、どんな影響を与えていきたいのかである。

ここで二つ目の公式が登場する。

好きなこと×得意なこと×大事なこと=本当にやりたいこと

好きなこと、得意なことも重要だが、本当に大切なのは「大事なこと(価値観)」であると筆者は定めている。それゆえに、「やりたいこと」の探しかたは以下のような流れとなる。

  1. 「大事なこと(価値観)」をみつけて、そこから何のために働くのかという仕事の目的を決める
  2. やりたいことを「得意なこと」から見つける
  3. 「好きなこと」をみつける
  4. 最後に実現するための手段を決める

人生を導くコンパス「大事なこと」を見つける

第四章ではもっとも重要な「大事なこと」の見つけ方が説明されている。

「大事なこと」は人間の根源に関わる問題である。「大事なこと」から外れた仕事をしてしまうとモチベーションも続かない。自分の中の「大事なこと」をしっかりと認識することが出来れば、ブレずに生きることが出来る。

本物の価値観を見つけ出す5つのステップとして筆者は以下を提示している。

  1. 質問に答えて価値観キーワードをリストアップする
  2. 価値観をマインドマップにまとめる
  3. 他人軸的な価値観を自分軸に転換する
  4. 価値観ランキングを作る
  5. 仕事の目標を決める

本書に記載された具体的な質問に答えていくだけで、自分の中にある「大事なこと」が可視化されていくのはなかなかに楽しい。

「得意なこと」さえ見つければ何でも仕事にできる

第五章は「得意なこと」の見つけ方である。「得意なこと」と「好きなこと」は、ごっちゃになってしまいがちだ。筆者は「得意なこと」をこう定義している。

得意なこと=成果を出すために使える無意識な思考、感情、行動パターン

意識もしていないのに誰とでも仲良くなれてしまう、文章を書くのに苦労しない、喋りが上手い、計算が早い……などなど。

「得意なこと」は無意識の癖のようなものである。やっている本人は、意図してその能力を発揮している意識が無い場合も多く、自分では意外に気付けていない場合も多い。

ここで、本書に書かれた問いに答えていくことで、「得意なこと」を見つけることが出来るはずである。

「好きなこと」をみつけて努力とサヨナラする

第六章でようやく「好きなこと」の見つけ方が登場する。好きなこととは、興味、好奇心を感じることである。「大事なこと」「得意なこと」に比べると、みつけだすのは難しくないかもしれない。

ただ、ここでポイントとなるのがこちら。

  • NG:成功したいからお金が稼げそうなことをする
  • OK:成功したいから好きなことをする
  • NG:役に立つから好きなことを仕事にする
  • OK:興味があるから好きなことを仕事にする

お金や、目先の「役に立つ」に引っ張られると軸がブレてしまい続かなくなる。この点は注意しておきたいところである。

「本当にやりたいこと」を決めて「本当の自分」を生き始める

第七章では、「大事なこと」「得意なこと」「好きなこと」を見出したうえで、 いかにして「本当にやりたいこと」を探していくかが示されている。

  • NG:何をしたらいいかわからないけど、とりあえず役に立ちそうなことを勉強しておこう

ここで筆者が重要であるとしているのは、「やりたいこと」の先延ばしをしないこと。まずは行動を開始すること。行動しながら修正していくことの大切さである。まずは動き始めること。それによって「やりたいこと」に近づける。

「人生を劇的に変える」自己理解の魔法

最終の第八章はまとめ編である。「やりたいこと」を決めれば、そのための実現手段は自然と見つかってくる。過去や、「やりたいこと」を探していく過程での失敗や後悔も、いずれは学びへと昇華していく。

自分らしく生きる。これこそが最高の価値であると筆者は説くのである。筆者は最後にこう書いている。

あなたのポテンシャルは「本当にやりたいこと」を決めて夢中になることで解放されます。

巻末には読者の「自己理解」を高めるための、「自己理解実戦ビジュアルフローチャート」が収録されている。特典の「30の質問」と併せることで、「大事なこと」「得意なこと」「好きなこと」がみつけやすくなるよう工夫されている。

気になる方は是非本書を手に取っていただき、「本当にやりたいこと」を見つけ出していただきたい(わたしも、現在トライ中!)

最近の筆者のインタビュー記事があったのでこちらもご紹介。

生き方についてのおススメ本!