ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

『ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』服部正也 46歳で超赤字国家の経済を再建した日本人がいた

50年売れ続けているロングセラー オリジナル版の『ルワンダ中央銀行総裁日記』は1972年刊行。同年の毎日出版文化賞の文学・芸術部門を受賞している。およそ、半世紀前。かなり昔に刊行された中公新書である。 2009年に新章が追加された「増補版」が登場し、20…

『日本語アカデミックライティング』で客観的で学術的な文章の書き方を学ぶ

放送大学の『日本語アカデミックライティング』が面白かったので紹介したい! 以前にも書いたが2021年の4月から通信制の教育機関である放送大学に、選科履修生として入学している。コロナ禍でどうしても自宅で過ごす時間が増えたので、少し真面目に勉強をし…

『幕末単身赴任 下級武士の食日記』青木直己 食レポ日記から幕末の江戸を知る

幕末の世相を「食」から読み解く 2005年の刊行。最初はNHK出版の生活人新書からの登場であった。 筆者の青木直己(あおきなおみ)は1954年生まれ。有名和菓子店虎屋の研究部門、虎屋文庫で和菓子に関する調査、研究に従事されていた方。虎屋クラスの企業にな…

『デジタル・ポピュリズム』福田直子 SNSが加速する衆愚制への道

SNS全盛時代の世論操作術 2018年刊行。筆者の福田直子はドイツ在住のジャーナリスト。 本書では、ネットが当たり前になった時代、特にSNS全盛時代のポピュリズムの危険性を指摘している。 ポピュリズムとは聞きなれない言葉かもしれないが、wikipediaから当…

『町田忍の昭和遺産100』町田忍 個人的な昭和遺産写真も公開!

町田忍、昭和研究50年の集大成 2021年刊行。筆者の町田忍(まちだしのぶ)は1950年生まれ。警察官から転身して、庶民文化研究所を設立。近現代の庶民文化研究家として知られる人物。昭和レトロ系などの「なつかし」系のガジェットについて多くの著作を上梓し…

『不安のしずめ方40のヒント』加藤諦三 人生や仕事の不安を解消する考えかた

『テレフォン人生相談』のパーソナリティが書いた不安のしずめ方 私事で恐縮だが、コロナ対応によるテレワーク生活がかれこれ一年半になろうとしている。当初は出社しなくてよい気軽さを喜んでいたものだが、これがいざ仕事をしてみるとさまざまな問題が出て…

『キリスト教と音楽』金澤正剛 ヨーロッパ音楽の源流をたずねて

キリスト教と音楽の関係を知る 2007年刊行。筆者の金澤正剛(かなざわ まさかた)は1934年生まれの音楽学者、音楽史研究家。国際基督教大学名誉教授の名誉教授。ルネサンス期の音楽史を主要な研究分野とされている方で、その筋では大御所、権威といっても良…

『インターネットというリアル』岡嶋裕史 「みんな違ってみんないい」に人は耐えられない

現実と融合したネット社会を読み解く 2021年刊行。筆者の岡嶋裕史(おかじま ゆうし)は1972年生まれの情報学研究者で、現在は中央大学国際情報学部の教授職にある人物である。 本書は講談社のオンライン誌「クーリエ・ジャポン」、光文社のウェブメディア「…

『消えたマンガ家 アッパー系の巻』大泉実成 「他の世界」へ行ってしまったマンガ家たち

消えたマンガ家のその後を追うシリーズ二作目 2000年刊行。元々は太田出版から96~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・2・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「鳥山明」篇を追加収録したもの。 同じ作者による…

『小屋 働く建築』中里和一・安藤邦博・宇江敏勝 LIXILギャラリーが無くなって悲しい!

生活に根差した小屋の記録 1999年刊行。本書は三名の共著となっている。中里和一(なかざとかつひと)は1956年生まれの写真家。安藤邦博(あんどうくにひろ)は1948年生まれの建設家。宇江敏勝は1937年生まれのエッセイスト、林業家。 内容はこんな感じ 都市…

『土葬の村』高橋繁行 滅びゆく弔いの習慣

筆者は死と弔いに豊富な知見を持つ 2021年刊行。筆者の高橋繁行(たかはししげゆき)は1954年生まれのルポライター。『ドキュメント現代お葬式事情』『葬祭の日本史』など、人間の死、葬式、葬祭儀礼に関連した著作を何冊か他にも上梓している。 この本で得…

『日本の偽書』藤原明 荒唐無稽なものに人は魅せられる

六冊の偽書をとりあげる 2004年刊行。筆者の藤原明(ふじわらあきら)は1958年生まれのノンフィクションライター。古今有名な六つの偽書を題材に、怪しげな文献が制作者の意図すらも越えていつのまにか一人歩きしていく謎について、新書のボリュームでコンパ…

『消えたマンガ家 ダウナー系の巻』大泉実成 マンガ界の深淵を覗き込む

マンガ界の闇の部分を垣間見ることの出来る一冊 2000年刊行。元々は太田出版から1996~97年に発売されていた『消えたマンガ家1・3』を文庫化にあたり加筆修正、更に『クイックジャパン』誌に掲載されていた「ねこぢる」篇を追加収録したもの。 内容はこんな…

『人は話し方が9割』永松 茂久 話し方の基本は「共感と寄り添い」

2020年年間ランキング1位のビジネス書 2019年刊行。筆者の永松 茂久(ながまつしげひさ)は1974年生まれ。サラリーマンからたこ焼き屋に転身。これが見事に成功し、数多くの飲食店を展開。その過程で、多数のビジネス書、自己啓発書を世に送り出している人物…

『文系AI人材になる』野口竜司 AIはやがて誰もが使えるツールになる

「文系AI人材」になるためには? 2020年刊行。筆者の野口竜司(のぐちりゅうじ)はZOZOTOWNの開発を担当している子会社ZOZOテクノロジーズにてVP of AI driven businessを務める。 本書の他に、『管理職はいらない AI時代のシン・キャリア』『A/Bテストの教…

『中世・ルネサンスの音楽』皆川達夫 国内最初期の古楽ガイドブック

皆川達夫先生がなくなられて一年 別ブログの方で軽く触れたが、わたしは高校時代から合唱を続けている人間だったりする。合唱の世界では、皆川先生と言えば業界の大重鎮のひとりであった。最初にお姿を拝見したのは、立教グリー男声の定期演奏会だったように…

『書評の仕事』印南敦史 読者のニーズに応え、的確な要約を書く技術とは?

書評ブログで何を書いていいかわからないあなたへ ブログで主として書評を書かれている皆さま(わたしのことである)。思ったような文章が書けているだろうか。そして狙ったような反応は得られているだろうか。何を書いていいのか分からない。書いても全く読…

『刀狩り―武器を封印した民衆』藤木久志 農民たちは刀を取り上げられていなかった?

「刀狩り」の概念を変えた一冊 筆者の藤木久志(ふじきひさし)は1933年生まれ。群馬工業高専の講師や、聖心女子大学での助教授職を経て、立教大学へ。立教では名誉教授にまでなり、その後は帝京大学でも教鞭を振るった。 残念ながら2019年に亡くなられてし…

『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』 マンションを買うなら中古派のあなたに

マンションを買うなら中古だと思っている方向け 新築マンション価格の高止まりが続いている。2020年の首都圏マンションの平均価格はなんと6,083万円!(首都圏マンション市場動向―2020年まとめー[PDF]より)。こうなるとなかなか一般人は手が出ない。 そこで…

『四谷怪談 祟りの正体』小池壮彦 事件の発生から変容の過程を読み解く

「知の冒険」シリーズの一冊 2002年刊行。筆者の小池壮彦(こいけたけひこ)は1963年生まれの作家、ルポライター、怪談史研究家。近著では2019年の『東京の幽霊事件 封印された裏歴史』、2016年の『東京 記憶の散歩地図』などがある。 本書は学研の新レーベ…

『京都人は変わらない』村田吉弘 京都人の流儀と作法、その根底にあるものとは?

料亭菊乃井の三代目が語る京都人論 2002年刊行。筆者の村田吉弘(むらたよしひろ)は1951年生まれの料理人。京都の料亭菊乃井の三代目主人。メディアには良く出ている人らしい。有名人……、なのだと思う(地上波あまり見ないのでよくわからないわたし)。 か…

『十字軍騎士団』橋口倫介 明暗が分かれたテンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団

十字軍から生まれた修道騎士団 1994年刊行。筆者の橋口倫介(はしぐちともすけ)は1921年生まれの歴史学者で、上智大学出身で、教授、学長まで務められた方である。2002年に他界されている。 本書のオリジナルは近藤出版社より1971年に刊行された『騎士団』…

『猫語の教科書』ポール・ギャリコ ネコが書いた、ネコのための本

猫のためのマニュアル本? オリジナルの米国版の原題は『The silent miaow』(原題からして既にかわいい)で、1964年の刊行。こちらの書影はペーパーバック版で1985年刊行。 Silent Miaow 作者:Gallico, Paul Three Rivers Press Amazon 日本語版は1995年に…

『太平天国 皇帝なき中国の挫折』菊池秀明 分権国家の可能性と他者への不寛容

太平天国を概観する 2020年刊行。筆者の菊池秀明は1961年生まれの東洋史学者。専門は中国の近代史。現在は国際基督教大学の教授職にある方である。 太平天国 皇帝なき中国の挫折 (岩波新書 新赤版 1862) [ 菊池 秀明 ] 楽天で購入 七冊の著作があるが、そ…

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ コロナ禍のローマで書かれたエッセイ集

コロナ時代の文学の先鞭となるか 2020年刊行。筆者のパオロ・ジョルダーノ( Paolo Giordano)は1982年生まれのイタリア人。 もともとは物理学者であったが、2008年に上梓された『素数たちの孤独』がベストセラーとなり、以後、作家として活動している。 素数…

『コロナ後の世界』 パンデミックで人類の未来はどう変わるのか?

世界の知性6人が語る「コロナ後」 2020年刊行。筆者の大野和基(おおのかずもと)は1955年生まれのジャーナリスト。本書『コロナ後の世界』は、大野和基がコロナ禍を受けて、ジャレド・ダイアモンド、ポール・グルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグ…

『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』 昭和30年代をカラー写真で楽しめる

昭和30年代の光景をカラーで見ることが出来る 今回紹介するのは、昭和30年代の日本の光景を切り取った貴重なカラー写真集。この時代の写真といえば、ほぼモノクロ写真であっただけに、カラー写真の表現力、再現力の凄さを感じさせてくれる一冊だ。 このシリ…

『書くのがしんどい』竹村俊助 SNS時代の「伝わる文章」の書きかたを学ぶ

ネットで情報発信を始めたい方へ 2020年刊行。筆者の竹村俊助(たけむらしゅんすけ)は1980年生まれの編集者。中経出版、星海社、ダイヤモンド社へ経て独立。SNS時代の「伝わる文章」の探求をモットーとしている方。 編集者として関わった書籍として、『たっ…

『老後レス社会』 「一億総活躍社会」をどう生き延びるか

「一億総活躍社会」の過酷な現実と悲惨な未来 2021年刊行。朝日新聞社特別取材班編。2019年から、2020年にかけて日本の少子化高齢化と人口減少をめぐる諸問題を特集した朝日新聞上の企画「エイジングニッポン」の一環として刊行されたもの。 内容はこんな感…

『「世間」とは何か』阿部謹也 日本人は「世間」の中で生きている

晩年の阿部謹也が追い求めた「世間」論 1995年刊行。筆者の阿部謹也(あべきんや)は1935年生まれの歴史学者。2006年に物故されている。阿部謹也は一橋大学の出身で、学長まで務めた人物。 専攻はドイツ中世史で一般人向けの著作が多数ある。中でも『ハーメ…