ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』伊東穣一 生成系AIをツールとして役立てる

本ページはプロモーションが含まれています

生成系AIで何が出来るのか教えてくれる

2023年刊行。筆者の伊東穣一(いとうじょういち)は1966年生まれのベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者。マサチューセッツ工科大学教授、MITメディアラボ所長、ハーバード・ロースクール客員教授などを経て、現在は千葉工業大学の学長。と、非常に華々しい経歴の人物。

AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方

その他の著作としては2018年の『教養としてのテクノロジー』(書影は2023年の講談社文庫版)

2022年の『テクノロジーが 予測する未来』がある。

内容はこんな感じ

オープンAIによるChatGPTの登場。MicrosoftによるBingの実装。画像生成AIであるStable Diffusion、Midjourneyの普及。2022年~2023年にかけて爆発的な進化を遂げたジェネレーティブ(生成)AI。これらには何が出来て、どんな役に立つのか。どんなリスクがあるのか。そして人間の生き方をいかにして変えていくのか。その可能性を追求した一冊。

目次

本書の構成は以下の通り。

  • はじめに
  • 序章 AI DRIVENで生まれている、世界のメガトレンド
  • 第1章 仕事―僕たちの役割は「DJ的」になる
  • 第2章 学び方―必要な学びをそれぞれが選択するようになる
  • 第3章 イノベーション―創造は「ゼロからイチ」ではなくなる
  • 第4章 リーダーシップ―「人間を見る力」が問われる時代になる
  • 第5章 新時代をサバイブするためのAIリテラシー
  • おわりに

生成系AIをツールとして役立てる

2023年は生成系AIが爆発的に普及した年として、後世記憶されることになるだろう。仕事や趣味の世界で生成系AIを役立てている方は、現在どれくらいおられるだろうか?

わたしの場合、仕事ではちょっとした説明文や、あいさつ文の生成、企画の骨子のまとめを作るのにChatGPTやBingを使っている。また趣味の合唱の世界では、演奏会のパンフレットの楽曲解説を書く際にたたき台を作ったりもした。生成系AIは平気で嘘をつくので、校正は必須になるのだが、それでも自分でゼロから作るよりは遥かに時短になる。

本書では生成系AIは「人間を単純作業から解放する」として、営業や事務、研究からデザイン、プログラミングの世界に至るまで、その有用性を説いていく。生成系AIは人間に代わって調べ物をしてくれる。使い方にちょっとしたコツは必要になるのだが、うまく使えば人間の生産性を格段に上げてくれる。

使い方次第ではとても有用な生成系AIだが、過信は禁物である。ちょっと使ってみればわかるのだが、生成系AIはとにかく嘘をつく。必ず誤りはあるものとして使うのが前提になるだろう。そのため使うとしたら自分の得意なジャンル、よく理解している分野でないと怖くて使えないだろう。

AIを使いこなす力が問われてくる

テキスト生成系のAIはそれなりに使っているわたしだが、画像生成系のAIは、正直まだあまりうまく使えていない。Stable DiffusionやMidjourneyなどの画像生成系AIは、基本的に英語で指示を出さなければならず、的確な指示(プロンプト)を入れないと頓珍漢な画像を返してくる(それはそれで楽しいのだが)。画像系の生成AIは、画像が出力されるまでに時間がかかるので、ハズレ画像を何度も引いていると、使う側の気力も萎えてくる。

本書ではこの点、既に使いこなしている人間の成功事例をどんどん使っていくべきだと説き、いくつか具体的な活用例が登場する。また、投資も必要だとして、有用なものであるならば金銭的対価支払ってでも試してみるべきだとしている。よくわかっていない人間が独学で試行錯誤するより、識者の知恵をとっとと借りるべきなのは全く同感。この点では第五章の「新時代をサバイブするためのAIリテラシー」が良いヒントになるのではないかと思う。

生成系AIについてザックリと知りたい方向け

本書『AI DRIVEN』は生成系AIの概要、どう使えばいいのか、いかに社会を変えていくのかが網羅的に紹介されている。全体像をザックリつかむには十分の一冊だと思う。ただ、もう少し知りたい、深掘りして欲しいと思った点が多々出てくるのは仕方のないところで、このあたりは自分で調べていくしかないだろう。いくらでも書籍は出ているし、ネットをググればいろいろ出て来るしね。

あくまでも、生成AIの世界への「入口」として捉えると本書は良いガイドブックになっていると思う。

AIに関する本をもっと読む