ビズショカ(ビジネスの書架)

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先が見えない時代のキャリア形成について考える、目標主体から目的主体の人生へ

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変動し、不確実で、複雑、そして曖昧な未来をどう生きるか

VUCAというビジネス用語がある。Wikipedia先生から引用させていただくとこんな意味だ。

VUCA(ブカ、ブーカ)はビジネス用語。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたアクロニム。1990年代後半にアメリカ合衆国で軍事用語として発生したが、2010年代になってビジネスの業界でも使われるようになった。

VUCA - Wikipediaより

変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字がVUCAというわけである。人生百年時代、ジョブ型雇用の登場、定年の延長、そして現在の真っただ中のコロナ禍と、昨今の社会状況は少し先の予測さえつかない。

まだまだビジネスパーソンとして働かなければならないのに、持っているスキルは陳腐化していくし、会社側の要求は厳しくなるばかり……。先行きに不安を抱きながらも、これからどうすればいいのかがわからない。

そんな、何かを変えたいけれど、どうすればいいのかわからない方向けにご紹介したいのが、『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』だ。

「目標が持てない時代」のキャリアデザイン 限界を突破する4つのステップ

本書は片岡裕司(かたおかゆうじ)、阿由葉隆(あゆはたかし)、北村祐三(きたむらゆうぞう)三名の共著となっている。いずれもコンサルティング企業のジェイフィール所属。人材育成コンサルタントとして活躍している人物たちである。

この本で得られること

  • 何かを変えたいあなたが、これからどうすればいいかがわかる
  • あなたのやりたいことの「種」が明確化される

内容はこんな感じ

未来への漠然とした不安。焦燥感。自分のキャリアはこのままでいいのか?。何を頑張ればいいのかわからない。現代は目標喪失の時代である。これからのビジネスパーソンは新たな目標を自分で生み出す力が求められる。そのために最も重要となるのは「キャリアの目的(パーパス)を育むこと。大切なのは目標ではなく目的である。変化の時代を味方につけるための指南書となる一冊。

目次

本書の構成は以下の通り

  • [理論編]
    序章 目標喪失時代のリアル
    第1章 限界突破に向けた4つのステップ
  • [トレーニング編]
    第2章 キャリアの目的(パーパス)を育てる
    第3章 体質改善に取り組む
    第4章 目標をたくさんつくる
    第5章 キャリアを楽しく実験する
  • [企業内実践編]
    第6章 人事の果たす新たな役割
  • [展望編]
    終章 限界を突破し、想像以上の自分になれる時代へ

冒頭の序章、第1章では[理論編]として、本書のエッセンスともいうべき『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』の骨子が示される。第2章~第5章までは[トレーニング編]として、具体的なワークを通じて自分の中の「やりたいこと」を明確にしていく。第6章は実起業(NTTコミュニケーションズ)での実践例。そして最終章は全体のまとめとなっている。

キャリアの目的(パーパス)を育む

これからの時代は目標よりも目的(パーパス)が大切になってくる。そのために、キャリアの目的を育むべし。これが本書の趣旨である。

序章では、キャリアを襲う4つの不安として以下が示されている。

  1. 孤独化不安
  2. スキル陳腐化不安
  3. 不安定化不安
  4. 目標喪失不安

ある程度社会人としてキャリアを積んでこられた方であれば、いずれも心当たりがあるだろう。本書は上記の不安の中でも、特に「目標喪失不安」に対しての対策本となっている。

限界突破のための4つのステップ

目標は人間に大きな力を与えてくれるが、失われたときに深い喪失感に陥るリスクがある。しかし目標喪失は不可避と開き直り、それを前提として目標の連続達成を可能にしていくことを本書では説いている。

それでは具体的にどうすればいいのか?目標喪失の不安を抱えるわたしたちに対して、本書では以下の4つのステップを踏むことで、限界を超えることが出来ると示している。

  • ステップ1 キャリアの目的(パーパス)を育てる
  • ステップ2 体質改善に取り組む
  • ステップ3 目標をたくさんつくる
  • ステップ4 キャリアを楽しく実験する

目標と目的の違い

目標と目的はどう違うのだろうか。本書では紺野登の『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか』より引用して、以下の違いを述べている。

  • 目標:客観的で固定的、達成度が問われ、失敗はマイナスの評価対象となる
  • 目的:主観的で柔軟、影響の大きさが問われ、試行錯誤されていくもの

目標は他人軸であり硬直的。対して、目標はあくまでも自分に軸があり、柔軟にいかようにも変化していけるもの。といった感じだろうか。

本書は目標に振り回されるのを止めて、目的志向で生きることを説く。「キャリア」に落とし込んで考えてみると、特定の「職業」や「地位」となることをゴールとするのではなく、「どんな自分でありたいか」を常に考えて動いていく。

キャリアの目的(パーパス)を育てよう!

本書の[理論編]では、目標主体の人生から、目的(パーパス)主体の生き方へと考え方を切り替えるべきだと説かれている。

続く[トレーニング編]では、目的(パーパス)をいかにして見出して、成長させていくのか。具体的なトレーニング方法と共に解説していく。いくつかの質問に答えていくことで自分の中にあるやりたいことの「種」くらいは見出せるようになるはずだ。大事なのはまずは「種」を見出すところから。あとは、失敗をしてもいいので、試行錯誤をして「種」を育てていこうという趣旨。もちろんブレてもいいし、目的が変わってもいい。その変化のプロセスすらも楽しむ。それが目的(パーパス)主体のライフスタイルなのだ。

ネットワーカー体質と成長体質

さて自分の中のやりたいことの「種」を見出した。その先はどうすればいいのか?本書ではステップ2として「体質改善に取り組む」ことを挙げている。具体的には以下の二点。

  • ネットワーカー体質

何事も、自分の力だけで対処するのは限界がある。「種」を育てていくには、いかに上手に他人の力を借りるかが課題となってくる。そのため、本書では出来る限り人に会って、出会いの数を増やすことが説かれる。

  • 成長体質

そしてもう一つは、日々新しいことを学び続けること。一つのスキル、職能だけで一生食べていける時代は終わっている。であれば、新たな知見を得るために努力をし続けなければならないというわけだ。

なお、自分に当てはめて考えると、「成長体質」については昨年から放送大学での勉強を始めたこともあって、それなりに良いスタートが切れたのではないかと考えている。

ただ、ネットワーカー気質に関しては全くダメで、これは生来の交際下手が影響している。これは、やはりなんとかしていかないと拙いのかもしれない(反省)。

ということで、少しでも新しい動きを。と、漠然と考えていたころに、以前から読ませていただいていたあむまさん運営のブログ「不思議の国のアラモード」で応援スポンサーさんの募集をしていたので、便乗させていただきました。ご紹介ありがとうございます!あむまさんのフットワークの軽さを見習いたいところ。

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