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『知らないと後悔する定年後の働き方』木村勝 シニアからのキャリアは「事前にどれだけ準備したか」で決まる

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「稼いで生き残る」ためのキャリアデザイン術

2019年刊行。筆者の木村勝(きむらまさる)は1961年生まれ。新卒後、日産自動車に入り、関係各社へ出向。主として人事畑でキャリアを積まれ、その後独立起業し、現在はシニアキャリアのアドバイザーとして活躍されている人物。

知らないと後悔する定年後の働き方 (フォレスト2545新書)

少子高齢化社会の到来により、定年の延長化や、定年後の再雇用と、同じ会社で長く働ける環境は整備されつつある。しかし55歳で役職定年となる企業は多い。その後、会社から与えられる業務は、若手がやりたがらない、人手が確保しにくい単純作業的なノンコア業務ばかり……。ただ、こき使われるだけのシニア社員として甘んじるのか。そんな思いに駆られている方には刺さりそうな一冊。

前著である『働けるうちは働きたい人のためのキャリアの教科書』は、以前に感想を書いているので、良かったらこちらもどうぞ。『知らないと後悔する定年後の働き方』とはかなり内容的に被る部分も多い。

内容はこんな感じ

人生100年時代とはいうけれど。「何をやって稼げばいいのか」わからない。普通のサラリーマンだから「これといったスキルもない」。高齢者になったら「低賃金労働しかないのではないか」。そんな不安に対して「サラリーマン時代のキャリアをお金に変える」ためのノウハウを紹介。働けるうちは働くために。定年後のキャリアのマネタイズ方法を大公開。

目次

本書の構成は以下の通り

  • はじめに
  • 第1章 国も企業もあなたの面倒を最後まで見てくれません!
  • 第2章 定年後の生活レベルは60歳までのすごし方ですべてが決まる
  • 第3章 「働けるうちは働く」ためのセルフ意識改革
  • 第4章 「働けるうちは働く人」になるためのキャリアデザイン術
  • 第5章 あなたのキャリア&スキルをお金に変えるための具体的な方法
  • おわりに

55歳から準備を始めて60歳で実行に移す

本書でもっとも心に刺さったフレーズはこちら。

定年後のキャリアは「優秀か、優秀でないか」ではなく、「事前にどれだけ準備をしたか」で決まります。

『知らないと後悔する定年後の働き方』p8より

50代も半ばに入ると会社員人生の終わりが見えてくる。役職定年を迎えて、周囲から「必要とされない」ことに虚しさを覚えている方も多いのではなかろうか。そんな、わたしたち50代のビジネスパーソンに対して、本書では「必要とされていない感を抱えたまま無為に過ごすな」と説く。

本書では、先行きに不安を感じた今こそが好機として、以下のステップで将来に備えていこうと主張する。

  • 人生の節目(不遇時こそチャンス)を逃すことなくチャンスととらえる
  • その節目で立ち止まってキャリアの棚卸しを行うとともに、将来の方向性を見定める
  • その方向性に従って着実にやるべきことを愚直に実行する

考え方の基本は「自分の得意技を(専門性)を未知の分野で活かす」ことにある。そのために、肩書、資格よりも実務経験が重要。会社にいるうちに実務経験を積んでおくことをお薦めしている。

とかくやりがちな、現業とは関係ない資格取得は避けるべしとも書かれている。資格を取るなら、これまでの業務の延長線上にある、関連性の高いジャンルを選ぶべきなのだ。

シニア社員ならではの「一気通貫実務スキル」と「6ゲン主義」

本書で、シニア社員の強みとして挙げているのが「一気通貫実務スキル」だ。昨今、多くの業務が外注化され、ひとつの作業を一人で最初から最後まで経験することが少なくなっている。だからこそ、全体の流れを経験しているシニア社員には優位性が生まれる。実務経験を磨き上げていく過程では、この「一気通貫実務スキル」を意識して動いていくことは重要となりそうだ。

また、シニア社員の仕事に向き合うスタンスとして、筆者は「6ゲン主義」を掲げる。「6ゲン主義」とはこうだ。

  • 現場
  • 現物
  • 現実

まずは三つの「現」。こちらは机上で考えるのでなく、あくまでも現場に出向いて現物に触れて、現実を認識すること。

  • 原理
  • 原則
  • 原点

続いて三つの「原」。こちらは根拠は何なのか、どうしてこの処理が必要なのか、なぜこのようなやり方になっているのかといった、作業の根っこの部分に立ち返ることなのだ。

以上、『知らないと後悔する定年後の働き方』のポイントを雑にまとめてみた。本書の後半では「働けるうちは働く」ための具体的なハウトゥが提示されているので、気になる方は要チェックである。購入者特典でもらえる4つのワークシートはけっこう役に立ちそうなので、これから使ってみるつもり。

50代以降の働き方を考えてみたい方へ