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『読書する人だけがたどりつける場所』齋藤孝 わかりやすい言葉で読書の意義を教えてくれる一冊

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ネット全盛の時代に「本を読む」理由とは?

2019年刊行作品。筆者の齋藤孝は1960年生まれ。明治大学文学部の教授で、教育学者。非常に多くの著作があるが、代表作は 『声に出して読みたい日本語』あたりかな。

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)

って、書いてて既視感あるなと思ったら、以前に紹介した『50歳からの孤独入門』を書いた人だった。どうりで、テイストが似ていると思った。

内容はこんな感じ

日本人の読書離れが叫ばれて久しい。しかし日本人は文字を読まなくなっているわけではない。インターネット、スマートフォンの普及により、むしろ日本人の「読む」時間は増えている可能性すらある。しかし、ネットの文字を追うだけでは決して得られない「学び」が読書にはあるのではないか?読書術の大家が教える、本を読む人だけがたどりつける場所はどこなのか?

目次

本書の構成は以下の通り。

  • 序章 なぜ、いま本を読むのか
  • 第1章 読書をする人だけがたどり着ける「深さ」とは
  • 第2章 深くなる読書浅くなる読書何をどう読むか
  • 第3章 思考力を深める本の読み方
  • 第4章 知識を深める本の読み方
  • 第5章 人格を深める本の読み方
  • 第6章 人生を深める本の読み方
  • 第7章 難しい本の読み方

こんな人におすすめ

本書は、日頃本を読まない方、読書に興味があるが、なかなか手を出せない人におススメである。また、最近、有用なインプットが足りていない、知識が体系化出来ていないなと悩んでいる人間にもおススメである。

わかりやすい言葉で読書の意義を教えてくれている。読書の重要性について、自分の中で整理し、その有用性をしっかり認識することができるようになる一冊である。

教養書を読もう

一口に読書と言ってもその幅は広い。自己啓発書や文学作品、エンターテイメント系小説からライトノベルまで、これらはすべて同じ「本」ではあるが、その内容、意義、読み手の求めるものは全く異なる。

本書で筆者が「読書」としているものは、古典文学や哲学、思想書など、いわゆる教養書と呼ばれる類の書籍である。教養書を読むことで、知識、人格、思考力を深めていくことができる。教養が人生を豊かにしてくれると、本書で筆者は繰り返し述べている。

ネットがあるから読書しなくてもいい?

確かにネットでは幅広い知見に接することが出来る。しかしネット経由で摂取する知識は、点であったり、断片的なものであったりすることが多い。どうしてそうなったのか。類例と比べてどう違うのか。全体的な位置づけはどうなのか。点でしかない知識からは深みが生まれない。なかなか自身の生きた血肉にはなりにくいのである。

これに対して、読書は点にすぎなかった知識の断片を、つなぎ合わせて面や立体に拡張してくれる。知識や思想、ノウハウ等を体系的に認識することできるようにしてくれるのである。

残ってきたものには普遍的な良さがある。

絵画や、クラシック音楽などを鑑賞される方ならお分かりいただけるかもしれないが、
、古今の名画、名曲に触れた際に、明らかに他と異なる、明確な「凄み」を感じたことはないだろうか。

文学の世界でもそれは、確実に存在している。長い歳月を超えて現代まで残ってきた古典文学、名著から、受け取ることができる知見は計り知れないものがある。

名著を読むのに遅すぎることはない

古典とされる作品は、若いうちに読んだ方がいいとよく言われるが、いざ、挑戦してみたもののあまりに難解で挫折してしまったものも多いのではないだろうか?

ただ、こうした挫折した作品でも、少し年月を開けて再読してみると意外にすらすら読めてしまうこともある。いつの間にか、自分もそれだけ成長していたわけである。古典に触れるのに、遅すぎることはないと思われるので、これからも臆せず挑戦していきたいところである(って、それがなかなか難しいのだが)。

以前に書いた齋藤孝の『50歳からの孤独入門』の感想はこちらから