ネットで情報発信を始めたい方へ
2020年刊行。筆者の竹村俊助(たけむらしゅんすけ)は1980年生まれの編集者。中経出版、星海社、ダイヤモンド社へ経て独立。SNS時代の「伝わる文章」の探求をモットーとしている方。
編集者として関わった書籍として、『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』『メモの魔力』がある。担当作品の累計部数が100万部を超えているヒットメーカーでもある。
内容はこんな感じ
自分も文章を書いてみたい。でも何を書けばいいのか分からない。文章を書いてみたけど、言いたいことがさっぱり伝わらない。まったく読んでもらえない。面白くない。そして書くことが続かない。「書くのがしんどい」のは何故なのか。誰もが簡単に発信が出来るようになった時代。「書くの楽しい!」に行きつく文章術を説く。
SNS全盛、ネットで誰でも発信が出来る時代の「書く技術」
この十数年でインターネットは完全に定着し、誰もがスマートフォン端末を持ち、気軽に自分の意見を後悔することが出来るようになった。TwitterなどのSNSや、ブログ、noteなど、手軽に使えるツールも増えた。
既に情報発信を始めている方も多いだろうが、自分の思い描いたような発信が出来ているだろうか。そして、思っていたような反響は得られているだろうか。
自分では面白いことを書いているつもりなのに、まったく反応が無い。Twitterのフォロワー数が増えない。ブログのアクセスが増えない。結果が出なければ書くことは次第に苦痛になっていく。
そんな悩みに答えた文章術指南本が『書くのがしんどい』である。竹村俊助は編集者として累計100万部を超える作品を世に送り出したヒットメーカーであり、Twitterでも文章術を発信し44,000人ものフォローを抱えている。
本書『書くのがしんどい』では、書き手に取っての5つの悩みに答えてくれている。
- 書くことがなくてしんどい
- 伝わらなくてしんどい
- 読まれなくてしんどい
- つまらなくてしんどい
- 続かなくてしんどい
以下、順を追って、筆者が提案している解決策についてご紹介していきたい。
書くのがしんどい
文章を継続して書こうとしたときに最初に突き当たる壁が、ネタ切れの壁である。豊富な人生経験を持っていたり、面白おかしい記事を苦も無く量産できる人間はそうそういない。最初のうちはスラスラ書けた文章も、いつしかネタが尽きてくれば筆が止まる。
ここで筆者は「取材」の大切さを説く。自分の中だけに頼っていては、早々にネタはなくなる。であれば、自分の外にネタを求めていくべきなのだ。
「書くことがみつかる」ための3つのポイント
- 自分の中からひねり出さない。人から聞いたこと、自分が見たことなど「取材」をして、書きたいことを見つける。
- 一から書くのではなく、「音声入力」なども利用して考えの核を固めてから、細部をなおしていく
- 「読まれないといけない」「読まれなかったらどうしよう」という自意識を捨てる。とにかく書く!たくさんスベろう!
伝わらなくてしんどい
仮に書くことが見つかったとしよう。しかし自分の思ったこと、感じたことがそのまま読み手に伝わることは稀である。書き手の思いを正しく伝えるには相応のテクニックが必要である。
当たり前だが、自分自身が主張したいことを正確に理解していることが大切だ。自分が理解できていないことを、他人に理解させることは不可能である。
そして書く文章は出来る限り無駄を削ぎ落すことが肝要である。冗長な表現は避け、できるだけシンプルに書く。そして一文は出来るだけ短くしたい。この点、一文が長くなりがちなわたしとしては、非常に耳が痛くなった。
「文章がわかりやすくなる」ための4つのポイント
- その文章、あなたはちゃんと理解しているか?自分が分からない文章を書いてはいけない
- 一文はとにかく短く。「この言葉、本当に必要?」と自分に問いながら、ていねいに文章を削っていく
- 一文で多くのメッセージを伝えようとしない。いちばん伝えたいことは、先頭に持ってくる
- 書き手である自分のことより、「読み手」がどう思うかを想像しながら書く独りよがりの文章は誰も読まない。読者にやさしい文章を!
読まれなくてしんどい
次なる苦悩は「読まれない」苦悩である。Twitterや、ブログを始めたばかりの頃、渾身のネタなのに反応がゼロ。完全スルーかよ!そんな哀しみを体験した方は多いのではないだろうか。
文章とは基本的に「読まれない」ものである。書き手が一般人であればなおさらだ。そして、書き手が書きたいことと、読み手が読みたいことは得てして一致しない。
筆者は読む側の立場になって「自分ごと」になるテーマ。つまり、読む側にメリットをもたらせるようなテーマを書くべきだと主張する。具体的には、カネ、食べ物、恋愛(結婚、家族)、健康、教育、教養などの分野である。これらの普遍的なテーマに、自分の得意分野、熱量を持って書けるジャンルをかけ合わせていくことで、読まれる記事が書けるようになる。
「多くの人に読まれる」ための4つのポイント
- 自分が書きたいものと、読者が読みたいものが重なるテーマを選ぶ。「自分ごと」にしてもらえるテーマだとベスト。
- 自分自身あるいは「たった一人の読者」に向けて届くように書く
- イジワルな編集者になって、自分が書いた文章が「本当に面白いか」客観的に見直す
- 「成分」と「効能」を意識したタイトルやパッケージ、読者が喜ぶようなコンテンツに仕上げる。
つまらなくてしんどい
見出しを見るだけで読みたくなる。読み手が一気に読んでしまう。読み終わった後に「面白い!」と感じてシェアしたくなる。読み手の気持ちを動かせる文章を誰もが書きたいと思っている。しかし、現実は厳しい。素人の書いた文章は、基本的には面白くないのだ。これに対してどう対策すべきか。
同じ内容のテキストでも、見出し、改行、太字の工夫で驚くほど視認性は向上する。結論は最初に示すこと。文章の「さび」を意識すること。抽象的な内容を、「たとえ」を使って具体化し、わかりやすくすこと、などなど、この章ではテクニカルなアドバイスが多数披露されている。
「読み手の気持ちを動かせる」4つのポイント
- 「サビ(読ませどころ)」「共感ポイント」を意識して文章を構成する
- 「たとえ」で引き込ませ、「」や太字を効果的に使用する
- 「共感→発見→感動」のパターンに当てはめる。目指すはディズニーランド
- 中身を知らない読者の興味を惹くタイトルをつける
続かなくてしんどい
ここまで読んできて、筆者の教えを実践していけば、少しはマシな文章が書けるようになるかもしれない。しかし問題はこの先である。何事も始めるのは簡単だが、続けることは難しい。文章は一朝一夕には上手くならないし、すぐに好反応が増えていくわけでもない。
そこで筆者が強く勧めているのが、Twitterによる発信である。Twitterには上限140文字の制限がある。制約のある中で発信を繰り返し続けることで、文章力は磨かれる。Twitterの反応はダイレクトであり、リアクションの有無を瞬時に把握することが出来る。Twitterはブログや、noteなどの長文メディアを始める前のトレーニングにもなる。ネットで文章を書きたいのであれば、やっておいて損はないメディアである。
「書くことが習慣化する」ための4つのポイント
- 長文にチャレンジする前に、Twitterで「書く訓練」をする。
- 「編集長」になったつもりで、発信する内容・コンセプトを決める。
- たくさんスベる。スベればスベるほど、自分に求められているテーマや文章の特徴を把握することができる
- 信頼性・コンテンツ・愛嬌を網羅したプロフィールをつくろう。
個人の経験を書かせてもらうと、読書をされる方であれば、Twitterは本当におススメである。自分の好きな本の話を継続的に発信しているだけで、信じられない数の方にフォロワーしていただける(読書界隈の人は皆やさしいので)。
ちなみにわたしのTwitterアカウントはこちら。複数のアカウントを運用中。良かったら覗きに来てみてください。
まずは小説感想のアカウント。
続いて、小説以外の書籍(実用書、新書等)感想、勉強系のアカウント。
書けば人生は変わる
SNS時代には「書ける人」が有利になる。ネット全盛の時代は、「初対面がテキスト」となる時代である。喋りが苦手な人間には良い傾向だ。話す能力は、社交性にも繋がる部分があり、なかなか改善は難しく研鑽を重ねるのも難しい。一方で書く能力は後天的に伸ばすことが出来る。そして、Twitterやブログなどで日々、実践を積み重ねていくことが可能なのだ。
ネットがあたりまえになった時代では、自分の「存在を示す」ことが大切になってくる。一定数のフォロワーがついているTwitter。一定数の読者がついているブログ。これらは、何者でもない一般人にとって大きな資産となってくる。
まずは「書いて」みよう。筆者はそう説く。「書く」ことは確かにしんどい。しかし、書き続けた先にしか見られない光景があるのも事実である。
「書くのが楽しくなる」3つのポイント
- 「書くこと」は話すより労力がかからない。しかも多くの人に伝えることができる。どんどん、書いてコミュニケーションをとろう。
- あなたが書いたテキストが「初対面」になる時代。自分がコンサルタントになったつもりで、専門分野や本業で扱っているテーマについて発信してみる。
- 「誰も見ないんじゃないか」「情報を提供するなんてもったいない」なんて思わず、世の中を0.01ミリでもよくする気持ちを持とう。