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『子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育』2020年度・小学校でプログラミング教育が必修化

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プログラミング教育がどうして必要なのかがわかる

2018年刊行。筆者の石嶋洋平は1981年生まれ。Web系のプロデュース、コンサル、マーケティング業での多くの実績を残し、現在は子ども向けのプログラミング学習塾の経営を手掛けている。

監修者として入っている、安藤昇は佐野日大のICT教育推進室室長で、学校現場でのプログラミング教育推進ではオーソリティとでも言うべき人物である。

内容はこんな感じ

IT社会の発展、コンピュータの普及に伴い、2020年、日本全国の小学校でプログラミング教育が必修化される。なぜ、小学生がプログラミング教育を受けなくてはならないのか?保護者として知っておくべきことは何なのか?その必要性を解説。併せて、学習塾としてのプログラミング教室の有用性を提示する。

2020年から小学校でプログラミング教育がスタート!

って、知ってた?

恥ずかしながら子なし家庭の我が家ではまったくスルー状態であった。お子さんがいらっしゃる家庭では、さすがに知ってるのかな。諸般の事情で、学校現場でのプログラミング教育について調べてみたので、本書の感想がてらご紹介していこう。

小学校でプログラミング教育が導入される理由は?

まずは文科省の資料から引用。

知識及び技能
・身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題 の解決には必要な手順があることに気付くこと。

思考力、判断力、表現力等
・発達の段階に即して、「プログラミング的思考」 を育成すること。

学びに向かう力、人間性等
・発達の段階に即して、コンピュータの働きを、 よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。

小学校プログラミング教育の手引(第二版)[PDF]より

 これだけだとなんだかよくわからないが、『子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育』から読み解くと大事なのは以下の二つ。

IT人材の育成

ただでさえ、IT人材は不足しがちな昨今。今後は少子化、人口減少社会に入るため、更なる人手不足が予測できる。ということで、子どものうちからプログラミング的な思考を身に付けておいてもらって、将来のIT人材を増やしていこう!というのが一つ目。

国の政策としてこれはわかりやすいと言えばわかりやすい。

プログラミング的思考の育成

実は、2020年からのプログラミング教育必修化では、小学校ではプログラミングそのものを学ぶわけではない。「プログラミング的思考」の育成を行う。

「プログラミング的思考」とは何か?という点については、本書では以下のように定義している。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、ひとつひとつの動きに対して対応した記号を、どのように組み合わせたらよいのか。記号の組み合わせをどのように改善していけばより意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていくもの。

『子どもの才能を引き出す最高の学び プログラミング教育』第一章より

簡単に言えば、論理的な思考法を身に付けさせるということなのだ。

本書では、プログラミングで身につく7つの才能として以下を挙げている。

  • 目標設計/設計力(目的意識)
  • 論理的思考力
  • 数学的思考力
  • 問題解決能力(問題発見力)
  • クリエイティブ力
  • 実行力(主体性)
  • 文章読解力

プログラミング学習塾の経営者が言っていることなので、さすがに盛りすぎなのでは?という気がしないでもないけど、それだけのものが身につくのであれば、結構なことではある。

小学校だけでなく、中学、高校での学びも強化される

ちなみに、中学や高校では既にプログラミング教育が実は導入されているのだが、カリキュラム的に、未だ実践的なものにはなっていない。

これが、今後どう変わるのか、小学校分を含めて、その特徴をまとめてみた。以下のとおりである。

小学校でのプログラミング教育(2020年から)

  • 「プログラミング」という教科が新たに出来るわけではない
  • 算数や理科など、既に存在する教科の中でプログラミング的な思考を学ぶ。
  • プログラミングを学ぶのではなく、プログラミング的な思考を学ぶ。
  • 学習する学年、教科、単元数は各自治体、各校に任される。

小学校プログラミング教育の手引(第二版)[PDF]より

中学校でのプログラミング教育(2021年から)

  • 技術・家庭の「技術」の時間内で学ぶ。
  • 2012年からプログラミング教育は始まっており、2021年から更に拡充される。
  • 双方向性を持つコンテンツのプログラミング。動作の確認や検証、評価、改善、修正までを学ぶ。

※文部科学省中学校学習指導要領(平成29年告示)[PDF]より

高等学校でのプログラミング教育(2022年から) 

  • 現行の「情報科」科目は「社会と情報」と「情報の科学」のどちらかを選択する選択必修科目。プログラミング学習は後者の「情報の科学」に含まれているが履修率は2割程度と少ない。
  • プログラミングの内容を含む科目「情報Ⅰ」が2022年に新設され必修化。
  • 基礎的なプログラミングの知識、論理的な思考力、知識と情報を活用する力を養う。

高等学校学習指導要領比較対照表【情報】より

こうして並べてみると、小学校でのプログラミング教育が、かなりざっくりとしていて、自治体や学校任せであることがよくわかる。どの学年で学ぶのかも、どの教科内で教えるのかも、単元数も決まっていないってフリーダム過ぎる。

学校現場のIT環境や、詳しい先生が居るかどうかにもかなり左右されそうである。未だに教室まで無線LANが入ってない学校って結構あるみたいだしね。

プログラミングを学ぶきっかけができるのはいいこと

お子さんを持っている同僚や、小学三年生の息子がいる妹なんかに聞いてみると、正直プログラミング教育には全くピンと来てないみたい。どうせやらせるなら、既に必修化されている英語だよねって感じ。大学入試で必修科目になる!くらいの大改変が無いと、親に危機感は生まれないかも。

とはいえ、プログラミングの素養がある子が、早いうちからその可能性を広げていけるのは、間違いなく良いことだろう。当面は試行錯誤が続きそうだけど……。