人気コピーライターが説く、自分マーケティングの勧め
2018年刊行。筆者の川上徹也(かわかみてつや)は広告代理店(アサツーディ・ケイ)出身のコピーライター、作家。現在は独立し、自身が立ち上げた湘南ストーリーブランディング研究所の代表を務めている。
コストを出来るだけかかけないで、ストーリーで差別化を図るストーリーブランディングを提唱し、関連著作多数。
川上徹也の公式サイトはこちらから。
内容はこんな感じ
その他大勢の中から、凡人である自分が抜け出すには何をすればいいのか?自分の商品価値を知り、いかに「一点突破」を図るべきか。そのために必要な九つの戦術と、三種の神器を伝授。会社員、フリーランス、社内、転職、年齢がいくつでも有効な「自分マーケティング」の手法を、豊富な具体例と共に紹介していく一冊。
目次
本書の構成は以下の通り
- 序章 なぜ、あなたに「自分マーケティング」が必要なのか?
- 第1章 自分の商品価値を知っていますか
- 第2章 なぜあの人は「一点突破」できたのか?
- 第3章 あなたが「一点突破」する方法
- 第4章 あなたの価値を高める「三種の神器」
「その他大勢」から抜け出すには?
あなたの価値は10年前と比べて上がっているか?そう聞かれて、ほとんどの社会人であれば「そうだ」と答えるのではないかと思う。社会人生活は積み重ねだ、同じ仕事でも日々続けていればスキルも上がるし、経験値も貯まる。だが、その価値を周囲は認めてくれているだろうか?十分な評価を得られているだろうか。そう聞かれると心もとなくなる方も多くなるはずだ。
組織に属する人間は一部の天才を除けばみな凡人であるといっていい。組織を構成している人間のレベルはだいたい似通っていて、正直なところ大差はない。誰もが「その他大勢」なのだと思う。こうしたドングリの背比べの中から一歩抜け出すにはどうすればいいのか。本書ではそのノウハウが紹介されている。
まず存在を知ってもらおう
「その他大勢」から抜け出すにはどうすればいいのか?そのためのノウハウが本書で示される「自分マーケティング」だ。筆者は「自分マーケティング」をこう定義する。
マーケティングとは「自分(の商品)のイメージを自分から相手に伝える行動」です。
『自分マーケティング』p20より
どうすれば「多くの人に自分の存在を知ってもらえるか?」ということを、考えていくことが「自分マーケティング」の第一歩なのです。
『自分マーケティング』p22より
どうすれば自分のイメージを周囲にアピールすることができるのか。そのためには、まず自分にはどんな価値があるのかを知る必要がある。自身を客観的に見つめ直して、商品価値を見極める必要があるのだ。
ちなみに、ブランディングとマーケティングは異なる。
いっぽう、ブランディングとは「相手に、自分の商品に対していいイメージを持ってもらう行動」のことです。
『自分マーケティング』p20より
既に実績のある人間であればブランディングは重要かもしれない。だが、何の実績もない「その他大勢」にはブランディングは不要だ。知られてこそナンボ。まずは自分マーケティングから始めるべきだと筆者は主張する。
あなたが「一点突破」する方法
というわけで本題。「その他大勢」が「一点突破」するにはどうすればいいのか?筆者が提案するのは以下の9ポイントだ。
- 業界の「当たり前」を言語化して発信する
- 自分が興味のあることにどっぷりハマる
- 誰かの役に立つんですことを徹底的に提供する
- 狭い分野でナンバー1になる
- ノウハウを法則化してわかりやすく伝える
- とにかく自分が欲しいものを作る
- 自分に求められているものを提供する
- わかりやすいキャラを構築する
- 二つのジャンルを掛け合わせる
どの項目も具体例と共に説明されているので、自分でも出来そうなものが見えてくるのではないかと思う。わたし的には一番最初に書かれている「業界の「当たり前」を言語化して発信する」が、比較的刺さった部分だ。自分で当たり前、知っていて当然、価値が無いと思っているスキルでも、一般の方であったり、業界の外に出れば希少なノウハウであることは多い。
あなたの価値を高める「三種の神器」
さて「自分マーケティング」をしていく中で、自分の価値を棚卸しして、「一点突破」するためのポイントも見いだせた。そのうえで自身の価値を更に高めていくには何をすればいいのか。最後に筆者は「三種の神器」として以下の三点について考えることを勧めている。
- 相手の心を突き刺す「剣」=旗印の1行=本のタイトル
- あなたを輝かせる「鏡」=プロフィール=本の表紙
- 幸運を運んでくれる「玉」=タグ=本のキャッチコピー
あなたを一冊の本だとしたら?という仮定のもと、本のタイトル、表紙、キャッチコピーを考える。それによって自らを更に客観視できて、アピールすべきポイントもわかりやすくなる。この辺りの発想はさすがコピーライターならではの視点だなと感じた。