「ひろゆき」が説く働き方改革
2018年刊行。筆者の「ひろゆき」こと、西村博之は1976年生まれ。ゼロ年代に圧倒的な影響力を誇った匿名掲示板2ちゃんねるの管理人として名高い人物である。
内容はこんな感じ
「個人として、ワンチャンを狙いながら幸せを目指そう!」。少子高齢化による人口減少、経済の停滞、上がらない所得。シュリンクし続けるこれからの日本で、「無双状態」で働くにはどうすればいいのか。日本全体が静かに沈降していく時代、まわりと同じことをしてたら一緒に沈んでいくだけ!「世界一の管理人」が説く働き方改革とは!?
以下、気づいた点をポイントごとにまとめてみた。
個人の「攻め方」:相対的に自分を有利にする
気になったのは以下の二点。
何が当たるかわからないから、ひととおり新しいことには首を突っ込んでおく。
→たまたま「そこに居る」ことが先行者利益になる。特に無料で試せるものは何でも試すべき。マスに受けなくても、一定の支持基盤があれば個人が生きていくには十分。副業OKの会社なら、会社は持っておいてもいい。
これは、わりと納得感があった。なんでも手を挙げておくことは大事。
人に覚えてもらえばチャンスが増える
→覚えてもらうことで仕事が増える。成功の確率が上がる。結果的に「そこに居る」ことにつながる。珍しい名前、個性があるならそれに越したことはないが、それが無理ならファッションでも、名刺でも何でもいいから相手の記憶にひっかかる「記号」を持つ。
確かに、いざというときに声をかけてもらえるかがホントに大事。
個人の「守り方」:最悪、クビになっても大丈夫な状態にしておく
気になったのはこんな部分。
高齢者優遇が若者を殺す
→「生活保護」も必要であればためらわずに受ける。
ひろゆきはベーシックインカムに肯定的。ただ、高齢者が多い日本ではなかなかベーシックインカムは導入されないと思う。であれば、「生活保護」をじゃんじゃん受ければいいじゃんという主張。そのためのズルいテクニックも披露されている。
高齢者の票が多いこれからの日本では、若者の意見は本当に通らなくなっていく。そう考えると、多少ズルいテクニックは使われても文句は言えないだろうとは感じる。
さっさと寝る
→迷ったら寝る。とにかくすぐ寝る。
これは間違いない。睡眠不足はメンタルにも肉体にも絶大な影響を与える。仕事は少しでも早く終えて、寝る時間を増やすべき。
まあ、わたしの場合、余った時間を趣味に充ててしまって、結局睡眠不足が減ってしまっているのが問題なのだけど……。
企業の論理も知っておく
気になったのは以下の三点。
「人当たり」が大事
→結局、「仲がいい会社」が生き残る
これ、年を取るほどそうだと感じるようになった。多少の有能さよりも「人当たり」の良さで仕事は回ってくる。結局仲がいいのが一番。不機嫌さで周囲をコントロールしようとするタイプは、本人の能力がどんなに高くても長い目で見ると損をする。
事業はいつかはなくなるもの
→産業を残すことに意味はない。同じことをし続けない。
同じことを繰り返していくのは楽なんだけど、永遠に続く事業なんてないということ。変わることを恐れずに試していくしかない。
「よくわからん」ものを恐れない
→日本では「よくわからない」というだけで新しい事業が潰されてしまう。
なんでも規制でがんじがらめにして、マネタイズできる環境や、将来性のある事業をつぶしてしまうのがこの国の特徴。ここは、これからも変わらないだろうけど、少なくとも自分が潰す側にはまわりたくないもの。
まとめ:日本に居る時点でもう「多数派」ではない
厚生労働省の調べによると、世帯当たりの平均所得金額は1996年から基本的に下がりっぱなしです。そしてOECDによると、家庭ごとの収入の伸び率で、38ヶ国中、日本は下から8番目です。
『働き方完全無双』p238「おわりに」より
日本人はとかく多数派に所属することで安心を感じる民族性だと思うのだが、世界中の所得がグングン伸びている中で、日本だけまったく所得が増えていかない。世界の中ではもう、日本は少数派に転じてしまっていることを理解すべきだろう。
周囲と同じことをしていては、もはや一緒に沈んでいくだけなのである。
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