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『iモード事件』松永真理 日本のモバイル業界が元気だったころのお話

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先日、夏野剛の『ケータイの未来』をご紹介したので、関連書籍として、松永真理の『iモード事件』を再度プッシュしておこう。

i-mode誕生秘話

かつて日本のモバイル社会を切り開いた「i-mode(アイモード)」を覚えておられるだろうか?本書は2000年刊行。日本のモバイルビジネスが、世界の最先端を走っていた頃に書かれたものである。

筆者の松永 真理(まつながまり)は1954年生まれ。リクルート出身。「就職ジャーナル」「とらばーゆ」で知られたリクルートの名物編集長であった。その後創業期のNTTドコモに転じ、影も形もなかった日本発のモバイルサービス「i-mode」を立ち上げた人物である。

iモード事件

角川文庫版は2001年に登場している。電子書籍化もされているため、現在でも容易に手に取れるはずである。

iモード事件 (角川文庫)

おススメ度、この本から得られること

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

  1. 「i-mode」がどのようにして立ち上がったのかを知ることが出来る
  2. ガラケー時代の日本のモバイル企業が輝いていたことがわかる
  3. 全く新しいビジネスを立ち上げるには新しい血が必要であることがわかる

内容はこんな感じ

1999年2月にスタートしたNTTドコモのiモードサービスは開始から1年5ヶ月で契約数850万台を突破。未曾有のヒット商品となった。インターネットどころか、携帯電話すら持っていなかった著者は何故NTTドコモへの転職を決意したのか。iモードの驚異的な成功の裏に隠された担当者たちの奮闘振りを描く。

教訓を求めるような類の本ではないかも

単行本の帯にこの本を読んでわかることとして、「議論に勝つコツ」「海外のお金持ちとの商談法」「部下の能力を引きだす方法」などといろいろ書き連ねてあるが、そういう本ではない感じ。

モバイルインターネットの先駆として一世を風靡したドコモのiモード。今となっては成功して当たり前のように思われがちだけど、その道のりは決して順風満帆ではなかった。とってもタイヘンでした。というハナシ。教訓的な何かを求めると裏切られるかな。

といっても、これほどの大成功を収めたiモードがひとりの担当部長から始まった一種の社内ベンチャーであったこと。外部招聘者を重要なポストに抜擢したこと。多くの重要な決定の契機を20代の若手社員たちが担っていたことなど。驚かされることも多い。成功するには組織には成功するだけの理由はやはりあるのだ。

しかし巨大企業の金の使い方は凄い。桁が違い過ぎてあまり実感がわかないのだが、接待用に社内の一画を1,000万かけて改装。「クラブ真理」を作ってしまうのだ。全くの偶然なのだが、取引先の入っているビルが、このiモード部隊が創設当初、居を構えていたビルで、今は空室となっている旧「クラブ真理」の前を通るとなんとはなしに感慨深いものがあるのであった。

盛者必衰とは言うけれど

しかしながら、iモードも今となっては20年も前の話かと思うと気が遠くなってくる。日本の携帯電話技術がまだまだ元気だったころの話と考えると感慨深くなる。

松永さんをはじめとして、夏野さんも、栗田さんもみんなドコモからいなくなってしまった。こういうバイタリティがありすぎる人は、ドコモみたいなお役所に近いような風土の企業では残っていけないのだろうか。AppleやGoogle、海外の携帯メーカーに席巻されている現在の業界事情を考えるとなんとも哀しくなるのであった。

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