ビズショカ(ビジネスの書架)

ビジネス書、新書などの感想を書いていきます

『大津絵』クリストフ・マルケ 江戸時代の人々に愛された庶民画の世界

フランス人研究者による「大津絵」ガイドブック 2016年刊行。筆者のクリストフ・マルケ(Christophe Marquet)は1965年生まれ。フランス人で、日本近世・近代美術史と、出版文化史の研究者である。 オリジナルのフランス版は2015年に刊行されている。フラン…

2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

既に2024年の1月も後半に入っている状況で、遅きに失した感が無きにしもあらずだが、恒例の〇〇年に読んで面白かった本企画をお届けしたい。 なお、あくまでも2023年に読んだ本が対象であって、2023年に刊行された本ではないのでその点はご容赦を。 では、今…

『心の傷を癒すということ』安克昌 阪神淡路大震災ではどのような心のケアが行われたのか

阪神大震災で自らも罹災した精神科医 1996年刊行。筆者の安克昌(あんかつまさ)は1960年生まれの精神科医。残念ながら2000年に、肝細胞癌のため、39歳の若さで他界されている。神戸大学医学部精神神経科で助手として勤務していた1995年に阪神淡路大震災に罹…

『50代からの人生戦略』佐藤優 いまある武器をどう生かすか

50代をどうすごすかで人生は決まる! 2020年刊行。筆者の佐藤優(さとうまさる)は1960年生まれ。元外務省勤務で主任分析官。ロシア事情に精通し、鈴木宗男に関する一連の事件で逮捕、起訴。有罪判決を受け退職。その後作家業に転身し、多くのヒット作を生み…

『ただしい暮らし、なんてなかった』大平一枝 時間の経過で考え方も生き方も変わっていい

暮らしを見つめ直す一冊 2021年刊行。筆者の大平一枝(おおだいらかずえ)は長野県出身の作家、ライター。「市井の生活者を独自の目線で描く」エッセイを多数書かれている方。 代表作は朝日新聞デジタルに連載されている「東京の台所」シリーズだろうか。 序…

『陸の深海生物 日本の地下に住む生き物』小松貴 知られざる地下生物140種を紹介した魅惑の生物図鑑

2023年刊行。筆者の小松貴(こまつたかし)は1982年生まれ。信州大学大学院博士課程修了、国立科学博物館協力研究員のキャリアを経て、現在は在野の昆虫学者として活躍している人物。 現在までに、以下の著作がある。 裏山の奇人:野にたゆたう博物学(2014…

『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』三宅香帆 「言葉の発信力」を上げたい人へ

バズったことがないあなたに お恥ずかしい話だが、Twitterを10数年、ブログを20年近くやっているが、バズりを体験したことがない。扱うテーマが地味なのか、文体や見出しの問題なのか、それとも書き手のキャラクターのせいなのか。 あなたは、Twitterやブロ…

『ガヴァネス ヴィクトリア朝時代の<余った女>たち』川本静子 生計のために住み込みの家庭教師となった女性たち

中公新書版が再刊されたみすず版を読んだ 筆者の川本静子(かわもとしずこ)は1933年生まれの英文学者。津田塾大学の教授職を務め、2004年に退官。2010年に逝去されている。専門は19世紀~20世紀のイギリス文学。 『ガヴァネス ヴィクトリア朝時代の<余った…

『千葉からほとんど出ないひきこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』済東鉄腸 情熱と生存戦略と他者からの承認

タイトルが長い! 2023年刊行。筆者の済東鉄腸(さいとうてっちょう)は1992年生まれの映画ライター、作家。本書の題名にある通り、ルーマニアへの渡航歴がないにもかかわらず、日本国内にてルーマニア語の小説を書き、ルーマニア人向けに発表し続けている稀…

『インターネットというリアル』岡嶋裕史 「みんな違ってみんないい」に人は耐えられない

現実と融合したネット社会を読み解く 2021年刊行。筆者の岡嶋裕史(おかじま ゆうし)は1972年生まれの情報学研究者で、現在は中央大学国際情報学部の教授職にある人物である。 本書は講談社のオンライン誌「クーリエ・ジャポン」、光文社のウェブメディア「…