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『朝1時間勉強法』山本憲明 働きながら資格試験に合格する!

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現役税理士が教える勉強法

2010年刊行。筆者の山本憲明は現役の税理士。ビジネスパーソンとして働きながら、一念発起して税理士試験に挑戦。税理士は合格までの、社会人の学習平均年齢が6~7年とされる難関試験だが、筆者これをわずか4年で達成。その他にも、難関資格(合格率10%以下)とされる、希少予報士、中小企業診断士にも一年という短期間で合格を果たしている人物である。

中継文庫版は2013年に刊行。現在手に入るのは、こちらの方だろうか。


 

内容はこんな感じ

「今年こそはあの資格試験に挑戦したい」「働きながら勉強したいけど、仕事が大変でなかなかできない……」「将来が不安だから、今のうちに英語や簿記の勉強でもしておこう」。しかし、社会人には時間がない。そんな悩みに答えるのが「朝1時間勉強法」である。朝の1時間を最大限に有効活用。時間の密度を高め、資格試験を成功に導くメソッドの数々を紹介していく。

勉強する時間がない!

人生100年時代と言われている昨今、勉強は学生時代だけで済ませることは出来ない。時代時代で必要なスキルは変化していくし、現在所属している会社がいつまでも安泰であるかどうかはわからない。となれば、今後に生かせるスキルや資格を得ておくことが大切になってくる。

しかし社会人には時間がない。

仕事はもちろん忙しい。そして、家庭を持っている方、特に育児や介護がある方はなおさら時間の無さを痛感していることだろう。

そんな方におススメしたいのは『朝1時間勉強法』である。本書で提案しているのは、朝の1時間を勉強に充てること。それに尽きる。たった1時間?と疑問に思われる方もおられるだろうが、朝の1時間をいかに有効に活用できるか。コツコツと積み重ねた1時間が、後々、どれほどの効果を発揮するのか。本書ではそんなテクニックが披露されている。

以下、各章を簡単に振り返っていきたい。

第1章 こんな時代だからこそ、勉強して資格をとろう!

最初の章では、社会人が資格を取得すること。勉強することの意義を説く。筆者は資格のメリットとして以下の三点を挙げている。

  1. 資格が生活の糧のために大いに使える。活躍の場が広がる。
  2. 知識を効率よく確実に身に着けることができる
  3. 計画を立ててしっかりと期限までに実行する力が養われる

資格を取ろうとしたときに外野から聞くのは、「そんな資格取っても意味がない」「稼げない」「役に立たない」そんな言葉である。果たして、それは本当だろうかと筆者は問うのである。

また、働きながら資格を取るための三つの工夫として以下を挙げている。

  1. 仕事をなんとか効率化して時間を作る
  2. 勉強の計画は何とか試験に間に合わせられるように修正を何度もする
  3. 最後の追い込みで実力アップする

資格を取得することの意義としては、人生の選択肢が増えていく点にある。独立開業にまでは繋がらなくても、現業に近い資格であれば業務の幅広がるし、仕事ですぐに活かしていくことが出来る。得意な属性を複数持つ。属性を組み合わせることで活躍の場が広がっていくのだ。

第2章 「朝」「1時間」であなたの人生が変わる!

この章では何故「朝」なのか。どうして「1時間」が大切なのかが示される。

午前中の方が仕事がはかどる。集中出来る。そんな方は多いのではないだろうか?集中できる午前中。しかも、朝の1時間に特化して勉強しよう。それが本書の趣旨である。

筆者は夜のインプット→朝にアウトプットの形を推奨している。夜、就寝前にインプットされた事項は、睡眠中に脳内で整理されて、朝になると効率的に取り出せるようになっているというのである。これは筆者の成功体験に根差しているものなので、誰にでも当てはまるのかどうかはむずかしいところではある。

なお、わたしは現在『朝1時間勉強法』にトライ中なので、結果はいずれお知らせしたい。

第3章 少しでもラクに「早起き」をする方法

朝の1時間を確保するための最大の障壁は「起きられない」という難関である。本書では、睡眠時間を減らさずに、学習時間を確保するための心がけとして以下の三点を挙げている。

  1. 飲み会は一次会で。もしくは21時くらいには帰る
  2. 同じグループ、同じメンバーでの飲み会は2回に1回
  3. テレビはだらだら見ない(スマホ、PC、ネット、ゲームも同様)

これはアクティブな方、社交的な方、酒飲みの方には厳しい制限かもしれない。生活習慣を変えるのは本当に難しい。このルールを守れるかどうかが、成功の分かれ目のような気がする。

しかし、どうしても取りたい資格がある。学んでみたい分野がある。となれば、話は変わってくるのだと思う。熱意をもって学びたい事柄があると、意外に起きられてしまう。何よりも、朝起きるのが楽しみになってくるから不思議である。

第4章 「朝1時間勉強法」の具体的な進め方

この章では具体的な勉強法が披露されている。特に大切な点はこちら。

  • まず過去問を解いてみる

教科書やテキスト、参考書を読む前に、まずは実際の試験の過去問を解くべきだと筆者は強く主張している。

わからないから勉強するのに、最初から過去問を解いて出来るわけがない。そう思われる方も多いだろう。

しかし、最初に過去問を解くことで、自分は何が判っていて、なにが出来ないのか。実際に出題されるのはどんな内容なのかを知ることが出来る。そして出題形式は、記述式なのか。選択式なのか。制限時間は何分あるのか。そして全体感が掴めるのも大きい。

資格試験は受かってナンボである。そのためにはまず敵を知ること。教科書を読むのはそれからで良いというのは、非常に納得感のある提案であった。

また、過去問を解く際に間違えた設問については「間違いノート」を作る。「間違いノート」は筆者の勉強法の中でも重要な位置を占めている。間違えた箇所をまとめてノート化することで自分の弱点が可視化できる。「間違いノート」に載っているのは自分の弱点部分なので、ここを潰していくことが合格への近道となる。

作りこんだ「間違いノート」は試験前になれば、最強のアンチョコになっているはずだ。

第5章 実力が劇的にアップする「追い込み」のやり方

時間がない社会人にとって、「朝1時間」と並んで大切なのは、試験直前の「追い込み」である。「追い込み」のメリットとして筆者は以下の二点を挙げている。

  1. モチベーションを維持しやすい
  2. 高い集中力を維持できる

試験前の一週間は予定を空けて勉強に専念できる環境を作っておく。ここで、積み上げて来た「間違いノート」で弱点を潰す。

資格試験で大事なのは難問に正解することではなく、誰もが正解する基本問題で取りこぼさないことである。難問には敢えて手を出さず、思い切って捨てる勇気も必要だと筆者は説く。

第6章 最高の結果を手に入れる人の心がまえ

この章では試験に向けてのモチベーションの維持方法。専門学校には通うべき?独学でも大丈夫なのか?おススメの勉強場所は?などなど、お役立ちの小ネタが詰め込まれている。

特に気になったのは「一回目の試験で必ず受かると決める」とした点である。一回目は腕試し。感覚を掴むだけ。そんな「お試し受験」は時間の無駄であると筆者は強く主張する。時間の無い社会人こそ、一回目の受験に全てを集中する。一度「お試し受験」を始めてしまうと、ずるずると「お試し」が続いてしまう。そんなリスクは避けるべきなのである。

第7章 試験本番に向けてやったおきたい7つのこと

この章では、試験直前から当日までの心構えが書かれている。ポイントは以下の七点。

  • 「体調」や「手のケガ」に気を付ける
  • 試験前日にすべきこと
  • 試験会場での準備を忘れない
  • 解答用紙を読み込んでから問題を解こう
  • 解ける問題を落とさないことを最優先に考える
  • 何が起こってもあわてない
  • 受かる人と落ちる人のたった一つの違い

試験を受けるなんて受験生以来という方も多いだろう。緊張感も高まるところだが、事前にしっかりと準備をしておくことでリスクは減らすことが出来る。勉強だけに追われていると、こうした事柄にはなかなか気づけない。気を付けておきたいところである。

第8章 私の「中小企業診断士」チャレンジ記

最終章は、筆者の「中小企業診断士」挑戦の記録である。

成功者ならではのバイアスが当然あるのだが、「絶対に合格する」と信じる強い意志を持つ。時間が無くても最後の最後まであきらめない。とにかく時間がある限り粘る。一問でも多く問題を解く。結局は、こうした積み重ねが明暗を分けてくるのかもしれない。

コロナ禍の今だから勉強したい

以上、山本憲明『朝1時間勉強法』の概要をお届けした。

コロナ禍で先が見えない状況が続いている。わたしも、テレワーク生活が一年が超え。生活にも大きな影響が出ている。その分、自宅での時間が増えて来たので、遅まきながら好きなジャンルの知見を深めてみようかと考えている。

真面目に勉強をするのは受験生時代以来なので、まったく勝手がわからず、いまのところは「勉強法」の本をせっせと読んで、手探りで進んでいる。「勉強法」をあと何冊か読んでいるところなので、こちらもいずれご紹介できればと考えている。

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