ビズショカ(ビジネスの書架)

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『50歳からの逆転キャリア戦略』前川孝雄 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方

「リクナビ」「就職ジャーナル」元編集長が説く50代のキャリア戦略

2019年刊行。筆者の前川孝雄(まえかわたかお)は1966年生まれ。リクルートの「リクナビ」「就職ジャーナル」の編集長職を歴任。その後独立。人材育成、研修、組織開発などの業務を主として担っている方である。

内容はこんな感じ

人生の大きな転機となる50代。そろそろ先が見えて来た会社員としての自分。しかし「人生100年時代」、定年後の人生も長い。この先20年、30年先を見据えた時に、50代では何をしておくべきなのか。「定年まで我慢する」「早期退職」いずれでもない、第三の道とは何なのか?「本当にやりたい仕事に挑戦する」ための実践的なキャリア戦略を紐解く。

キャリア自律を目指そう!

50代は多くのビジネスパーソンにとって難しい時期である。バブル世代であるこの年代は競争者が多く、出世争いで生き残るは難しい。役職定年。下がり始める給料。近づいてきたリストラの足音に怯えている方も多い筈である。

このまま会社居るよりは、早期退職に応募して楽になりたい。新しい道を模索したい!そんな方に読んでいただきたいのが本書である。

会社は簡単に辞めてはいけない。辞めるにしても、会社は学びの宝庫。新しい環境に出ていく前に、まずは古いマインドをリセットし、学びなおしをすべき。

自分のキャリアのハンドルを自分で握る。「キャリア自律」を実現しようと筆者は説く。

では、以下各章の概要を紹介していきたい。

第一章 まだ辞めてはいけない人たち

最初に提示されるのは「こんな人は辞めてはいけない」リストである。内容はこうである。

  • やりたいことがない人 年収だけが希望
  • 変化に対応できない人 自分の得意に固執
  • 根拠なく楽観する人 リサーチ不足 年収高望み
  • 自分を客観視できない人 上司評価への不満
  • 経営の視点や知識に欠ける人 
  • 自分のことしか考えていない人
  • 社名や肩書きにこだわる人

なんだかザクザク突き刺さって心が痛い(笑)。

上記の点に心当たりがある方は、とりあえず今すぐ会社を辞めるのは待った方が良いようだ。準備をせずに事を始めてもろくなことにならない。

第二章 「お金、肩書き」から「働きがい」へ

第二章はマインド。考え方を変えましょうという提案である。

50代以降の働き方では、年収や地位、肩書に固執するの辞めて、「働きがい」重視にシフトしていくべき。お金に替えられない幸福を大切にしようと筆者は説く。

実際問題、50代後半以降に収入が下がるのはやむを得ない。いつまでも若い頃の感覚でお金を使っていたら、早々に破綻してしまうことは容易に想像がつく。人生100年時代などと言われている昨今。定年後の人生もまだまだ長いのだ。

お金にこだわらないメンタルを確立しておくことはとても重要なことであろう。

第三章 会社は「学びなおしの機会」に溢れている

この章からは「キャリア自律」を目指すために、具体的には何をすればいいのかが書かれている。「キャリア自律」とは、上司や周囲に指示されたり、管理されるのではなく、自分で決めた規律や規範に則って働くことである。

そのためには以下の点が重要と、筆者は主張する。

  1. キャリアビジョン構築
    →自分がやりたいことを明確にする
  2. マインドセット
    →給与、肩書から、働きがい重視に価値観を軌道修正する
  3. 相場観・市場理解
    →会社の外に目を向け、自分の市場価値を正確に把握する
  4. 自己認識・強みの棚卸し
    →社外でも通用する自分の強み、鍛えられていない弱みを整理して正しく認識する
  5. キャリアプラン・腕試し
    →第二の職業人生でやりたいことを実現するための具体的な計画を立て、トライアルとなるアクションを起こす
  6. 強みを補強する
    →社内での実務、社外での学びなおしを通して強みを研磨してより強固にし、弱みを補強する。

本書には巻末にワークシートが用意されている。

50代から更に20~30年元気に、良好なメンタルで働いていくために、自分は何がやりたいのか。自分の強みと弱点は何なのか。目的を達成するためには何をすればよいのか等が、ワークシートを埋めていくことで明らかになる構成となっている。これは便利なので是非活用したいところである。

第四章 50歳からの働き方を変える「7つの質問」

最終章では、これまでの学びを踏まえ。これからの自分はどうしたいのか。自己の内面を深堀りしていく「7つの質問」が用意されている。

キャリアビジョン構築のために
→自分の人生があと1年だとしたら、何をやりたいですか?

マインドセットのために
→なぜ、その「やりたいこと」に挑戦しないのですか?
→やりたいことができない本当の理由は何ですか?

相場観・市場理解のために
→名刺がなくても付き合える社外の知人は何人いますか?

自己認識・強みの棚卸し
→会社の外でも通用する「自分の強み」は何ですか?

キャリアプラン・腕試しのために
→その強みを磨き、不動のものにするために何が必要ですか?

強みを補強するために
→今のうちに何から始めますか?

これらの問いに応えていく中で、自然に「キャリア自律」への見えてくるというわけである。先日紹介した、『50代 後悔しない働き方』でも同種の自己診断が紹介されていたが、今後まだまだ続くであろう人生(と、思いたい)。少しでも後悔の無い選択が出来るよう、まずは自分自身を見つめなおしておくことはとても大切なことであろうと感じる。

起業マインド強め?かな

『50代 後悔しない働き方』が、定年後も雇われて働くことを想定していた内容であったのに対して、『50歳からの逆転キャリア戦略』は比較的、独立、起業をイメージしているような内容に感じた。これは、筆者がリクルート出身で、退社後起業し成功している点もあるかな。

「お金、肩書き」から「働きがい」へと、マインドセットを変えておくことは大切。出ないと、収入が減って単にションボリするだけの毎日になりそうである。

20代の就活がヨーイドンで一斉にスタートするのと比べて、シニア世代の第二の人生はあまりにバリエーションが多く、その開始年代もさまざま。いち早く手を打って、少しでも後悔の少ないこれからにしておきたいものである。

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