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放送大学の『初歩からの数学』で中学~高校の数学を四か月でおさらいする

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私立文系人間が三十年ぶりに数学に再挑戦

2021年の4月から放送大学の選科履修生となり、三十年ぶりに大学生となったわたくし。二学期では、放送大学での数学のエントリー科目『初歩からの数学』を履修してみた。久しぶりの数学挑戦で、実際ものすごく大変だったのだが、それでも数学の勉強はとても楽しかった。本日はこの『初歩からの数学』の魅力についてご紹介したい。

ちなみにわたしの数学スペックだが、高校で数学を習ったのは二年生まで。いわゆるセンター試験レベルの数学しか学んでいない(数IIIの微分積分をやっていない)。大学受験では、もちろん数学は使わなかった。また、大学では文学部だったので数学とは無縁の学生生活だった。

ただ、最近統計や、情報系の勉強を始めたこともあり、どうしても数学の壁にチョイチョイぶつかることが多くなった。Σ記号とか∫記号が出てくると、見た瞬間に脳が拒否反応を示してしまうので、これはさすがにヤバい。せめて最低限の数学知識は取り戻しておきたいと思い履修を決めたのであった。

印刷教材『初歩からの数学』

放送大学のテキスト(教科書、放送大学では印刷教材と呼ぶ)は、普通に書店で販売されているので、学生でなくても誰でも購入することが可能。

初歩からの数学 (放送大学教材)

本講座の主任講師は隈部正博(くまべまさひろ)は1962年生まれの数学学者。放送大学の教授であり、副学長でもある。

テキストだけでも十分学べる構成となっているが、初学者や、自信のない方はテレビの授業とセットで学ぶことを断然おススメする。動画とセットで見るとわかりやすさが段違いなのだ。

放送授業はBS231chもしくはBS232chで配信される。これは放送大学の学生でなくても、誰でも無料で見られるので本当におススメ。直近の配信予定はこちら。

BS232ch:毎週月曜日12:00~12:45 ※初回放映は4/4

ちなみに、こちらが放送大学公式のテレビ科目紹介動画。

詳しい授業概要(シラバス)はこちら。

この本で得られること

  • 中学高校レベルの数学を最初からやり直せる
  • 数学が苦手な文系人間でも数学の基礎を学べる

目次

『初歩からの数学』のテキスト構成は以下の通り

  1. 数の概念
  2. 式と計算
  3. 有理数
  4. 実数
  5. 方程式と不等式
  6. 図形の性質
  7. 関係と関数
  8. 関数の性質
  9. 様々な関数
  10. 三角関数
  11. 場合の数
  12. 数列
  13. 極限
  14. 微分
  15. 積分

序盤戦は中学校の数学のおさらい。整数とは?指数とは?みたいなところから、演算のルールや、不等式の性質と言った数学の「基本のキ」から始めてくれるので、数学から遠ざかっていた人間でもなんとかついていける。

わたしの場合、第7回の「関係と関数」あたりから、ついていくのが難しくなり、俄然、学習に時間がかかるようになった。

中学から高校までの数学の内容を、わずか四か月で駆け抜けるカリキュラムとなっているので、学びの範囲はかなり広い。次々に新しい概念が登場するので、ワクワクする反面、しんどさもそれなりにある。

難易度別に学習項目が分かれている

『初歩からの数学』の特徴は、難易度別に学習項目が細分化されている点にある。

以下、目次の一部を引用させていただいた。各項目のあとの(A)~(C)の記号に注目していただきたい。

  • 4.1実数とは(A)
  • 4.2無理数の証明(B)
  • 4.3有理数の稠密性(C)
  • 4.4n乗根(A)
  • 4.5n乗根の大小(C)
  • 4.6指数法則その3(A)
  • 4.7補足(C)
  • 4.8対数(A)

(A)~(C)の記号はそれぞれの項目の難易度を示している。

  • A:初歩的な部分。絶対に理解しておきたい部分。
  • B:やや難しい部分。熟読してなんとかここまでは理解したい。
  • C:難度の高い証明や、より高次の概念が登場する。

ぶっちゃけ、わたしの場合は(C)パートはほとんど理解できなかった。実際、授業でも言及されないし、試験にも出ない。(C)は中級者以上向けなので、初学者は最低限(A)パートだけでも理解できるよう頑張りたい。

『演習初歩からの数学』とセットで学習効果を高める

放送大学では、演習系の科目『演習初歩からの数学』が用意されている。演習系の科目ではひたすらに問題を解いていくことで、メインの授業で学んだ内容を「体で覚える」ことになる。

『演習初歩からの数学』で登場する問題は、初歩の初歩とも言える、基礎的な設問が繰り返し登場する。そのため各単元の基本的な考え方が、嫌でも身につく構成となっている(逆に言うと、難しい設問はないので、中級者以上は物足りないと感じるだろう)。

『演習初歩からの数学』の構成は以下の通り。メイン授業の『初歩からの数学』とシンクロした内容となっている。

  1. 数の概念と式の計算
  2. 有理数と実数
  3. 指数、対数、複素数
  4. 方程式の解法と図形の性質
  5. 関係と関数
  6. 様々な関数
  7. 場合の数と数列
  8. 微分と積分

ちなみに、こちらが放送大学公式の科目紹介動画。

詳しい授業概要(シラバス)はこちら。

※『演習初歩からの数学』はテレビ授業ではなく、ネット上で講義を受け、問題を解くスタイルとなっていて、放送大学の学生で、なおかつ本授業を履修しないと学べないの注意。

学習時間の目安、学習法

今回わたしが挑戦した、『初歩からの数学』及び、『演習初歩からの数学』の学習時間は以下の通り。大学生以降全く数学と無縁の人生を送ってきた人間なので、それなりの時間を費やすことになってしまった。

  • 初歩からの数学:47.1時間
  • 演習初歩からの数学:28.5時間

なお、わたしが行った学習方法は以下の通り。

  1. 過去の試験問題に挑戦
  2. 判らないところを確認
  3. テキストを読む
  4. 放送授業を見る
  5. 『演習初歩からの数学』で学びを定着させる

最初は余裕余裕!と思っていた『初歩からの数学』だが、次第にその獰猛さをむき出しにしてくる。わたしの場合、途中から全く理解不可能状態に陥ったのだが、そんな場合でも、繰り返し授業動画を見る(テキストではない)ことで、なんとなく理解できるようになった。

数学的な科目の「わかった」瞬間の感覚は文系科目にはない、独特のカタルシスがあって得難い魅力がある。わたしには理系的な素養は全くない(高校レベルの物理で零点を取ったことがある)のだが、『初歩からの数学』での学びはとても楽しい時間となった。

試験問題はパターン化されている

放送大学で『初歩からの数学』を履修した場合、学期の最後に単位認定試験が行われる。過去三回分の平均点は以下の通り。

  • 2021年度2学期(80.2点)
  • 2021年度1学期(82点)
  • 2020年度2学期(75.7点)

放送大学は、現在コロナ禍のため特別な試験体制を取っている。本科目については、自宅での受験(持ち込み可)、時間制限なしの、大盤振る舞い体制だったので、非常にラッキーだったと思う。(※2021年の1学期から、単位認定試験の方式が変更となる。自宅受験(持ち込み可)はそのままだが、1科目50分の制限時間が課される。詳細はこちらを参照。)

『初歩からの数学』の単位認定試験では、難しい問題は出題されない。落とすための試験でなく、学ばせて覚えさせるための試験なのだと思う。学習項目で言えば(A)パートからの出題となる。なおかつ、出題内容が完全にパターン化されているので、過去問をしっかりやっておけば、ほぼほぼなんとかなる。

※追記

ちなみにⒶ取れました!

初歩からの数学成績

初歩からの数学成績
 

『演習初歩からの数学』ではレポート提出が必須

ちなみに『演習初歩からの数学』では、単位認定試験はない代わりに、単元ごとの小テストと、期末のレポート提出が必須となっている。小テストは何回でも挑戦でき、なおかつ、何回か受験した中での最高得点が評価対象となるので(優しい!)、頑張れば誰でも満点が取れる。

ただ、レポート提出は、ちょっとだけ歯ごたえのある設問が出題されるけど、テキストをしっかり読み込めばヒントがあるのでなんとかなると思う。

ここで思わぬ苦戦を強いられたのが、数式エディタの使い方だったりする。

恥ずかしながら、ワードに数式を入力するためのモードがあることを初めて知った!

ワードで、数式エディタを呼び出すショートカットキー。

ALT+Shift+=(ALTとShiftと=キーの3つ同時押し)

ただワードの数式エディタにも難点がある。組み合わせ記号(C)を取り扱っていないのだ。特にΣ記号とセットになった時に難がある。

悩んだ結果、わたしは以下の方法で強引に乗り切った。

  • ∑+下付き文字+下付き文字で配置する

Σ記号と組み合わせ記号の表示について1

Σ記号と組み合わせ記号の表示について1
  • 左の二つの枠には半角スペース
    (その分幅が詰まる)
  • 右の三つの枠にnCr 

Σ記号と組み合わせ記号の表示について2

Σ記号と組み合わせ記号の表示について2

なお、『演習初歩からの数学』のレポート提出は、手書き提出もオッケーなので、その点はご安心いただきたい。

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