放送大学二年目が無事終了
既に試験期間も経過し、成績発表もされてしまったので遅きに失した感がありますが、放送大学の二年目が無事に終わったので、恒例の振り返り記事を書くことにしました。
過去のまとめはこちら(カッコ内は履修科目ね)。
- 一年目一学期(情報学のとびら/情報・メディアと法/日本語アカデミックライティング/小学校プログラミング教育概論)
- 一年目二学期(身近な統計/日本語リテラシー/初歩からの数学/社会調査の基礎/生活環境情報の表現/演習初歩からの数学/情報ネットワーク)
- 二年目一学期(社会統計学入門/Webのしくみと応用/AIシステムと人・社会との関係/表計算プログラミングの基礎/日本語リテラシー演習/国際理解のために/計算の科学と手引き)
2021年の4月、コロナ禍で在宅の時間が増えたことをきっかけに、放送大学の選科履修生として入学。2022年の4月からは全科履修生となり、ガチで卒業を目指すことにしました。
今回の履修科目
放送大学は全科履修生として入学すると、いちおう10年間在籍出来ることになっていて、わたし的には6年での卒業を目標としています。卒業には124単位の取得が必要で、わたしは年間20単位+α程度の単位を取っていけるよう計画しています。
放送大学は一学期(4月~9月)と二学期(10月~3月)の前後期制。2022年二学期に、わたしが履修した科目はこちらの8科目(14単位)。
- 社会学概論
- 人間にとって貧困とは何か
- 入門線型代数
- 統計学
- 情報社会のユニバーサルデザイン
- 映像コンテンツの制作技術
- 西武鉄道と沿線文化 *
- カトリック教会と音楽 *
*の科目は面接授業。こちらは通信教育ではなく、実際に学習センターに通って講義を受ける、いわゆるスクーリング形態の授業です(後述)
テキストはこんな感じ。
単位認定試験は引き続き自宅でのオンライン受験
コロナ禍になるまで、放送大学の単位認定試験は、全国各地に設置された学習センターにて、所定の日時に一斉に行われていました。通信制大学でありながら、あくまでも試験はリアルの会場で行われていたんですね。
かつては平日に試験時間が設定されることも多かったので、社会人にとってはこれが大きな問題でした。半年先の予定なんて履修する時点ではわからないですからね。
これがコロナ禍で一変。自宅でのオンライン試験がデフォルトとなりました。試験日程を考慮せずに、履修科目を決めることが出来るようになったので、利便性は格段に向上しました。
ポイントは以下の通り。
- 自宅のネット回線を使って試験を受ける
- 試験問題はオンラインで出題される
- 1科目あたり50分の時間制限あり
- 一度スタートした科目は途中で辞められない
- 定められた期間内(今期は1/17~25)だったら好きな日時で受けて良い
- 持ち込みは印刷教材、自分で作ったノートのみオッケー
- 試験はオンラインで完結(一部科目に例外あり)
自宅にインターネット回線が無かったり、身体上の問題で対応が難しい方に限り、事前に申請することで、従来通りの学習センターがでの受験も可能となっています。
2022年度2学期の単位認定試験について詳しく知りたい方はこちらを(PDF)。
各科目ごとの学習時間と所感
各月ごとの学習時間は以下の通りです。
科目別の学習時間は以下の通り。
- 社会学概論(22.8時間)
社会学について興味があったので履修してみました。過去に履修した「社会調査の基礎」「社会統計学入門」からの延長となります。後述する「人間にとって貧困とは何か」被る内容も多く。補完する意味でも履修して良かったと思っています。
「社会調査の基礎」同様に、北川先生の試験は基本的にあまり捻った設問はないので、ふつうにテキストと過去問をさらっていれば問題なく対応できるかと思います。
- 人間にとって貧困とは何か(23.3時間)
今期で閉講ということで急遽履修を決めた科目です。テキストの行間から西澤晃彦先生の情念が漂ってくるようで、鬼気迫るものがありました。貧困問題についての視点が変わる、得難い講義でした。貧困問題について、来期は別の先生の「貧困の諸相」が開講し、「人間にとって貧困とは何か」のテイストは引き継がれないようなので本当に残念。
試験については、テキストを丁寧に読み解いていけば十分対応できると思います。何を問われているのかを考える過程は、大学入試の現代文の科目を思い出しました。
- 入門線型代数(54.5時間)
今期最大の鬼門科目。そもそも高校時代には数IIまでしか履修しておらず、大学は私立文系(文学部)だったのでまったく数学とも無縁。行列って何だっけ?というところからスタートしたので本当に苦労しました。
印刷教材や、放送授業だけでは理解が及ばず、Youtubeの『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』の「線形代数入門」には、たいへんお世話になりました。これなくして、単位は取れなかったと思います。
線型代数の計算は基本的な四則演算がベース。ただひたすら込み入っていて、とにかく面倒。検算に際してはこちらのサイトが役に立ちました。
ただ、試験はそれほど難しくないです。過去問と同じパターンの内容しか出題されないので、過去の出題内容を解けるように対策しておけばなんとかなると思います。線形代数の計算はややこしいので、計算間違いだけは気をつけましょう。
- 統計学(47.0時間)
鬼門科目その2。相応に時間がかかりましたが、基盤科目の「身近な統計」、導入科目の「社会統計学入門」と地道にステップアップしてきたので、なんとかこなすことが出来ました。前二科目が実に寄せているのと比較して、理に寄せている印象で、数式が頻出するので、数学が苦手な方は辛いかも。
わたしは、出て来る問題をエクセルで数式化して、どうしてその答えになるのかを理解できるように努めました。エクセルで数式化しておくと、類問が出たときに数値を変えるだけで対応できるので、その点でもおススメです。
試験では、計算させる問題はそれほど出題されず、理論的な部分をきちんと理解できているかが問われます。
- 情報社会のユニバーサルデザイン(26.7時間)
ユニバーサルデザインとはこんな意味。
年齢・性別・能力・環境にかかわらず、できるだけ多くの人びとが使えるよう、最初から考慮して、まち、もの、情報、サービスをデザインするプロセスとその成果。
『情報社会のユニバーサルデザイン』より
障害の社会モデルの概念、「障害者の社会参加の困難は,障害がある人もない人も等しく社会参加する機会が得られるように考慮されていない社会環境から生じる」という考え方を知ることが出来たのが最大の収穫。
試験は、テキストをひととおりさらって、過去問対策しておけば問題ないかと思います。
- 映像コンテンツの制作技術(18.5時間)
今期の癒し科目。学びというよりは、楽しみで選択した科目です。仕事でPremiereを使った簡単な動画制作を手掛けるようになったので、撮影、編集技術の基礎について学べるのでは?と期待して履修しました。
ホワイトバランスの取り方から、マイクの設定、イマジナリーラインや、ジャンプカット、同ポジの概念に至るまで、具体例を交えた講義の構成が本当に面白かったです。
試験内容は、授業をきちんと聴いていいれば問題なく回答できるものだと思います。
※面接授業の二科目については次の項目で書きます
面接授業をはじめて受けてみた
放送大学はテレビとラジオ(そしてインターネット配信)をベースとした、通信制の大学ですが、これらとは別に対面による面接授業も設けられています。全国57か所の学習センターで年間3,000もの講義が開講される大規模なものです。
わたしはこれまで、コロナ禍なので履修を控えていたのですが、卒業には面接授業の単位が一定数必要となることもあり、今回は受講してみることにしました。
履修した科目はこちら。
- 西武鉄道と沿線文化(23.7時間)
鉄道大好きの政治学者、原武史先生の超絶マニアックなテーマの講義。100%趣味で履修しました。定員23名の狭き門でしたがなんとか抽選を勝ち抜けました。参加している方々が、これまたヤバい(褒めてる)鉄道成分の濃い方たちばかりで、とにかく圧倒されました。テキストは本ブログでも以前に紹介した『レッドアローとスターハウス』。
講義前にテキストをひたすら熟読。更に、サブテキストとして指定されていた『団地の空間政治学』『滝山コミューン一九七四』にも目を通しました。
講義は週末の二日間に集中して行われ(90分×8コマ)、最後の時限に簡単な筆記テストがあります。テキストを読み、講義の内容を理解していれば、特に問題はないかと思われる内容でした。
- カトリック教会と音楽(14.8時間)
永原恵三先生による、カトリック教会と音楽の歴史についての講義。わたしはもともと、趣味で合唱をやっており、キリスト教の音楽については触れる機会が多かったので、こちらも趣味全開で受講した科目です。
市販のテキストは用いず、当日先生が配布されるレジュメをベースに講義が進みます。何かせめて予習できればと、永原先生とジャンルは微妙に異なるのですが、金澤正剛先生の『キリスト教と音楽』を読んでから講義に臨みました。
こちらも週末の二日間に集中して行われ(90分×8コマ)、最後の時限に簡単なレポートを書いて提出すると終わりです。テーマは以下の三つから一つを選びます。
- 本講義のまとめ
- 本講義へのコメント、感想、自分で考えたこと
- 本講義を聴いて今後自分がどう考えていくか
わたしは「2」のテーマを選択。好き勝手なことを書いて提出したのですが、幸い良い評価を頂けました。
試験結果はこんな感じ
試験に向けての準備方法と、オンライン受験での注意点は以前書いた通り。やることはあまり変わってないので、過去記事のこちらを参照のこと。
ちなみに試験の結果は以下の通りでした。
「入門線形代数」はギリギリまで学習が追いつかず、来期に飛ばすことも考えたのですが(放送授業科目は、単位を落としても次学期に再試のチャンスがあります)、頑張って受けて見てよかったです。
「入門線形代数」は選択肢「1〜4に正答はない」を選ぶのが
— ぬぬに@小説以外の本感想&勉強垢 (@nununi_b) February 17, 2023
3問もあってかなーり不安でしたが合ってた!
心配だった面接授業も単位取れてました。これにて放送大学2年目終了。あと4年での卒業を目指します。 pic.twitter.com/k28CJepUqk
ちなみに、2023年一学期の履修科目はこちら。数学系科目では「入門微分積分」を「演習」とセットで挑戦。これが最大の難関科目になりそう。予習、もう始めてるのですが、全然わかりません!ずっと履修を続けている「統計」系科目では「Rで学ぶ確率統計」を履修。統計ソフトであるRの使い方について学ぶ予定。
- 日常生活のデジタルメディア(’22)
- 情報セキュリティ概論(’22)
- 日本政治思想史(21)
- 入門微分積分(’22)
- 演習微分積分(’19)
- Rで学ぶ確率統計('21)
- データサイエンス・リテラシ導入(’22)
- ビジネスと人工知能技術 *
- バーチャルリアリティ入門-基礎 *
コロナ体制が終わるけれど
ちなみに、今月から勤務先の体制が変わって、コロナ禍を前提とした在宅勤務が終了してしまいました。在宅時間が多くとれるところから、放送大学での学びをスタートした私としては、大ピンチだったりします。通勤時間相当の二時間を勉強時間にあてていたんですよねえ。
なので、2023年度一学期は、ちょっとだけ履修科目を減らしています。ウィズコロナ体制下で、いかにして学習時間を確保するか、また学習を効率化していくかが大きなテーマとなりそうです。