人生100年時代の処方箋
2018年刊行。筆者の和田秀樹(わだひでき)は1960年生まれ。灘校→東大医学部卒。精神科医、大学教授、受験アドバイザー、作家、映画監督までやっている多彩な経歴の人物。
2022年だけでも『80歳の壁』『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』『70歳からの老けない生き方』『老いの品格 品よく、賢く、おもしろく』と、四作もの老いに関する著作を上梓している。
おススメ度、こんな方におすすめ
- 年代別の医学的なリスク事項を知りたい方
- どんな医療的な課題に備えればいいのか知っておきたい方
内容はこんな感じ
脳・前頭葉の萎縮は40代から始まる。50代ではメンタルをケアすべき!40代、50代、60代、70代、80代、それぞれの年代別で、何が起きるのか、健康面でのリスクは何なのか、そしてもっとも備えなくてはならないことは何なのか。後悔しない人生を過ごすために知っておきたい!年代ごとの注意点。人生100年時代の処方箋。
目次はこんな感じ
本書の構成は以下の通り。
- はじめに 人生80歳超時代の未来予測図
- 第一章 40代 感情の老化を防ぐために
- 第二章 50代 人生の岐路
- 第三章 60代 定年と親の死という喪失
- 第四章 70代 人生最後の活動期
- 第五章 80代 老いを受け入れる
- おわりに
老いは抗うべきか、受け入れるべきか
40代を超えると、人間は自身の肉体、精神の老いを自覚せざるを得なくなる。医療の発達で、現代の日本人は70代くらいまでは、老いに抗していくことも可能かもしれない(個人差はあるけど)。でも80代に入ったら覚悟を決めた方が良いよと、筆者は説いている。
老いは避けられないが、多少なりとも遅らせる事は出来る。でも、それも限界はある。人生100年時代はさすがに盛りすぎかと思うのだが、80年くらいは生きそうな昨今、老いと闘うフェイズから、老いを受け入れるフェイズにどう移行していくべきかを指南してくれる。
人間の心身には各年代で何が起きるのか
40代のガン死亡数は10万人あたり43.4人。つまり40代では必要以上にガンを恐れる必要はない。どちらかというと、40代でケアすべきはメンタル面で、前頭葉の委縮が始まることに由来する「感情の老化」にこそ注意すべき点なのだと筆者は説く。
本書では、脳、メンタル、認知症、介護比率、ガン、家族問題、社会生活等、各年代ごとの特徴を挙げ、それぞれの年代で、もっともケアすべき点はどこなのかを指摘している。バイタル面だけでなく、ライフステージ毎のメンタル部分の課題が列挙されているのはいかにも現代社会向けと言ったところか。
両親の介護や死、定年退職、子どもの独立、配偶者の死と、実は若い時分よりも、50代、60代に入ってからの方が、メンタル面のダメージは大きいのかもしれない。
「残された出来る」事をいかに楽しむか
いずれにしても、この先「出来なくなる」事が増える一方であるのは間違い無いので、やりたい事は、先送りにしないで、積極的に挑戦しておきたい。
避けられない老いに対して、覚悟をした上でしっかりと対策をしていくこと。「出来なくなる」事よりも、「残された出来る」事をいかに楽しむか。人生の折り返し地点を超えたと思われる自分としてはとても興味深く読んだ。