バロック音楽の名曲をあなたに
2007年刊行。2018年に物故された礒山雅(いそやまただし)による、クラシック楽曲ガイドである。本ブログで礒山雅の作品を紹介するのは講談社現代新書の『J.S.バッハ』に続いて二冊目。今回は講談社学術文庫からの刊行である。
ちなみに表紙絵に使われているのは、メンツェル画『サンスーシー宮殿におけるフリードリヒ大王のフルート・コンサート』。プロイセン王フリードリヒ2世は音楽愛好家として知られ、バッハ父子とも交流のあった人物だ。
この本で得られること
- バロック音楽で聴くべき名曲、名盤について知ることができる
- バッハ以外のバロック音楽の作曲家について知ることができる
内容はこんな感じ
17世紀初頭から18世紀半ばにかけてヨーロッパで花開いたバロック音楽。モンテヴェルディ、シュッツ、ヴァン・エイク、リュリ、ブクステフーデ、コレッリ、パーセル、シャルパンティエ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、そして大バッハへ。西洋音楽研究の第一人者が、数多の名曲の中から100曲を厳選。名演、名盤と共に紹介していく。
バロック音楽をもっと知りたい方に
本書はバロック音楽研究の泰斗である、磯山雅ご推薦の音楽名曲集ベスト100である。かつては知る人ぞ知るって状態のマイナージャンルであったバロック音楽も、昨今の古楽ブームで演奏される機会が増え、入手出来るCD、DVDも格段に増えた。
それだけに、何から聞けばいいのかは初心者には重大な問題。ってことで、本書のような企画本が刊行されたようだ。
超名曲から意外なあの曲まで
全100曲1/4がバッハなのは仕方のないところか?礒山先生バッハ好きだし。それでも沢山あるの超有名バッハ作品からよりすぐってこれだからなあ。
次いでモンテヴェルディとヘンデルが5~6曲ずつ。以下、テレマン、ヴィヴァルディといった状態。知らない作曲家がたくさんでてくるので、門外漢としてはかなり楽しい。ゲドロンの『死すべき者よ』とかヴァン・エイクのリコーダー作品とかは是非聞いてみたい。シュッツの『十字架上の七つの言葉』はさっそくHMVで発注した(名曲だった!)。ヘンデルのオペラ作品もなんだか楽しそうなので聞いてみたくなった。こちらはリアルで見てみたい。あとでチェックしてみよう。
お勧め演奏やCD、DVDの紹介が入っているのだけど、記載が文末にあったり、話の途中で触れていたりとマチマチで使いにくい。あとこの手のCDは国内盤は出ていないことが多いのだから、作曲者や演奏者の原語表記は是非徹底して欲しかった。実用性を考えるとこの点は非常に残念。