年始恒例の〇〇年に読んで面白かったシリーズ、先日は「2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(歴史編)」をお届けした。
本日は歴史ネタ以外。不安定な(VUCA)時代をどう生きるか編・文章力を高めるために編・中高年の悩み編について、まとめておススメ書籍10冊をご紹介したい。
不安定な(VUCA)時代をどう生きるか編
まずは、昨今よく聞かれる社会のVUCA化に対してどう備えるかを説いた三冊。
ちなみにVUCAとは、以下の四語の頭文字。
Volatile(不安定)
Uncertain(不確実)
Complex(複雑)
Ambiguous(曖昧)
VUCA化する社会では、既存の経験や価値は役に立たない。自分で問題を見つけ、答えを出していく能力が問われてくる。いずれもベストセラー作品ばかりになってしまったが、売れているだけのことはある良作揃いだ。
13歳からのアート思考(末永幸歩)
タイトルで損をしている気がする本。13歳と言わず、むしろ大人こそ読んでおきたい一冊。本書では、美術作品の見方を通じて、自分なりのものの見方、答え、そして新たな問いを見出していく。
マティスやピカソ、カンディンスキーらの著名な作品をテーマに解説していくので、ビジュアル的にも見ていて楽しい。美術館に行くのが楽しくなるし、日常生活における考え方すらアップデートしてくれる。
末永幸歩『13歳からのアート思考』
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) August 29, 2021
アートの本だと思っていたら、人生全般に役立つ生き方指南の本だった。終盤になると本書の深みが分かってきて、ゾクゾクさせられた。
「13歳からの」とあるけど、大人こそ読むべき。ベストセラーになるのも納得。現在16万部。#読了 pic.twitter.com/9RWs1SEoTt
人新生の「資本論」(斎藤幸平)
2021年の新書大賞第一位。マルクスの「資本論」を再評価し、これからの時代は脱成長経済へと舵を切るべきだと説く大胆な一冊。とっつきにくいマルクス思想を、平易に説明しながら、現代の気候変動問題にまで思考を進めていく。
斎藤幸平『人新生の「資本論」』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) August 21, 2021
生産手段を共有化(コモン化)し、資本主義的な利潤の追求を止めて「脱成長」を目指すというもの。
気候対策は資本主義と相反する要素が多いので、SDGsなんかも足並み揃わなくて多分厳しいんだろうなとは感じてる。
理想論に過ぎるけど一つの考え方として。 pic.twitter.com/CUTf2ldKjx
ニュータイプの時代(山口周)
「正解を出す」ことに価値が与えられていた20世紀型社会に対して、21世紀型社会では「問いを立てる」能力が問われるようになる。21世紀型社会を生き抜ける「ニュータイプ」人材とはどういう能力を持つ人々なのか。24の具体例と共に検証していく一冊。
山口周『ニュータイプの時代』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) April 9, 2021
正解を探す
→問題を探す
綿密に計画してから実行する
→とりあえず試す
奪い、独占する
→与え、共有する
20世紀型のスキルから、21世紀型の思考、行動様式にアップデートしていきましょうというコンセプト。刺激的な一冊。#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/jULe7cZFKP
文章力を高めるために編
続いては「文章力」を高めるためのおススメ本。ブログやSNSでの発信はもちろん、仕事の上でも役に立つ三冊をピックアップしてみた。
書くのがしんどい(竹村俊介)
ネット全盛の時代「書く」能力が問われている。しかし「書くのがしんどい」のは何故なのか?どうして辛いのか?その理由を考えながら、一つ一つ「しんどい」理由を潰していく文章術読本。発信を続けることで見えてくる世界もある。
竹村俊助『書くのがしんどい』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) May 13, 2021
書くことがない
伝わらない
読まれない
つまらない
続かない
ライティングの悩みへの具体的なアドバイス。
テクニックよりは、メンタル、心構え的な側面が強いか。既に書いていて、もっと読まれたい、クオリティを上げたい人に。#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/27FeOGn6MQ
書評の仕事(印南敦史)
プロ書評家による「書評」の書き方入門本。プロのライターがどんな視点で文書を書いているのがわかる一冊。本感想ブログを書いている方なら読んでおきたい。「書評」に限らず、要約文を書く能力を上げたい方にも、適書ではないかと思われる。
印南敦史『書評の仕事』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) June 19, 2021
年間500冊の書評(非小説系)を書くプロが教えてくれる書評の書き方ガイド。
読者が書評に求めているのは
・おもしろそうな本の情報を知りたい
・この本が面白いのかどうかを知りたい
この点をいかに満たせるか。blog書く身としてはすぐ使える知識でした。 pic.twitter.com/D0qd5kQMDd
文芸オタクの私が教える バズる文章教室(三宅香帆)
明治の文豪から、現代の人気作家、有名人に至るまで。49人もの作品を読み込んだ筆者が、それぞれの文体の特徴を紹介していく。刺さる文体は何が違うのか。プロの書き手のテクニックに驚嘆すること請け合いである。
三宅香帆『文系オタクの私が教える バズる文章教室』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) September 26, 2021
星野源、村上春樹、林真理子、秋元康に至るまで、49人の文体の魅力を読み解いていく「文章の科学」本
受験生時代の現代文の科目を思い出す。文章の構造が気になる方にオススメ。
「バズる」というタイトルは内容とあってないと感じた pic.twitter.com/btWIM5KoEE
『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』の詳しい感想はこちら
中高年の悩み編
最後は、このブログでも継続して発信している中高年の悩みについて。気力も体力も衰えているのに、定年はどんどん延長されそうだし、いつまで働けばいいのか。そんな悩める皆さまの、お役に立てそうな四冊。
ガラスの50代(酒井順子)
1980年代の流行歌、光GENJIの『ガラスの十代』をパロったタイトルは、人気エッセイスト酒井順子の中高年エッセイ。50代に入ってもまだ、若い気でいる。わたしたちの世代は「薄い」のではないか?いつまでも成熟しきれない、バブル世代ならではの実感が綴られた一冊。
酒井順子『ガラスの50代』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) January 29, 2021
筆者は1966年生まれ。バブル世代を代表するエッセイストの一人ですね。
この世代も遂に50代に。カラダやメンタルの衰え。中年から中高年へ。
辛くなりがちなテーマを、明るい諦観と共に語り下ろす筆致は相変わらずでサクサク読めます。
#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/3GmVaK1THe
50歳からのむなしさの心理学(榎本博明)
中高年を襲う「むなしさ」について考えてみる一冊。頑張ろうという気持ちがなくなってきた。日々、やる気はなくなっていくけど、まだまだ会社員人生は続く。このままだと拙いなと思っている方には良い一冊かと。
榎本博明『50歳からのむなしさの心理学』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) October 31, 2021
やる気が出ない。向上心が失われる。この先に希望が持てなくなる
アラフィフ年代が突き当たる「むなしさ」の数々は、心の中の危機意識の現れであるとして、この機会に真剣に残りの人生を考えてみましょうという一冊
読んでいて身につまされる本でした pic.twitter.com/CFDqnK6UDG
「働かないおじさん問題」のトリセツ(難波猛)
タイトルを見ただけで「グサッ」と来てしまって、あっという間に読んでしまった一冊。働かないおじさんは何故生まれてくるのか。本書ではメンタルの問題だけでなく、組織や人事の側面にまで踏み込んで、その解決法を探っていく。
気力がなくなり、生産性が落ちた人間を、会社はいつまでも放置してはおかないと思うので、働かないおじさんだという実感のある方は、早めに手を打っておいた方がいい。
次に読むのはこちら。
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) November 25, 2021
『「働かないおじさん問題」のトリセツ』
やる気や能力がないわけではない。しかし、能力や業務のミスマッチから、会社のニーズにうまく応えられていないおじさんたちをどうすればいいのか考える一冊。
身につまされながら読んでます。 pic.twitter.com/oZ28HSCz9M
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方(八木仁平)
中高年に入ってから「やりたいこと」が見つからないと思い悩むのは、ちょっと恥ずかしい気もする。ただ、人生も折り返し地点を過ぎたところで、「やりたいこと」を突き詰めて考えておくことは大切だと思っている。本書はそんな時の助けになる一冊。
八木仁平『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』#読了
— ぬぬに@書籍感想&勉強垢 (@nununi_b) April 17, 2021
・大事なこと(価値観)
・得意なこと(才能)
・好きなこと(情熱)
この3軸を基に「やりたいこと」を探します。
具体的な質問に答えていくことで「自己理解」が深まる一冊。面白かったです。#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/f8zmxpQc9g
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』の詳しい感想はこちら
おわりに
以上、2021年に読んで面白かった新書・一般書10選(VUCA・文章術・中高年の悩み編)として、10冊をご紹介した。気になった方は是非、読んでみていただけると嬉しい。
個人的には、仕事関係での行き詰まり感がなかなか解消できず、しばらくはあれこれ模索することになりそう。本を読むばかりではなく、いかに実践に移していけるかが大事なので、悩ましい日々が続きそう。ふう。