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2020年に読んで面白かった新書・一般書10選

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皆さま、明けましておめでとうございます。

年が明けてしまったが、一昨年昨年同様に、2020年に読んで面白かった新書・一般書10選をお届けしたい。いつもであれば、新書のみで構成していたのだが、2020年は新書だけだと数が足りないので、一般書からもチョイスさせて頂いた。

あくまでも「2020年に読んだ本」なので「2020年に出た本」ではないので、その点はご留意頂きたい。

2020年に読んで面白かった新書・一般書10選

現代社会を知る

最初に紹介したいのは、現代社会、特に少子高齢化と、コロナ禍について書かれた書籍である。昏い気持ちになりがちな昨今だが、これから起こりうる未来を多少なりとも知っておくことで、備えをしておくことが可能になる。

未来の地図帳(河合雅司)

『未来の年表』『未来の年表2』に続く、講談社現代新書における「未来の年表」シリhttps://www.bizsyoka.com/entry/ーズの第三弾である。河合雅司はこのシリーズの大成功でかなり名を上げた感がある。

今から25年後の日本がどうなっているのか。統計データを元に、地域単位での予想を試みた一冊。都道府県単位で消滅してしまいそうな地域も多く、暗澹たる心持ちになれることは請け合い。

コロナの余波で少子化社会は更に加速していくであろうだけに、リスクをあらかじめ知っておく意味で読んでおきたい一冊。

『未来の地図帳』の詳しい感想はこちらから。

音楽の危機《第九》が歌えなくなった日(岡田暁生)

近代音楽の代表的なアイコンでもあるベートーヴェンの交響曲第九番。しかしそれは、密集、密閉、密接、「三密」の全てを満たす、コロナ禍の現在では最も再現が難しい音楽形態でもあった。

コロナ禍の今だからこそあたらしい音楽が求められているのではないか。音楽を通して人と人との関係性にあり方にまで思いを馳せた、この時期だからこそ読みたい一冊。可能性を模索していく中で、さまざまな珍しい楽曲が紹介されているのも楽しい。

 『音楽の危機』の詳しい感想はこちらから。

中高年のこれからに備える

続いて、中高年世代向けの二冊。

悩み多き中年世代だから読んでおきたい書籍の数々を網羅したブックガイドと、そろそろ視界に入ってくる定年後をどうするかについて書かれた対策本をご紹介したい。

中年の本棚(荻原魚雷)

書評家として、30代の頃から「中年本」を読み漁ってきた荻原魚雷がおススメする、魅惑のブックガイドである。 紹介されている「中年本」は90冊以上!幅広いジャンルを網羅しているので、あなたの悩みやニーズにあった書籍が見つけられる筈である。

健康、家族関係、親の介護、仕事。中年になるとあらゆる角度から困難が降りかかってくる。先人の残した「中年本」を読むことで、少しでもこれらのトラブルに備えていこうというの本書の趣旨である。以下の感想では、出来る限り紹介されている「中年本」をまとめてみたので、興味のある方は是非ご一読いただきたい。

『中年の本棚』の詳しい感想はこちらから。

50代 後悔しない働き方(大塚寿)

ビジネスパーソンとしての「終わり」が見えてくるのが50代である。しかし定年後の人生も長い。後悔しない定年後を過ごすにはどうすればいいのか。現時点での自分の「棚卸」をし、何が出来て、何が足りないのか。いかに備えることで、少しでも後悔を減らせるのか。具体的なアドバイスの数々がありがたい実用書なのである。

本書で示された通り、やりたいこと、やりたくないことを書き出してみる。職務経歴書を書いてみる。まずは、騙されたと思ってとりあえず手を動かしてみる 。そうすると、これから何をすればいいのかが具体化してくる。「実用書」という点で、2020年で一番役に立ったのはこの作品であった。

 『50代 後悔しない働き方』の詳しい感想はこちらから。

IT、ネット関連で読んでおきたい本

遅きに失した感もあるが、2021年、腰の重かった日本政府が今年は遂にデジタル庁を発足させる。わたしたち国民もITに関しての知見は、常時アップデートしておく必要がある。こちらの三冊は、世界のデジタル化の現状を知り、日本のネット社会はこれからどうあるべきかを教えてくれる。

デジタル化する新興国(伊藤亜聖)

日本に居るとなかなか実感できないが、実は世界のデジタル化はものすごい勢いで進んでいる。特にそれが著しいのが中国を始めとする新興国だ。本書では、アジア、アフリカ地域での先進的な取り組みについて知ることが出来る。

 

新興国では、固定電話が全く普及していないのに、爆発的な勢いでスマホの普及が進む。銀行口座すら持てなかった人々が、ごく普通にネット決済を使いこなす。途中過程を一切省略することで、デジタル化が一気に加速がする。驚かされることが多い一冊なので、気になる方は要チェックである。

『デジタル化する新興国』の感想はこちらから。

アフターデジタル2 UXと自由(藤井保文)

2019年に刊行されて話題となった『アフターデジタル』の続篇である。中国を始めとしたIT先進事例をより具体的に知ることが出来る。特に中国のデジタル化は本当にすごい。本書では豊富な具体例を挙げて紹介しているので、未知の方なら相当な驚きを持って読むことが出来るはずだ。

DX(デジタルトランスフォーメーション)、UX(ユーザエクスペリメント)って最近よく聞くけど何だかわからない!という方にもおススメ。

共産党の一党独裁であるが故に、国家レベルでグイグイいける中国と違って、日本のデジタル化には困難が多い。日本企業ならば、こうすればいいよ!というアドバイスがあるのもありがたい。

『アフターデジタル2 UXと自由』の詳しい感想はこちらから。

遅いインターネット(宇野常寛)

前二著は技術面での言及が主であったが、こちらの書籍は言論、思想面からアプローチしたネット論である。

かつて大きな期待を持って迎えられたインターネットだが、誰もがネットアクセスできるようになった昨今。現実世界以上に、人々に分断を強いる場所となっている。この傾向を変えていくにはどうすればいいのかを考える一冊。

吉本隆明の「共同幻想論」について言及している箇所が多く、現代思想の門外漢であるわたしにとっては、最後まで読み切れるかな?と不安だったのだが、かみ砕いて説明してくれているので、頑張ればなんとかついていけそう。「ゆっくり立ち止まって考える」ことの大切を知ることが出来る。

歴史を知る

最後は歴史関連の著作を三冊。わたしは、もともと歴史系の書籍が大好きな人間なのだが、昨年はあまり数が読めずに残念。今年はもう少し読む量を増やしたいな。

悪魔の布 縞模様の歴史(ミシェル・パストゥロー)

ストライプ、縞模様は、誰もが一枚くらいはもっているであろう、ありふれたデザインだ。しかし、かつてのヨーロッパでは、異教徒や囚人、特定の職業従事者が着用を強要された差別と蔑視のシンボルでもあった。

歴史的な経緯を紐解きながら、ストライプがいかに大衆に受容されていったのか。多数の図例と、エピソードを元に「悪魔の布」の歴史を知ることが出来る一冊。

わたしの部屋着のトップスは全てがストライプである。個人的にストライプ大好き人間なので、本書は非常に楽しく読めた。気兼ねなくストライプを着ることが出来るありがたみを実感させられた。 

『悪魔の布 縞模様の歴史』の詳しい感想はこちらから。

死に山 世界一不気味な遭難事故 ディアトロフ峠事件の真相(ドニー・アイカー)

1950年代のソヴィエトで実際に起きた、世にも奇妙な集団遭難事件の謎に迫ったドキュメント作品。極寒の中、9人同時、軽装、死体損壊、遺体からは放射能を検出と、あまりにミステリアス過ぎる事件は多くの人々を惹きつけて来た。

被害者たちの足跡を時系列で追っていくパートと、当時の捜査当局が遭難者を探索するパート、そして現代の筆者が調査に乗り出していくパートが並行して描かれる。諸説紛糾する中で、筆者がどんな結論を下したかは、本書を読んでのお楽しみである。

『死に山』の詳しい感想はこちらから。

戦争は女の顔をしていない(スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ)

第二次世界大戦中、旧ソヴィエトでは100万人以上の女性が前線に立ち、銃を取り血を流した。500人以上の生存者への聞き取り調査をまとめたのが本書。後にノーベル文学賞を受賞することになる、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチのデビュー作。

 

個々のエピソードがあまりに重いので、一気読みは避けて、毎日一章ずつ二か月かけてじっくりと読んだ。男視点ではなかなか気づけない、女性ならではの戦争体験が生々しく描き出されており、最後まで読み手を惹きつけてやまない。

 『戦争は女の顔をしていない』の詳しい感想はこちらから。

おわりに

以上、2020年に読んで面白かった新書・一般書10選をお届けした。

昨年、小説感想ブログとは別に、小説以外のブログを別に立ち上げることを思い立ち、当ブログをオープンさせた。

どうやって書けば、より多くの方に書籍の面白さを伝えることが出来るのか?執筆スタイルは未だ試行錯誤中で、これからも紹介の仕方は変わっていくかもしれないが、引き続き読んでいただけると幸いである。皆さまからの感想もお待ちしております。

Twitterも専用アカウントを作っているので、良かったらフォローしてみて頂ければと……。へっぽこブログではあるが、本年もよろしくお願いいたします。

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